私を家から追い出すと言っていた夫が、逆に家から追い出されました。義理の家族は私の味方です。

木山楽斗

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15.彼の策略

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「マ、マルガン様……?」
「……」

 突如現れたマルガン様に対して、レディオル様は特に動揺していない。
 彼は私よりも先んじて、気付いていたということだろうか。騎士であるレディオル様は気配に敏感だろうし、それはあり得るのかもしれない。
 彼は素早く、私を庇うように立つ。気付いていながら動かなかったのは、恐らく私の傍から離れないためなのだろう。

「どうやってここに入ったのか、聞いておこう」
「……答える義理はない」
「マークス侯爵家に、秘密の通路の類があったといった所か? しかしマークス侯爵から、特に話は聞いていない」
「……お祖父様が僕に特別に教えてくれたのさ。古い逃げ道だ。整備もされていなかったから、掘り起こすのには少々骨が折れた」

 レディオル様の言葉に、マルガン様は白状し始めた。
 古い抜け道を掘り出してきた。その言葉からは彼の執念深さを感じる。
 よく見てみると、服は土に塗れていた。それは連日逃亡生活を続けていたというのもあるのだろうが、掘り起こしたせいなのかもしれない。

「しかし、その甲斐もあったというものだ。僕は復讐を果たすことができる」
「歪んだ復讐だ。エリシア嬢に責任はない」
「ふん、外部者の癖に知ったような口を聞くんじゃない。お前は大人しく、僕に従っていろ!」
「なっ……!」

 そこでマルガン様は、曲がり角から何かを引っ張った。
 それは女性だった。嫁入りに際して私についてきた使用人――ケイティアはマルガン様によって拘束されている。

「はははっ! ここに来るまでに仕入れておいたのさ。人質というものは、騎士様にも有効だろう?」
「ケイティア……」
「んんっ……」

 ケイティアはその首をゆっくりと振っていた。
 それは自分のことなど、気にする必要はないという合図だろう。彼女とはそれなりに長い付き合いなので、それはわかる。
 しかし当然のことながら、彼女を犠牲にするなんて許容することはできない。そう思いながら、私はレディオル様の方を見る。

「エリシア、わかっているだろうなぁ……お前が僕の方に来なければ、この女の命はない」
「……」
「エリシア嬢、彼の言葉を聞く必要はありません」
「言っておくが、本気だぞ? 僕にとってこの女の命は取るに足らないものだ」

 マルガン様は、携えていた刃をケイティアの首筋に当てた。
 それに対して、レディオル様が首を横に振る。彼ならばこの状況でも、ケイティアを助けてなんとかできるということだろうか。騎士ならばそれも、可能なのかもしれない。
 だが今の正気ではないマルガン様に、常識などが通用するのだろうか。ケイティアを道連れになどと、考える可能性はあるように思える。
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