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11.二人の護衛

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 王城からの帰り道、私の馬車には二人の人物が同乗していた。
 その二人は、私の向かい側に並んで座っている。割と大柄であるため、少し窮屈そうだ。

「あの、お二人とも大丈夫ですか?」
「……お気遣いは必要ありません。我々の存在は、あなたが気にするようなものではないのです。その辺りにある石ころくらいに思っていただいて構いません」
「右に同じです」

 私の言葉に対して、二人はそのような反応を返してきた。
 彼らはそう言っているが、実際に目の前にいる人達を石ころなどと思えるはずはない。
 彼らは確かにここにいる。私はそうとしか思えなかった。

「お二人は、私の護衛のために同行してくださっているのですから、お気遣いの一つや二つくらいさせてください」
「そういうことでしたら、気遣いをしないのが気遣いと思っていただきたいですね。我々の役目は、あなたを護衛すること、それ以上でもそれ以下でもありません。それを優先させていただけるのが我々にとってはありがたいことなのです」
「そういうものなのですか?」
「そういうものなのです。我々も我々なりに自分達の仕事には誇りを持っていますからね」
「それに関しても、右に同じです」

 二人には、二人なりの流儀というものがあるらしい。
 それなら、私が口出しする必要はないのだろうか。彼らは特別な存在である訳だし、あまり気にしない方がいいのかもしれない。

『ロムチャーとバーレントンは、僕が最も信頼している二人です。彼らならば、何があってもあなたを守ってくれるでしょう』
『お二人は、ウルド様の私兵なのですか?』
『ええ、僕が使える最大の戦力といっていいでしょう』
『その二人を、私の護衛につけていただけるのですか?』
『あなたの存在は、イルヴァン兄上を追い詰めるための要ですからね。それにご安心ください。頼りになる私兵はまだまだいますから』

 ウルド様は、私のそのようなことを言って二人を貸してくれた。
 彼が信頼している二人であるため、護衛の件については特に心配していない。そもそも、イルヴァン様が私を再度狙うのは難しいと聞いているし、恐らく問題はないだろう。
 何かあっても、ウルド様が最も頼りにしている二人がいてくれる。それはとても心強いことだ。

『あなたの婚約破棄は、恐らく近い内に父上に伝えられるでしょう。ただ、兄上があなたとの婚約破棄を隠すという可能性もあります。その時は、あなたに力を貸してもらうことになるかもしれません。まあ、とりあえずしばらくはゆっくりと休んでいてください』
『はい、わかりました』

 ウルド様に言われた通り、しばらくはゆっくりと休息するとしよう。
 事態が動くその時まで、しっかりと休むのだ。
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