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24.愚かなる行い
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「……ウルガド兄上は、愚かな人間でした。義姉上の献身にも気付かず、一人で思い上がり、あなたを切り捨てた」
エルガドは、ゆっくりと言葉を発していた。
そこにある感情は、悲しみであるだろう。兄に対するウルガド様への侮蔑なども、あるかもしれない。
しかしそれは、裏返しであるように思えた。ヴォンドラ伯爵家を守る者として、エルガドは兄に期待していたのではないだろうか。
「お義母上は、僕のことを疎んでいました。しかしそれは、当然のことです。彼女の感情に対して、思う所はありません。ひどい扱いを受けたことに関しては、不満がないという訳ではありませんが……しかしながら彼女も結局、愚かな選択をしたといえます」
「前ヴォンドラ伯爵夫人は、少々気性が荒かったからな。それを上手く制御できていたのは、前ヴォンドラ伯爵だった。彼が早逝したのは、私も残念でならないよ」
「色々と考えて、僕はヴォンドラ伯爵家から逃げ出すことにしました。それで、父上が生前渡してくれた手紙に従って、エルヴァイン公爵を訪ねたのです」
エルガドは、懐から一通の手紙を取り出した。
それが件のヴォンドラ伯爵の手紙ということだろうか。
それを見ながら、エルヴァイン公爵は目を細めている。そこに何か、重大なことでも書いてあったのだろうか。
「前ヴォンドラ伯爵は、自分が亡くなった後にエルガドがどうなるか気掛かりだったのだろう。その手紙には私に対する懇願が記されていた。友人の最期の頼みを無下にすることはできない。例えそれが、ヴォンドラ伯爵家を追い詰めることであっても」
「追い詰める?」
「父上は、僕に関することを公表するように手紙に記していたのです」
「なっ……」
前ヴォンドラ伯爵の手紙は、凡そ正気ではないように思えた。
いくら息子が大事だからといって、家を蔑ろにするなんて、驚くべきことである。
不憫な暮らしをしていた息子への手向け、ということなのだろうか。それをエルガドは、あまり望んでいる訳でもないように思えるのだが。
「……僕の存在が見つかってから、父上と義母上の仲は険悪になりました。故に父上は、母上との子供である兄上がヴォンドラ伯爵を継ぐことを快く思っていなかったのかもしれません」
「まあ、この手紙にそれが記されていなかったとしても、私はエルガドが私の元に来た時点で事実を公表することに決めていたのだがね。ウルガド達のエルガドに対する扱いには憤りを覚えている。存在を隠していたことはともかくとして、それ以外の面でね」
エルヴァイン公爵の視線は、エルガドの体に向いていた。
その視線により、私は理解する。彼がどのような扱いを受けてきたのかを。
まさかヴォンドラ伯爵は、そこまで予測して手紙を残していたのだろうか。それはなんというか、あまりにも悲しい事実である。
エルガドは、ゆっくりと言葉を発していた。
そこにある感情は、悲しみであるだろう。兄に対するウルガド様への侮蔑なども、あるかもしれない。
しかしそれは、裏返しであるように思えた。ヴォンドラ伯爵家を守る者として、エルガドは兄に期待していたのではないだろうか。
「お義母上は、僕のことを疎んでいました。しかしそれは、当然のことです。彼女の感情に対して、思う所はありません。ひどい扱いを受けたことに関しては、不満がないという訳ではありませんが……しかしながら彼女も結局、愚かな選択をしたといえます」
「前ヴォンドラ伯爵夫人は、少々気性が荒かったからな。それを上手く制御できていたのは、前ヴォンドラ伯爵だった。彼が早逝したのは、私も残念でならないよ」
「色々と考えて、僕はヴォンドラ伯爵家から逃げ出すことにしました。それで、父上が生前渡してくれた手紙に従って、エルヴァイン公爵を訪ねたのです」
エルガドは、懐から一通の手紙を取り出した。
それが件のヴォンドラ伯爵の手紙ということだろうか。
それを見ながら、エルヴァイン公爵は目を細めている。そこに何か、重大なことでも書いてあったのだろうか。
「前ヴォンドラ伯爵は、自分が亡くなった後にエルガドがどうなるか気掛かりだったのだろう。その手紙には私に対する懇願が記されていた。友人の最期の頼みを無下にすることはできない。例えそれが、ヴォンドラ伯爵家を追い詰めることであっても」
「追い詰める?」
「父上は、僕に関することを公表するように手紙に記していたのです」
「なっ……」
前ヴォンドラ伯爵の手紙は、凡そ正気ではないように思えた。
いくら息子が大事だからといって、家を蔑ろにするなんて、驚くべきことである。
不憫な暮らしをしていた息子への手向け、ということなのだろうか。それをエルガドは、あまり望んでいる訳でもないように思えるのだが。
「……僕の存在が見つかってから、父上と義母上の仲は険悪になりました。故に父上は、母上との子供である兄上がヴォンドラ伯爵を継ぐことを快く思っていなかったのかもしれません」
「まあ、この手紙にそれが記されていなかったとしても、私はエルガドが私の元に来た時点で事実を公表することに決めていたのだがね。ウルガド達のエルガドに対する扱いには憤りを覚えている。存在を隠していたことはともかくとして、それ以外の面でね」
エルヴァイン公爵の視線は、エルガドの体に向いていた。
その視線により、私は理解する。彼がどのような扱いを受けてきたのかを。
まさかヴォンドラ伯爵は、そこまで予測して手紙を残していたのだろうか。それはなんというか、あまりにも悲しい事実である。
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