10 / 50
10.酒場にて
しおりを挟む
私はクレンド様とともに、とある町に来ていた。
ここはヴェリオン伯爵家の領地内にあるとある町だ。ここではかつて、ペルリナが暮らしていたという。
「さてと、情報を集めるためにはやはり酒場などが良いだろうか」
「酒場、ですか……大丈夫ですかね?」
クレンド様が示した目的地に、私は不安を感じていた。
酒場というものに、正直そこまで良い印象はない。なんというか、柄の悪い人達が集まっていそうな気がする。
もちろん、それは私の偏見かもしれない。ただやはり、酒を扱っている所なので、そういった人がいる可能性は高いのではないだろうか。
「レフティア嬢のことは、俺が守ってみせる。故に心配をすることはない」
「クレンド様が頼りになることはわかっています。でももしも怪我などしたら……」
「まあとにかく、入ってみるとしよう」
クレンド様は、私の心配をそれ程聞かずに酒場に入っていった。
仕方ないので、私もそれについて行く。クレンド様は慣れているのだろうか。それとも怖い者知らずなのだろうか。
「店主、少し邪魔をする」
「あ、ああ……いや、あなた達は」
「……おいおい、これはまた大そうなお客さんが来たじゃないか」
「本当だ。貴族か、それも子供だぜ」
私達が店内に入ると、周囲の視線がこちらに集中した。
身なりなどから、身分の予想はついたらしい。それにして、結構多くの人は萎縮している。
それは当然のことだ。貴族に失礼なことをしたら、ただでは済まない。普通の人なら、絡んで来たりはしないだろう。
「気に食わねぇなぁ」
「まったくよ、貴族の坊ちゃん嬢ちゃんが何の用だ。まさかとは思うが、俺達の邪魔でもしに来たのかよぉ」
しかし中には、そういった常識が通用しない人もいるようだ。
そう言った人達は、クレンド様の前に出て来ている。
酒の臭いがするので、恐らく酔っているのだろうか。そのこともあって、冷静な判断ができていないのかもしれない。
「邪魔をしに来たつもりなどはない。店主、この店で一番高い酒を買いたい」
「あ、いや、未成年の方には……」
「ここにいる方々に振る舞ってもらいたいのだ。俺はお代を出すというだけで飲むつもりなどはないさ」
「ま、まあ、そういうことなら……」
クレンド様の言葉に、彼にからもうとしていたゴロツキ達は顔を見合わせた。
この店で一番高い酒なんて、滅多に飲めるものではないだろう。そちらに興味が移ったのかもしれない。
「なんだ、話がわかるな旦那」
「気前のいい人だ。しかし一体、どうしてこんな所に?」
「ペルリナという女性について調べたいのだ。ほら、最近ヴェリオン伯爵家に嫁いだ女性だ」
「おお、あいつのことか」
「なるほどな、貴族の坊ちゃんが直々に素行調査か……」
酔っぱらい達は、クレンド様に対してかなり友好的になってきた。
彼の手際が良かったということだろうか。これなら無事に話を聞けそうだ。
ここはヴェリオン伯爵家の領地内にあるとある町だ。ここではかつて、ペルリナが暮らしていたという。
「さてと、情報を集めるためにはやはり酒場などが良いだろうか」
「酒場、ですか……大丈夫ですかね?」
クレンド様が示した目的地に、私は不安を感じていた。
酒場というものに、正直そこまで良い印象はない。なんというか、柄の悪い人達が集まっていそうな気がする。
もちろん、それは私の偏見かもしれない。ただやはり、酒を扱っている所なので、そういった人がいる可能性は高いのではないだろうか。
「レフティア嬢のことは、俺が守ってみせる。故に心配をすることはない」
「クレンド様が頼りになることはわかっています。でももしも怪我などしたら……」
「まあとにかく、入ってみるとしよう」
クレンド様は、私の心配をそれ程聞かずに酒場に入っていった。
仕方ないので、私もそれについて行く。クレンド様は慣れているのだろうか。それとも怖い者知らずなのだろうか。
「店主、少し邪魔をする」
「あ、ああ……いや、あなた達は」
「……おいおい、これはまた大そうなお客さんが来たじゃないか」
「本当だ。貴族か、それも子供だぜ」
私達が店内に入ると、周囲の視線がこちらに集中した。
身なりなどから、身分の予想はついたらしい。それにして、結構多くの人は萎縮している。
それは当然のことだ。貴族に失礼なことをしたら、ただでは済まない。普通の人なら、絡んで来たりはしないだろう。
「気に食わねぇなぁ」
「まったくよ、貴族の坊ちゃん嬢ちゃんが何の用だ。まさかとは思うが、俺達の邪魔でもしに来たのかよぉ」
しかし中には、そういった常識が通用しない人もいるようだ。
そう言った人達は、クレンド様の前に出て来ている。
酒の臭いがするので、恐らく酔っているのだろうか。そのこともあって、冷静な判断ができていないのかもしれない。
「邪魔をしに来たつもりなどはない。店主、この店で一番高い酒を買いたい」
「あ、いや、未成年の方には……」
「ここにいる方々に振る舞ってもらいたいのだ。俺はお代を出すというだけで飲むつもりなどはないさ」
「ま、まあ、そういうことなら……」
クレンド様の言葉に、彼にからもうとしていたゴロツキ達は顔を見合わせた。
この店で一番高い酒なんて、滅多に飲めるものではないだろう。そちらに興味が移ったのかもしれない。
「なんだ、話がわかるな旦那」
「気前のいい人だ。しかし一体、どうしてこんな所に?」
「ペルリナという女性について調べたいのだ。ほら、最近ヴェリオン伯爵家に嫁いだ女性だ」
「おお、あいつのことか」
「なるほどな、貴族の坊ちゃんが直々に素行調査か……」
