12 / 17
12.気まずい雰囲気
しおりを挟む
「……驚きました。まさか、あの場で口づけをするとは」
「え、ええ、まあ、あの時は必死でしたから……」
客室に通された私は、急な熱に襲われていた。
レオニア様と口づけをする。あの時は、それを迷うことなく実行することができた。
だが後から冷静になってみると、急激に恥ずかしくなってきた。私は、なんと大胆なことをしてしまったのだろうかと。
「しかし、ありがたかったです。あれで反対派を黙らせられましたからね」
「まあ、あれもアピールだと言われる可能性もありましたが、上手くいってくれてよかったです」
「流石に、他国の令嬢があのような行動をして非難することはできませんよ。あなたは覚悟を見せた。それを否定するということは、彼らにとっても誇りを捨てるに等しいことです」
「なるほど……」
反対派の獣人達にも、それなりにプライドのようなものがあるようだ。だからこそ、あの場は引かざるを得なかったということなのだろう。
それは私にとっては、幸いなことだった。これならなんとか、彼らを抑えることができそうだ。
私の覚悟が問題であるというなら、私はそれを成し遂げる。恥ずかしいこともあるが、それでも私はその決意を固めていた。
「まあ、そういうことならファーストキスを捧げた価値もあったということでしょうが……」
「む……そうだったのですか?」
「え? それはまあ、そうですよ?」
「なるほど……」
レオニア様は、私の言葉に少し照れていた。
そんな風に照れられてしまうと、こちらも照れてしまう。なんとなく、気まずい雰囲気だ。
「……まあ、父上も含めて、私の家族は皆味方です。ですから、ご安心ください。あなたのことは、我々が守ります」
「……それはなんというか、先程仰った言葉より弱いような気がしてしまいますね」
「え?」
空気を変えるためか、レオニア様は話を少し変えてくれた。
しかし私は思わず、それに反論してしまっていた。なんというか、彼の言葉が弱々しく思えてしまったのだ。
先程言っていた自分が必ず守るという言葉の方が、私にはありがたく思えた。もちろん、あれは演技であったのだろうが、それでもなんだか今の言葉は嫌である。
「……確かに、今の言葉は一人の男としては情けない言葉でしたね」
「あ、いえ、その……」
「父上の前で言ったことは、本心です。私は、あなたを守りたいと思っています。その誓いを、今一度ここでしましょう」
「……ありがとうございます」
レオニア様は、すぐに真剣な顔で態度を改めてくれた。
その言葉を聞いて、私は安堵していた。なんというか、やはりこっちの方がいい。
そんなことを思いながら、私は彼と話を続けるのだった。
「え、ええ、まあ、あの時は必死でしたから……」
客室に通された私は、急な熱に襲われていた。
レオニア様と口づけをする。あの時は、それを迷うことなく実行することができた。
だが後から冷静になってみると、急激に恥ずかしくなってきた。私は、なんと大胆なことをしてしまったのだろうかと。
「しかし、ありがたかったです。あれで反対派を黙らせられましたからね」
「まあ、あれもアピールだと言われる可能性もありましたが、上手くいってくれてよかったです」
「流石に、他国の令嬢があのような行動をして非難することはできませんよ。あなたは覚悟を見せた。それを否定するということは、彼らにとっても誇りを捨てるに等しいことです」
「なるほど……」
反対派の獣人達にも、それなりにプライドのようなものがあるようだ。だからこそ、あの場は引かざるを得なかったということなのだろう。
それは私にとっては、幸いなことだった。これならなんとか、彼らを抑えることができそうだ。
私の覚悟が問題であるというなら、私はそれを成し遂げる。恥ずかしいこともあるが、それでも私はその決意を固めていた。
「まあ、そういうことならファーストキスを捧げた価値もあったということでしょうが……」
「む……そうだったのですか?」
「え? それはまあ、そうですよ?」
「なるほど……」
レオニア様は、私の言葉に少し照れていた。
そんな風に照れられてしまうと、こちらも照れてしまう。なんとなく、気まずい雰囲気だ。
「……まあ、父上も含めて、私の家族は皆味方です。ですから、ご安心ください。あなたのことは、我々が守ります」
「……それはなんというか、先程仰った言葉より弱いような気がしてしまいますね」
「え?」
空気を変えるためか、レオニア様は話を少し変えてくれた。
しかし私は思わず、それに反論してしまっていた。なんというか、彼の言葉が弱々しく思えてしまったのだ。
先程言っていた自分が必ず守るという言葉の方が、私にはありがたく思えた。もちろん、あれは演技であったのだろうが、それでもなんだか今の言葉は嫌である。
「……確かに、今の言葉は一人の男としては情けない言葉でしたね」
「あ、いえ、その……」
「父上の前で言ったことは、本心です。私は、あなたを守りたいと思っています。その誓いを、今一度ここでしましょう」
「……ありがとうございます」
レオニア様は、すぐに真剣な顔で態度を改めてくれた。
その言葉を聞いて、私は安堵していた。なんというか、やはりこっちの方がいい。
そんなことを思いながら、私は彼と話を続けるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
330
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる