「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗

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18.新たな聖女を(モブside)

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 王女ニルーアにとって、いとこであるルナーラを訪ねるのは不本意なことであった。
 端的に言って、二人は仲が悪い。親戚の中でも相性は最悪であり、できれば進んで話しかけたくはない関係だ。
 それでもニルーアは、彼女の元に足を運ばざるを得なかった。それはこの国の聖女が、現在空白であるからだ。

「なるほど、私を聖女に、ですか……」
「ええ、今のこの国で聖女を担うことができるのはあなただけです。不本意なことではありますがね……」

 フェルーナという聖女がいなくなったことは、ディオート王国にとって大きな痛手であった。
 類稀なる才能を持つフェルーナは、通常よりも多い業務でもまったく怯まずこなしていた。そのお陰もあって、王国の発展速度は上がっていたのだ。
 逆にそんな彼女がいなくなったことによって、魔法関係の仕事には様々な影響が出ることになった。後任の聖女が決まっていないこともあって、かなり不安定な状況になってしまっているのだ。

 各方面から文句が出ているというのも、ニルーアにとっては頭が痛い問題だった。
 フェルーナの存在によってできていたことができなくなっている。それらの不満について、ニルーアは対処しなければならない立場なのだ。

「嫌です」
「え?」
「私は聖女になんてなりません。どなたか他の方をあたってください」
「なっ……!」

 そんなニルーアは、ルナーラの言葉に驚くことになった。
 聖女という重大な役職に対して、興味を示さない。いくら仲が悪いとはいえ、そのようなことは起こり得ないと彼女は思っていたのだ。

「聖女ですよ? この国で最も偉大な魔法使いの地位です。それを蹴るなんて、何を考えているのですか?」
「私は一度負けた身ですからね。もう聖女については諦めているのです。というか、聖女の候補はまだ他にいたではありませんか。そちらをあたれば良いでしょう?」
「それでは、求められているレベルをこなせないのです」
「それはあなたの問題でしょう。私には関係ありません」

 ニルーアに対して、ルナーラは嘲笑うような笑みを浮かべていた。
 それにニルーアは、震える。怨敵ともいえる彼女にそのような表情をされるのは、彼女にとっては腹立たしいことだったのだ。

「言っておきますが、私の権力を使えばあなたなんて……」
「できる訳がないでしょう。私だって、一応は王位継承権を持つ一人です。その権力はあなたと同等程度はありますからね」
「それは……」
「さっさと帰っていただけませんか。今私は忙しいのです」
「このっ……」

 ゆっくりと背を向けるルナーラに、ニルーアは表情を歪めていた。
 しかしほぼ同等の権力を持つ彼女を、害することはできない。それを悟ってニルーアは、苦い顔をしながら退散するしかなかった。
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