公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗

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第34話 嬉しそうなお兄様

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 私とレティは、お兄様に呼び出された。
 それは、私達が家庭科同好会に入ったことが、お兄様の耳に入ったからである。

「それで、お兄様は、どうして家庭科同好会に注目していたのですか?」
「ああ、そのことか……」

 お兄様から、トルカのことを黙っていたことを謝罪された後、私はそう質問していた。
 お兄様は、家庭科同好会のことを注目していた。その理由がなんなのか、私達は聞いていないのである。

「もしかして、お姉様の友達のトルカさんがいるからですか? あ、ティアナさんの可能性もありますか」
「いや、そういう意味ではない。確かに、ルリアの友人とソラシア家の娘は個人的に気になる存在ではある。だが、それだけで一つの部活に注目することはない」

 レティの質問に、お兄様はそう答えていた。
 その質問は、私も少しだけ思っていたことだ。だが、お兄様が個人の立場で、部活を特別視しないと予想はできた。
 どうやら、私の予想はおおよそ当たってはいたらしい。

「俺があの部活に注目していたのは、あの部活が作られた経緯にある」
「経緯ですか? 確か、去年できた部活だと聞きましたが……」
「ああ、家庭科部というものは、我が学園には存在していなかったからな……」

 お兄様が注目しているのは、家庭科同好会が作られた経緯であるようだ。
 あの同好会は、ティアナさんが料理や裁縫をしたいという望みを、トルカが叶えようと思い、作ったものである。

「故に、彼女達は自ら部活を作ることを選んだ。その精神は、見上げたものだ」
「確かに、中々できることではないと思います」
「そうだ。そもそも、我が学園では初めてのことだ」
「え? そうなのですか?」

 お兄様の言葉に、私は驚いた。
 すごいことだと思っていたが、まさか、初めてのこととは思っていなかった。
 トルカやティアナさんが、かなりすごいことをしていたようだ。

「我が学園は、設立時にいくつかの部活動を用意しておいた。大抵の者は、その部活に所属する。または所属しないということを選んでいた」
「はい……」
「だが、トルカ達は、その現状に満足せず、自身達がしたいと思ったことを叶えるために、動いた。その心意気は、敬意を表せるものだ。結果的に、部活にできるまでの人数は集まらなかったが、それは関係ない」

 トルカ達のことを語るお兄様の表情は、とても満足気だ。
 恐らく、お兄様が求めている生徒は、トルカ達のような人たちなのだろう。

「そんな部活に、お前達が入ったことを、俺は嬉しく思っている。お前達の部活動は、有意義なものになるだろう」
「はい。きっと、そうだと思います」

 お兄様の話を聞いて、私は益々家庭科同好会に入って良かったと思った。
 そういう経緯でできた部活なら、お兄様の言う通り、有意義な活動ができるはずだ。

「さて、お前達が入ったことで、家庭科同好会は家庭科部になる訳だ。つまり、かなりの資金を投資できる」
「え? 資金ですか?」
「ああ、同好会と部活では、学園側から出る資金の額がかなり異なる。恐らく、今までの数倍になるだろうな」
「そ、そうなのですね……」

 お兄様は、私に対して嬉しそうにそう語る。
 どうやら、同好会から部活になると、かなりメリットがあるようだ。
 それにしても、お兄様がこんなに嬉しそうにするとは、余程家庭科同好会に入れ込んでいるのだろうか。

「お兄様、ひょっとして、お姉様が入ったから、かなり優遇しようとか考えている訳じゃありませんよね?」
「俺は、そんなことを考えることはない。ただ、規定に従ってことを進めるだけだ」

 レティの質問に、お兄様がそう答えた。
 私がいることで優遇することなど、お兄様にはない。妹が入っているからといって、特定の部活を優遇することはないのである。
 家庭科同好会も、個人的に気にかけていただけで、特に優遇していた訳でもないのが、その証拠だろう。

「でも、なんだかとても嬉しそうなんですけど……」
「それは、気にかけていた部活が正式になり、しかも妹達が入ったことでそれが起こったのだ。これ程、嬉しいことはない」

 お兄様は、とても喜んでいた。
 本当に嬉しそうで、こちらまで嬉しくなってくる。

 こうして、私達はお兄様に喜ばれるのだった。
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