溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗

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8.心強い味方

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「なるほど、事情についてはよくわかった。色々と大変なことになっているようだな」

 話を聞いて、クレンド様はゆっくりとため息をついた。
 彼が私の事情に心を痛めていることが伝わってくる。その優しさは、やはり偽りなどではないようだ。

「ヴェリオン伯爵が、そこまでの愚か者とは……彼を糾弾することは、それ程難しいことではないだろうな。君に対する扱いは、凡そ正気のものではない」
「そうなのでしょうね……」
「ペルリナとロメリアの両名も問題であるといえる。彼女達は、典型的な成り上りだ。貴族の家に一員として迎え入れられたことでつけ上がっている。なんとも醜いものだ」
「はい……」

 クレンド様は、お父様やペルリナ、ロメリアのことを批判した。
 その言葉には、確かな怒りが込められている。貴族の一員として、勝手な振る舞いをする三人は軽蔑の対象なのだろう。

「とはいえ、君の考えも理解することはできる。ここでことを荒立てれば、ヴェリオン伯爵家の領地に暮らす民に皺寄せがいく可能性はある。例えヴェリオン伯爵であっても、秩序を守っていることは確かだ」
「ええ、それが気掛かりなのです。私自身は、最早伯爵家の地位などはどうでも良いと思っています。逃げ出すこともできました。そうしなかったのは、何れロメリアが伯爵家を牛耳るからで……」
「そうなると、秩序もなくなるか。それをレフティア嬢は危惧している訳だな」

 私の言葉に対して、クレンド様は笑顔を浮かべていた。
 彼はなんというか、心なしか嬉しそうだ。今の会話に、そのような反応をするようなことがあっただろうか。

「レフティア嬢、君の覚悟を俺は賞賛するとしよう」
「賞賛? それは一体、何に対して?」
「伯爵家の地位など必要ないと言ったことや領地の民を気にしていることに対する賞賛だ。君は聡明な女性であるとは思っていたが、その通りだった」
「クレンド様……」

 クレンド様の賞賛の言葉に、私は少し怯んでいた。
 自分がそこまで褒められるような人間だとは、思っていなかったからだ。
 なので、照れてしまうのだが、今はそんな風に和んでいる場合ではないだろう。これからのことをクレンド様と話さなければならない。

「……クレンド様、私のことを賞賛していただけるのは嬉しく思います。そんなあなたに、私は頼みたいことがあります。どうか私に協力していただけませんか?」
「ああ、もちろん俺はそのつもりだ。君になら手を貸したいと思うからな」

 私のお願いに、クレンド様はゆっくりと頷いてくれた。
 どうやら私は、とても心強い味方を得られたようである。
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