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37.みっともない嘆き
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「僕を侮辱するのか……王太子だからといって、言っていいことと悪いことがある。それすらもわからないというのか」
「お前はまだ、自分の立場というものをわかっていないのか? お前は罪人だ。少なくともその行為については非難されるべきことだということを理解しろ」
「罪人、僕が罪人だと……」
ラメリオ殿下の言葉に、ディアルス様は唇を震わせていた。
自分が罪人であるという自覚が薄かったのだろうか。彼は目を丸めている。
「当然だ。お前は王国の意に背くようなことをした。言っておくが、リヴェンドの後ろ盾などは既に期待できるものではないぞ? 今回の件で通達は出している。奴の支持者とて馬鹿ばかりではない。大半が見限ったことだろう」
「うくっ……」
「ドラルク侯爵家に助けを求めるか? しかし、まともな貴族であるならば、お前を助けたりはしないだろう。王族と喧嘩するくらいなら、縁を切って切り捨てた方が早いのだからな」
「はあ、はあ……」
ディアルス様の呼吸は、荒くなっていた。
自分がどのような状況であるかを、彼は段々と理解してきたのだろう。
その理解というものは、自らを痛めつける結果となった。もしかしたらそうなることがわかっていたからこそ、彼は事実から目をそらしていたのかもしれない。
「嫌だっ! 僕はっ……」
そこでディアルス様が、大きくその口を開いた。
彼は目に涙を浮かべて、まるで駄々っ子のようにその場に寝転がる。
それはなんとも、見ていられない光景であった。今の彼は、あまりにもみっともなさ過ぎる。
そもそもの話、エゼルス伯爵家を手に入れるにしても、もっと真っ当に生きられないものだったのだろうか。
私は、リヴェンド殿下と婚約する前からディアルス様を知っている。その彼というものは、例によって嫌味な性格であり、凡そ婚約するに望ましい人ではなかった。
その時からコンプレックスがあったのかもしれないが、せめて私の前でくらい取り繕えなかったものだろうか。そう考えていくと、彼は性根から捻じ曲がっているとしか言いようがない。
「下らない男だ。まあ、精々これから自らを省みることだな。幸いにも時間はたくさんある。お前の罪は重い。しばらくは出て来られないと思うのだな」
「なっ! この僕がっ、牢屋なんかに……」
「自業自得だ。この大馬鹿者が」
ラメリオ殿下は、ゆっくりと首を横に振っていた。
ディアルス様が、救いようのない人だとでも思っているのだろう。彼はリヴェンド殿下の時や以前ディアルス様と対峙した時のように怒ることもなく、今回の首謀者に背を向けるのだった。
「お前はまだ、自分の立場というものをわかっていないのか? お前は罪人だ。少なくともその行為については非難されるべきことだということを理解しろ」
「罪人、僕が罪人だと……」
ラメリオ殿下の言葉に、ディアルス様は唇を震わせていた。
自分が罪人であるという自覚が薄かったのだろうか。彼は目を丸めている。
「当然だ。お前は王国の意に背くようなことをした。言っておくが、リヴェンドの後ろ盾などは既に期待できるものではないぞ? 今回の件で通達は出している。奴の支持者とて馬鹿ばかりではない。大半が見限ったことだろう」
「うくっ……」
「ドラルク侯爵家に助けを求めるか? しかし、まともな貴族であるならば、お前を助けたりはしないだろう。王族と喧嘩するくらいなら、縁を切って切り捨てた方が早いのだからな」
「はあ、はあ……」
ディアルス様の呼吸は、荒くなっていた。
自分がどのような状況であるかを、彼は段々と理解してきたのだろう。
その理解というものは、自らを痛めつける結果となった。もしかしたらそうなることがわかっていたからこそ、彼は事実から目をそらしていたのかもしれない。
「嫌だっ! 僕はっ……」
そこでディアルス様が、大きくその口を開いた。
彼は目に涙を浮かべて、まるで駄々っ子のようにその場に寝転がる。
それはなんとも、見ていられない光景であった。今の彼は、あまりにもみっともなさ過ぎる。
そもそもの話、エゼルス伯爵家を手に入れるにしても、もっと真っ当に生きられないものだったのだろうか。
私は、リヴェンド殿下と婚約する前からディアルス様を知っている。その彼というものは、例によって嫌味な性格であり、凡そ婚約するに望ましい人ではなかった。
その時からコンプレックスがあったのかもしれないが、せめて私の前でくらい取り繕えなかったものだろうか。そう考えていくと、彼は性根から捻じ曲がっているとしか言いようがない。
「下らない男だ。まあ、精々これから自らを省みることだな。幸いにも時間はたくさんある。お前の罪は重い。しばらくは出て来られないと思うのだな」
「なっ! この僕がっ、牢屋なんかに……」
「自業自得だ。この大馬鹿者が」
ラメリオ殿下は、ゆっくりと首を横に振っていた。
ディアルス様が、救いようのない人だとでも思っているのだろう。彼はリヴェンド殿下の時や以前ディアルス様と対峙した時のように怒ることもなく、今回の首謀者に背を向けるのだった。
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