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21.未練はなく
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「それにしても、本当に良かったのですか?」
「え? 何がですか?」
「いえ、その……エパイル王国に戻られなくて」
「ああ……」
ラディオン王国に戻るための馬車の中で、フォルード殿下は私に対して質問をしてきた。
その質問は、私が先程された提案に関するものであるようだ。
「エパイル王国に戻って来て欲しいと言われたことですか?」
「ええ、やはり故郷ですからね。戻りたいと思っているのではないかと思いまして」
「そんなことはありませんよ」
フォルード殿下の質問に対して、私はゆっくりと首を横に振った。
正直な所、エパイル王国に対する未練などはない。あそこは、私にとっては戻る必要がまったくない場所だ。
「僕達に気を遣っているとかではないのですか?」
「ああいえ、まあ、もちろん、そのことについてはとても感謝していますが今回の件とそれは結びつかないことです」
「そうなのですか?」
「ええ、幸か不幸か、私には身寄りもありませんでしたからね。エパイル王国にこだわる理由が、本当にないのです」
私にとって、故郷というものはそれ程こだわるものではなかった。
生まれ育った場所ではあるが、それ程いい思い出もない。それに何より、とても重要なことがある。
「それにそもそも、私はあの国からひどい扱いを受けた身ですからね。無実の罪を犯したことにされて、追放されたんですよ? そんなひどい国に今更手の平を返されて、いい気持ちはしません」
「それは……まあ、そうですよね」
私の言葉に、フォルード殿下は納得したように頷いていた。
かなり説得力があったのだろうか。彼は、何も言えなくなっている。
「ああ、もちろん、フォルード殿下が既に私を必要としていないというなら、これ以上お世話になろうとは思いませんが……」
「いいえ、まさかそんなことはありませんよ。レフィリアさんの存在は、とてもありがたいと思っています。というか、あなたにはとある地位を与えるつもりです」
「とある地位、ですか?」
そこでフォルード殿下は、私が聞いたことがないことを言い出した。
私がこれからどうなるかは、ラディオン王国側もわかっていなかった。そのため、今までは話すことができなかったのだろう。
「あなたには大聖女という役職になってもらいたいのです」
「大聖女? 聞いたことがない役職ですね。それはどういったものなのですか?」
「聖女の上の役職です。これは急遽設けました。エレティナがあなたを自分の師匠と紹介しましたからね。そういった地位が必要になったのです」
「なるほど、そういうことでしたか。少し荷が重いような気はしますけれど、頑張ります」
フォルード殿下の説明を聞いて、私は大聖女という役職の必要性をよく理解した。
どうなるのかはわからないが、とりあえずこれから頑張っていくとしよう。幸いにもモチベーションは高い。フォルード殿下やエレティナ様のためになら、かなり頑張れそうだ。
「え? 何がですか?」
「いえ、その……エパイル王国に戻られなくて」
「ああ……」
ラディオン王国に戻るための馬車の中で、フォルード殿下は私に対して質問をしてきた。
その質問は、私が先程された提案に関するものであるようだ。
「エパイル王国に戻って来て欲しいと言われたことですか?」
「ええ、やはり故郷ですからね。戻りたいと思っているのではないかと思いまして」
「そんなことはありませんよ」
フォルード殿下の質問に対して、私はゆっくりと首を横に振った。
正直な所、エパイル王国に対する未練などはない。あそこは、私にとっては戻る必要がまったくない場所だ。
「僕達に気を遣っているとかではないのですか?」
「ああいえ、まあ、もちろん、そのことについてはとても感謝していますが今回の件とそれは結びつかないことです」
「そうなのですか?」
「ええ、幸か不幸か、私には身寄りもありませんでしたからね。エパイル王国にこだわる理由が、本当にないのです」
私にとって、故郷というものはそれ程こだわるものではなかった。
生まれ育った場所ではあるが、それ程いい思い出もない。それに何より、とても重要なことがある。
「それにそもそも、私はあの国からひどい扱いを受けた身ですからね。無実の罪を犯したことにされて、追放されたんですよ? そんなひどい国に今更手の平を返されて、いい気持ちはしません」
「それは……まあ、そうですよね」
私の言葉に、フォルード殿下は納得したように頷いていた。
かなり説得力があったのだろうか。彼は、何も言えなくなっている。
「ああ、もちろん、フォルード殿下が既に私を必要としていないというなら、これ以上お世話になろうとは思いませんが……」
「いいえ、まさかそんなことはありませんよ。レフィリアさんの存在は、とてもありがたいと思っています。というか、あなたにはとある地位を与えるつもりです」
「とある地位、ですか?」
そこでフォルード殿下は、私が聞いたことがないことを言い出した。
私がこれからどうなるかは、ラディオン王国側もわかっていなかった。そのため、今までは話すことができなかったのだろう。
「あなたには大聖女という役職になってもらいたいのです」
「大聖女? 聞いたことがない役職ですね。それはどういったものなのですか?」
「聖女の上の役職です。これは急遽設けました。エレティナがあなたを自分の師匠と紹介しましたからね。そういった地位が必要になったのです」
「なるほど、そういうことでしたか。少し荷が重いような気はしますけれど、頑張ります」
フォルード殿下の説明を聞いて、私は大聖女という役職の必要性をよく理解した。
どうなるのかはわからないが、とりあえずこれから頑張っていくとしよう。幸いにもモチベーションは高い。フォルード殿下やエレティナ様のためになら、かなり頑張れそうだ。
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