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22.これからの未来
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どうしてこんなことになったのか、私は少しだけ疑問を浮かべていた。
大聖女になってからしばらくして、私は何故か純白のドレスを着ることになっていた。
実際にドレスを身に纏っても、いまいち実感が湧いてこない。きちんと現実を受け止めたつもりだったのだが。
「レフィリアさん、よく似合っていますよ」
「あ、ありがとうございます。フォルード殿下」
そんな私に声をかけてくれたのは、フォルード殿下だった。
彼は、私の姿を見ながら笑みを浮かべている。それはつまり、先程言った言葉が本心であるということなのだろう。
それについては、素直に嬉しかった。私も思わず、笑顔を浮かべてしまう。
「それにしても、本当に良かったんですか?」
「おや、それは何のことでしょうか?」
「今回の結婚のことです。本当に私と結婚していいんですか?」
「……それはなんとも、今更な話ですね」
私の言葉に、フォルード殿下は苦笑いを浮かべていた。
確かに、彼の言う通り今更ではある。ただ、今だからこそ改めて確認したいのだ。そうしなければ、これから行われることに対して、私の覚悟が決まらない。
「何度も言っていることではありますが、今回の結婚は何も問題がありません。あなたは大聖女ですからね。ラディオン王国でも類を見ない地位を持っている。そんなあなたと王族が結ばれるということは、王国の権威を確固たるものにします」
「ええ、それはわかっているつもりなのですが……」
「それに僕個人としても、レフィリアさんは素敵な女性であると思っていますから。あなたの夫になれるのは光栄だ。エレティナも、あなたが本当に姉になると喜んでいますよ」
「光栄なのは、私の方ですよ。喜ばしいことだとも、思っているんですけどね……」
第二王子の妻になれるというのは、とても光栄なことだった。
それも相手は、優しさに溢れたフォルード殿下だ。不満なんてある訳がない。
ということは、私は不安に思っているのだろうか。王族の妻になるということは、大きなことだ。それに伴い、様々な感情が渦巻く。私はそれが怖いのかもしれない。
「……ご安心ください。あなたのことは、僕が守ってみせます」
「フォルード殿下……」
「不安や心配などがあるなら、僕に打ち明けてください。あなたをここに連れて来たのは、僕ですからね。責任を持って、あなたを守り抜きます」
「……ありがとうございます」
私は、フォルード殿下から差し出された手を取った。
すると、不安が消えていく。なんというか、とても安心することができた。
思えば、彼には助けられてばかりである。エパイル王国から追放された時から、それは始まった。
そんな彼と一緒なら、きっと大丈夫だ。私はそんな風に思うことができていた。
「これからどうか、よろしくお願いします……フォルード殿下。いいえ、フォルード様」
「……ええ」
私とフォルード様は、そうやって密かに誓いを交わすのだった。
大聖女になってからしばらくして、私は何故か純白のドレスを着ることになっていた。
実際にドレスを身に纏っても、いまいち実感が湧いてこない。きちんと現実を受け止めたつもりだったのだが。
「レフィリアさん、よく似合っていますよ」
「あ、ありがとうございます。フォルード殿下」
そんな私に声をかけてくれたのは、フォルード殿下だった。
彼は、私の姿を見ながら笑みを浮かべている。それはつまり、先程言った言葉が本心であるということなのだろう。
それについては、素直に嬉しかった。私も思わず、笑顔を浮かべてしまう。
「それにしても、本当に良かったんですか?」
「おや、それは何のことでしょうか?」
「今回の結婚のことです。本当に私と結婚していいんですか?」
「……それはなんとも、今更な話ですね」
私の言葉に、フォルード殿下は苦笑いを浮かべていた。
確かに、彼の言う通り今更ではある。ただ、今だからこそ改めて確認したいのだ。そうしなければ、これから行われることに対して、私の覚悟が決まらない。
「何度も言っていることではありますが、今回の結婚は何も問題がありません。あなたは大聖女ですからね。ラディオン王国でも類を見ない地位を持っている。そんなあなたと王族が結ばれるということは、王国の権威を確固たるものにします」
「ええ、それはわかっているつもりなのですが……」
「それに僕個人としても、レフィリアさんは素敵な女性であると思っていますから。あなたの夫になれるのは光栄だ。エレティナも、あなたが本当に姉になると喜んでいますよ」
「光栄なのは、私の方ですよ。喜ばしいことだとも、思っているんですけどね……」
第二王子の妻になれるというのは、とても光栄なことだった。
それも相手は、優しさに溢れたフォルード殿下だ。不満なんてある訳がない。
ということは、私は不安に思っているのだろうか。王族の妻になるということは、大きなことだ。それに伴い、様々な感情が渦巻く。私はそれが怖いのかもしれない。
「……ご安心ください。あなたのことは、僕が守ってみせます」
「フォルード殿下……」
「不安や心配などがあるなら、僕に打ち明けてください。あなたをここに連れて来たのは、僕ですからね。責任を持って、あなたを守り抜きます」
「……ありがとうございます」
私は、フォルード殿下から差し出された手を取った。
すると、不安が消えていく。なんというか、とても安心することができた。
思えば、彼には助けられてばかりである。エパイル王国から追放された時から、それは始まった。
そんな彼と一緒なら、きっと大丈夫だ。私はそんな風に思うことができていた。
「これからどうか、よろしくお願いします……フォルード殿下。いいえ、フォルード様」
「……ええ」
私とフォルード様は、そうやって密かに誓いを交わすのだった。
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今日この作品を見つけ、面白かったので1話から21話まで通しで読ませていただきました!
そして、確認なのですが19話と20話の間にもう1話あるように思えます。
感想ありがとうございます。
この作品で楽しんでいただけているなら嬉しいです。
ただ、19話から20話は既定の流れです。わかりにくくて申し訳ありません。