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9.念のために
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私は、クレンド様とともにとある人と対面していた。
その人は、私達に対して怪訝な顔を向けている。それは恐らく、クレンド様が私に協力するということを聞いたからだろう。
「クレンド、話はわかった。しかし、本当に大丈夫なのか? 他家の事情に首を突っ込むなんて」
「兄上、心配せずとも上手くやるつもりです。これを兄上に話したのは、保険ですから」
「急に現れて何を言うかと思ったら、とんでもないことを言い渡してきたな」
「父上には言えないことですから、兄上に言わざるを得ないのです」
「なるほど……」
クレンド様の兄であるギーゼル様は、ゆっくりとため息をついた。
彼からしてみれば、急に弟から結構重たいことを打ち明けられたのだから、それは当然の反応であるだろう。
「ギーゼル様、すみません。あの、私のせいで……」
「……ああいや、レフティア嬢に言いたいことがあるという訳ではない。そうだな、あなたはとても苦労している。それは理解している。クレンドの判断は怖いものではあるが、誇れるものであるということもだ」
私が謝罪をすると、ギーゼル様は少し気まずそうにしながらそう言ってきた。
彼の考えは、とても真っ当なものだ。他家の事情に介入することには、危険が伴う。心配するのは、当然のことだ。
しかしながら、それでも私に罪悪感を覚えている所を見ると、ギーゼル様もとても良い人なのだとわかる。似た者兄弟、ということだろうか。
「クレンド、レフティア嬢を救いたいという気持ちはわかった。ただ、勝算はあるのだろうか。そこの所を私はきちんと聞いておきたい。勝算もなくことを起こすのは、蛮行としか言いようがない」
「それについては、これから探ってみるつもりです。ことは慎重に行わなければならないことですから、大胆な行動はしません」
「なるほど、それで勝算がないとわかったらどうする?」
「勝算となるものを見つかるまでが、この戦いです」
「それはお前らしいが、なんというか強引だな」
クレンド様は、堂々とギーゼル様に対して言葉を言い放っていた。
自信に満ちた真っ直ぐな発言は、なんとも彼らしい。私もその精神は、見習いたいものである。
「それで、まずは何をする」
「レフティア嬢の現状を覆すためには、ヴェリオン伯爵夫人ペルリナを探るのがいいかと思っています。彼女には色々と裏がありそうだ」
「ふむ、わかった。それなら、存分に探るといい。父上には、私が上手く言っておく」
クレンド様の言葉に、ギーゼル様はゆっくりと頷いた。
確かに、あの継母には色々ときな臭い所がある。叩けば埃の一つや二つくらい、出て来るかもしれない。
その人は、私達に対して怪訝な顔を向けている。それは恐らく、クレンド様が私に協力するということを聞いたからだろう。
「クレンド、話はわかった。しかし、本当に大丈夫なのか? 他家の事情に首を突っ込むなんて」
「兄上、心配せずとも上手くやるつもりです。これを兄上に話したのは、保険ですから」
「急に現れて何を言うかと思ったら、とんでもないことを言い渡してきたな」
「父上には言えないことですから、兄上に言わざるを得ないのです」
「なるほど……」
クレンド様の兄であるギーゼル様は、ゆっくりとため息をついた。
彼からしてみれば、急に弟から結構重たいことを打ち明けられたのだから、それは当然の反応であるだろう。
「ギーゼル様、すみません。あの、私のせいで……」
「……ああいや、レフティア嬢に言いたいことがあるという訳ではない。そうだな、あなたはとても苦労している。それは理解している。クレンドの判断は怖いものではあるが、誇れるものであるということもだ」
私が謝罪をすると、ギーゼル様は少し気まずそうにしながらそう言ってきた。
彼の考えは、とても真っ当なものだ。他家の事情に介入することには、危険が伴う。心配するのは、当然のことだ。
しかしながら、それでも私に罪悪感を覚えている所を見ると、ギーゼル様もとても良い人なのだとわかる。似た者兄弟、ということだろうか。
「クレンド、レフティア嬢を救いたいという気持ちはわかった。ただ、勝算はあるのだろうか。そこの所を私はきちんと聞いておきたい。勝算もなくことを起こすのは、蛮行としか言いようがない」
「それについては、これから探ってみるつもりです。ことは慎重に行わなければならないことですから、大胆な行動はしません」
「なるほど、それで勝算がないとわかったらどうする?」
「勝算となるものを見つかるまでが、この戦いです」
「それはお前らしいが、なんというか強引だな」
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自信に満ちた真っ直ぐな発言は、なんとも彼らしい。私もその精神は、見習いたいものである。
「それで、まずは何をする」
「レフティア嬢の現状を覆すためには、ヴェリオン伯爵夫人ペルリナを探るのがいいかと思っています。彼女には色々と裏がありそうだ」
「ふむ、わかった。それなら、存分に探るといい。父上には、私が上手く言っておく」
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