酔っぱらい達は、クレンド様に対してかなり友好的になってきた。
彼の手際が良かったということだろうか。これなら無事に話を聞けそうだ。
698
あなたにおすすめの小説
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。
【完結】記念日当日、婚約者に可愛くて病弱な義妹の方が大切だと告げられましたので
Rohdea
恋愛
昔から目つきが悪いことをコンプレックスにしている
伯爵令嬢のレティーシャ。
十回目のお見合いの失敗後、
ついに自分を受け入れてくれる相手、侯爵令息のジェロームと出逢って婚約。
これで幸せになれる───
……はずだった。
ジェロームとの出逢って三回目の記念日となる目前、“義妹”のステイシーが現れるまでは。
義妹が現れてからの彼の変貌振りにショックを受けて耐えられなくなったレティーシャは、
周囲の反対を押し切って婚約の解消を申し出るが、
ジェロームには拒否され挙句の果てにはバカにされてしまう。
周囲とジェロームを納得させるには、彼より上の男性を捕まえるしかない!
そう結論づけたレティーシャは、
公爵家の令息、エドゥアルトに目をつける。
……が、彼はなかなかの曲者で────……
※『結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが』
こちらの話に出て来るヒーローの友人? 親友? エドゥアルトにも春を……
というお声を受けて彼の恋物語(?)となります。
★関連作品★
『誕生日当日、親友に裏切られて婚約破棄された勢いでヤケ酒をしましたら』
エドゥアルトはこちらの話にも登場してます!
逃走スマイルベビー・ジョシュアくんの登場もこっちです!(※4/5追記)
妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません
編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。
最後に取ったのは婚約者でした。
ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。
初恋の人を思い出して辛いから、俺の前で声を出すなと言われました
柚木ゆず
恋愛
「俺の前で声を出すな!!」
マトート子爵令嬢シャルリーの婚約者であるレロッズ伯爵令息エタンには、隣国に嫁いでしまった初恋の人がいました。
シャルリーの声はその女性とそっくりで、聞いていると恋人になれなかったその人のことを思い出してしまう――。そんな理由でエタンは立場を利用してマトート家に圧力をかけ、自分の前はもちろんのこと不自然にならないよう人前で声を出すことさえも禁じてしまったのです。
自分の都合で好き放題するエタン、そんな彼はまだ知りません。
その傍若無人な振る舞いと自己中心的な性格が、あまりにも大きな災難をもたらしてしまうことを。
※11月18日、本編完結。時期は未定ではありますが、シャルリーのその後などの番外編の投稿を予定しております。
※体調の影響により一時的に、最新作以外の感想欄を閉じさせていただいております。
婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~
ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された
「理由はどういったことなのでしょうか?」
「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」
悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる
それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。
腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。
そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。
木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。
ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。
不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。
ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。
伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。
偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。
そんな彼女の元に、実家から申し出があった。
事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。
しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。
アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。
※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる