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11.母への連絡

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 私を含む慈善活動の参加者達は、王城に招かれていた。
 それぞれに部屋を割り当てられて、今日から数日間はここで過ごすことになるのだ。
 初めは私も緊張していた訳だが、個室の中ではある程度落ち着くことができた。とりあえずベッドの上で、今はのんびりしている。

「……ああ、そうだ。お父様とお母様に連絡をしておかなくちゃ」

 私は身支度を整えてから、連絡用の魔法を起動する。
 とりあえず連絡するのは、お母様だ。お父様の方は執務の真っ最中だろうし、ここはまだ隙がありそうなお母様から連絡するのがいいだろう。

《……イルティナ?》
「あ、お母様。すみません、急に連絡を入れてしまって……」
《いえ、私の方は大丈夫よ。何かあったの?》
「ええ、実は王都の付近で魔物が大量発生しているみたいで、帰れなくなってしまったんです」
《魔物が? それは大変なことになっているわね……》

 とりあえず私は、お母様にこちらの現状を伝えた。
 現在は国王様の厚意で、王城に泊まらせてもらっていること。魔物の対処には、しばらく時間がかかりそうなこと。それらをお母様は、ゆっくりと聞いてくれた。

《事情はわかったわ。とりあえず、失礼がないようにね》
「はい、それは心得ています。あの、所でエルメラのことですが……」

 そこで私は、妹に関することを聞いておくことにした。
 彼女は私が家を出るのと同じくらいの時に出発して、パルキスト伯爵家に向かった。
 そちらの方は、どうなっているのだろうか。まだ妹の思惑もわかっていないし、正直とても心配である。

《あの子のことなら、心配することはないわ。あなたは気にしないでいいから》
「そ、そうなのでしょうか?」
《ああ、これは別にあなたのことを軽んじている訳ではないのよ。ただ、エルメラはなんというか、天上天下唯我独尊、みたいな所があるから》
「それはそうですね」

 お母様に言われて、私は思い出した。
 よく考えてみれば、私所か両親だって、エルメラを制御できる訳ではない。結局今回の件は、彼女がどう着地させるかでしかないのだろう。そんなことは気にするだけ無駄なのかもしれない。

《……まあ、帰って来たら二人でお茶会でも開いて、そこで色々と聞いてみたらどうかしら?》
「え? ああ……いえ、その辺りのことはお父様やお母様に話すべきことですから、私は二人から聞きます。エルメラの時間を奪いたくはありませんし」
《えっと……私達の時間は、奪ってもいいということ?》
「あ、いえ、そういう訳では……」
《それなら本人から聞けばいいじゃない。人づてに聞くよりも、その方がいいでしょうし》

 よくわからないが、お母様はとてもお茶会をすることを勧めてきた。
 その様子を奇妙に思いながらも、私は連絡を終えるのだった。
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