妹が私に言う「悪役令嬢」がなんのことだかさっぱりわかりません。

木山楽斗

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13.妹との対話

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「お姉様、それで話とは一体何なのですか?」
「ええ、あなたに聞きたいことがあるの」

 一日経って、私はメルティアの部屋を訪ねていた。
 一応妹は、部屋に招き入れたくれた訳だが、やはり少々距離感がある。
 私が警戒されているということは、もう何度も認識してきたことだ。しかしそれでも、やはり心に来るものがある。

「聞きたいこと、なんですか?」
「私に対して、何か思っていることがあるのではないかと思って」
「思っていること……」
「別に私に気を遣う必要はないわ。あなたの今の本心が聞いてみたいの」

 私はできるだけ優しく、メルティアに話しかけた。
 その態度が正しいのかどうかも、よくわからない。ただ、私がメルティアに対してどのように接したかというと、これだった。
 妹のことを可愛がりたいと思うのは、姉として当然のことだ。この子に対して厳しい態度なんて、私はもしかしたらしたことがないかもしれない。

「えっと……」

 メルティアは、言葉を詰まらせているようだった。
 先程からこちらの様子を伺っており、その態度は中々軟化してくれない。
 とりあえず私は、黙っておく。もう少し待って何も言わなかったら、私から別の質問をしてみるとしよう。

「……どうして」
「うん?」
「どうして、お、お姉様はそんなに優しいのですか?」
「えっと……」

 メルティアからの質問に、今度は私が言葉を詰まらせることになってしまった。
 その質問は私が予想してきたこととはまったく異なるもので、思考が追いつかなかったのである。

 ただ、これは今のメルティアから始めて歩み寄ってもらえたということだ。それを無下にしたくはないため、必死に思考を働かせる。
 その結果、私はすぐに答えを出すことができた。質問の内容が受け入れられたら、簡単に答えは出てきたのだ。

「それは私が、姉だからよ」
「姉……」
「姉というものは、妹を大切にするものなのよ。私が姉で、あなたは妹、それ以上の理由なんて、必要なのかしら?」
「……」

 私は、自分でも驚く程にすらすらと言葉を発していた。
 どうやら私の中には、明確な答えがあったらしい。今までの行動原理だって、そうだ。私は姉だからこそ、こうして妹と向き合っている。

「……姉というものは、そんな存在ばかりではないと思います」
「……え?」
「妹を大切にしない姉だって、いると思います。その逆で、姉を大切にしない妹もいると思います。それが兄と弟などであっても、変わりません」

 メルティアは、とても冷たい返答を返してきた。
 その言葉には、突き放すような意思があるような気がする。
 しかしメルティアは、すぐに目を丸くした。失言をしてしまったと、彼女は思ったようだ。その唇を噛みしめていることから、それがわかる。
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