「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗

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24.当然の拒否

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「ニルーア様……お断りします」
「なっ……!」

 私の端的な言葉に対して、ニルーア様は目を丸めていた。
 そんなに驚くようなことだろうか。どうやら彼女は、本当に人にものを頼む態度というのを知らないのかもしれない。
 王女である彼女に、そのような機会はなかったということだろうか。しかしそれでも、あれだけ虐げていた私が素直に従うなんて思うのは、正直理解できないのだが。

「こ、この私が頼み込んでいるというのに、断るというのですか?」
「頼み込んでいるようには思えませんが……そもそも、自分の胸に聞いていただきたいものですね。あなたは――いいえ、あなた方は今まで私にどのようなことをしてきましたか」
「だから、もうそんなことはしないと言っているでしょう!」
「私はまだ、謝罪の言葉すら聞いていません。そんなあなたの言葉を信じられる訳がないではありませんか」

 私は、ニルーア様の言葉にゆっくりと首を振った。
 すると彼女は、その表情を歪める。それは明らかに、私に対する敵意に満ち溢れていた。私に対する謝罪の気持ちなどは、持ち合わせていないようだ。

「こちらが下手になっていればいい気になって、わかっていないのですか? 私がその気になれば、こんな村なんて地図から消すことだってできるのです」
「わかっていないのは、あなたの方ですね。この村に手を出すようなら、私も容赦はしませんよ」
「ひっ……!」

 私は、脅しのために魔法を使った。
 ニルーア様に対して、風を吹かせたのである。それはなんとも、些細な魔法であった。だが、ニルーア様は予想以上に怯んだ。その場に尻餅をついたのである。
 どうやら、以前城を動かしたのが相当効いているらしい。私が少し魔法を使っただけで、とても怯えていた。

「こ、このっ……私を誰だと思っているんですか? この国の王女ですよ? その私をここまで侮辱するなんて」
「侮辱、ですか。そういうことなら、私はあなたに随分と侮辱されたような気がしますけれど……」
「私はあなたとは生まれが違うのです。選ばれし者なのです! あなたなんかとは違う!」
「あなたはただ、王家に生まれただけではありませんか……」

 ニルーア様は、なんとも身勝手な人だった。
 そういった意識があったからこそ、今回の騒動に繋がっているとわからないものなのだろうか。
 いやわからないからこそ、彼女はこうしてここで威張り散らしているのだ。それは最早、覆らないものなのかもしれない。この国は既に、腐ってしまっているのだろう。
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