公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗

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第55話 突然の来客

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 私とレティは、休日に家の中庭でお茶をしていた。
 家庭科部の問題も解決し、私達は充実した学園生活を送れていた。
 最近は、レティもそれなりに学園を楽しんでいるらしく、最近はそこまで愚痴聞いていない。これはいい傾向だろう。

「うん?」
「おや?」

 そんな私達は、屋敷内が少し騒がしいことに気づく。
 使用人の人達が、何か忙しそうにしているのだ。もしかしたら、急な来客でも決まったのだろうか。
 私とレティは、顔を見合わせる。

「何かあったみたいですね?」
「そうみたいだね……急な来客かな?」
「そうかもしれませんね……」

 もし来客なら、私達にも関係あるかもしれない。
 そのため、このお茶も中断しなければならないだろう。

「ここにいたか……」
「え?」
「は?」

 そんなことを考えていると、後ろからお兄様が話しかけてきた。
 何かあったとは思っていたが、お兄様が来るとはどういうことだろうか。
 それは、中々大変なことである。私達が呼び出されるならわかるが、お兄様からこちらに来るとは、とても珍しい。

「お兄様、どうかされたのですか? 屋敷内が騒がしいのですが……」
「ああ、急に客が来ることになったのだ」
「へえ、客人ですか? 一体、どこの誰なんですか?」

 やはり、私達が予想していた通り、急な来客であるらしい。
 ここに、約束もなく急に来られる人など、限られてくる。一体、どこの誰が来るというのだろうか。

「サルティス・アルミシアだ」
「え?」
「は?」

 お兄様の口から出た名前に、私とレティは固まった。
 なぜなら、その名前は私達も知っている有名人だったからだ。

「サルティス様とは、あのサルティス様ですか?」
「ああ、アルミシア王国第二王女……サルティス・アルミシアに間違いない」

 念のため聞いてみたが、私達の想像した通りの人が、ここに来るらしい。
 サルティス・アルミシア様は、この国の第二王女だ。そのような人が、ここに来るとはどういうことだろう。
 確かに、フォルシス家は王族とも繋がりがあるが、このように個人的に誰かが訪ねてくるなど今までなかったはずだ。

「ど、どうして、そのような人が家に来るんですか?」
「知らん……何か、用件があるようだ」

 レティの質問に、お兄様はそう答えた。
 どうやら、お兄様もかなり焦っているようだ。いきなり王族が訪問してくると言ってきたら、流石のお兄様でも動揺するらしい。

「先程連絡があったのだ。王族といっても、これ程非常識なのはこの俺もどうかと思っているが、今はそれを議論する時間もない」

 お兄様は、少し怒っているようにも見える。
 やはり、王族でも身勝手な行動は許せないのだろう。

「恐らく、しばらくしたら馬車が着くだろう。お前達にも、対応してもらわなければならなくなる」
「や、やはり、そうなのですね……」
「面倒くさいことですね……」

 サルティス様には、私達も対応しなければならないらしい。
 相手が王族であるため、ここにいる兄妹全員で迎え入れなければ、失礼に当たるからだろう。
 そのことに、私は緊張する。サルティス様と会うのは初めてではないが、それでも緊張徴するのだ。

「すまないな。お前達にも、苦労をかける……」
「い、いえ、お兄様が悪い訳ではありませんので……」
「そうですよ。悪いのは、突然来る王族です。もう少し、こちらにも気を遣って欲しいものですね」
「ああ……」

 こうして、私達兄妹は、突如訪問が決まった王族の対応をすることになるのだった。
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