33 / 50
33.露骨な反応
しおりを挟む
「お父様、今の言葉はどういうことですか?」
「いや……」
私の質問に、お父様は言葉を詰まらせていた。
その様子に、私は確信する。お父様は、バンガルさんの他にも手にかけている人がいるのだ。
その人が誰なのか、それも実は見当がついている。ただそれは、私にとってはできればそうあって欲しくないことだ。
「お父様、一つお聞きします。あなたはまさか……まさか、私のお母様を」
「な、何を言う」
「母は突然死にました。突発的に心臓発作が起きたと、お医者様から聞きましたが……」
「ふん、それが事実だ。それ以外に何かあるという訳ではない」
お父様は、私の言葉を必死に誤魔化してきた。
それは図星であるからとしか思えない。やはりお母様は、お父様に殺されたのだろうか。
その可能性は、低いという訳ではない。二人の仲は悪かった。お父様なんて妾を作っていたくらいだ。
もちろん、流石の私でも実の父親が実の母親を手にかけたなどという事実は、できれば嘘であって欲しい。
ただ、お父様の態度はそれが事実であると私に告げてくる。私は少し気分が悪くなっていた。
しかし、なんとか自分を奮い立たせる。お父様がもしも罪を犯しているというなら、私はそれを償わせなければならないのだ。
「お父様、隠し切れるとお思いですか?」
「な、なんだと?」
「私の背後には、エヴォート侯爵家のクレンド様がいるのですよ? 彼の権力を持ってすれば、お父様が揉み消した事件件を調べるのも容易なことです。この際洗いざらい吐き出した方が、身のためですよ?」
「そ、それは……」
お父様は、私からゆっくりと目をそらした。
その表情からは、迷いが伝わってくる。一応自主的に発言した方が罪が軽くなるなどと、考えているのだろうか。
そしてお父様は、意を決したような表情をしてこちらを向いた。それは話してくれるつもりになったということだろうか。
「……レフティア、わかった。観念しよう。私はお前に、全てを話す。しかし少々時間がかかる。そこに座ってくれ」
「……構いませんが」
お父様に促されて、私は部屋にある応接のようのソファに座った。
するとお父様は、お茶の準備をし始めた。このままゆっくりと話したい。そういうことだろうか。
いや、恐らくそうではない。お父様がそんな殊勝な人であるとは思えない。長年の経験から、私は察していた。
きっとお父様は、私に何かを仕掛けてくるつもりだ。つまり先程の迷いというものは、実の娘を手にかける覚悟だったということなのだろう。
その事実に、私はゆっくりと息を呑む。やはりお父様は、最低な人間であるようだ。
「いや……」
私の質問に、お父様は言葉を詰まらせていた。
その様子に、私は確信する。お父様は、バンガルさんの他にも手にかけている人がいるのだ。
その人が誰なのか、それも実は見当がついている。ただそれは、私にとってはできればそうあって欲しくないことだ。
「お父様、一つお聞きします。あなたはまさか……まさか、私のお母様を」
「な、何を言う」
「母は突然死にました。突発的に心臓発作が起きたと、お医者様から聞きましたが……」
「ふん、それが事実だ。それ以外に何かあるという訳ではない」
お父様は、私の言葉を必死に誤魔化してきた。
それは図星であるからとしか思えない。やはりお母様は、お父様に殺されたのだろうか。
その可能性は、低いという訳ではない。二人の仲は悪かった。お父様なんて妾を作っていたくらいだ。
もちろん、流石の私でも実の父親が実の母親を手にかけたなどという事実は、できれば嘘であって欲しい。
ただ、お父様の態度はそれが事実であると私に告げてくる。私は少し気分が悪くなっていた。
しかし、なんとか自分を奮い立たせる。お父様がもしも罪を犯しているというなら、私はそれを償わせなければならないのだ。
「お父様、隠し切れるとお思いですか?」
「な、なんだと?」
「私の背後には、エヴォート侯爵家のクレンド様がいるのですよ? 彼の権力を持ってすれば、お父様が揉み消した事件件を調べるのも容易なことです。この際洗いざらい吐き出した方が、身のためですよ?」
「そ、それは……」
お父様は、私からゆっくりと目をそらした。
その表情からは、迷いが伝わってくる。一応自主的に発言した方が罪が軽くなるなどと、考えているのだろうか。
そしてお父様は、意を決したような表情をしてこちらを向いた。それは話してくれるつもりになったということだろうか。
「……レフティア、わかった。観念しよう。私はお前に、全てを話す。しかし少々時間がかかる。そこに座ってくれ」
「……構いませんが」
お父様に促されて、私は部屋にある応接のようのソファに座った。
するとお父様は、お茶の準備をし始めた。このままゆっくりと話したい。そういうことだろうか。
いや、恐らくそうではない。お父様がそんな殊勝な人であるとは思えない。長年の経験から、私は察していた。
きっとお父様は、私に何かを仕掛けてくるつもりだ。つまり先程の迷いというものは、実の娘を手にかける覚悟だったということなのだろう。
その事実に、私はゆっくりと息を呑む。やはりお父様は、最低な人間であるようだ。
640
あなたにおすすめの小説
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。
木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。
ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。
不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。
ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。
伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。
偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。
そんな彼女の元に、実家から申し出があった。
事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。
しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。
アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。
※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)
【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。
私の婚約者とキスする妹を見た時、婚約破棄されるのだと分かっていました
あねもね
恋愛
妹は私と違って美貌の持ち主で、親の愛情をふんだんに受けて育った結果、傲慢になりました。
自分には手に入らないものは何もないくせに、私のものを欲しがり、果てには私の婚約者まで奪いました。
その時分かりました。婚約破棄されるのだと……。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる