「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗

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38.石像の行方

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「動かしたんですか?」
「ええ、動かしたよ。どうしようか悩んだんだけどね。やっぱり、野ざらしというのは良くないかと思って」
「まあ、そうでしょうか……」
「砂埃なんかも舞っていたから、とりあえず綺麗にはした……ああ、もちろん女の人がやったよ。運ぶ時は流石に俺達が触らざるを得なかったが」

 私は、村の住民の一人であるガルストさんから話を聞いていた。
 石像は石化が解けた彼女達が動いたという訳ではないようだ。村の皆が気遣って、運んだようである。
 そういったことに関して、村の皆はとても優しい。嬉々として私を襲いに来た人達に、その爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。

「えっと、今石像はどこにあるんですか?」
「村長の家にあるよ。ここら辺で大きな家といえば、あそこしかないからね」
「何人くらいいるか数えましたか? 確か、八人は固まらせたと思いますが」
「ああ、その通りだ。ちゃんと全部運んだよ。中々に骨は折れた。もちろん、本人達の前では言っていないがね」

 ガルストさんは、苦笑いを浮かべていた。
 石化をした人達の重量は結構なものだ。運ぶのにはきっと相当苦労しただろう。それは、その表情からも伺えることだ。
 だからといって乙女である彼女達に重たいと言わなかったのは、立派なことだとは思う。そんな村の皆は、報われて欲しいものである。

「所で、そちらの方は誰なんだ?」
「え? ああ、彼女は私の友人です」
「友人……そうか」

 そこでガルストさんは、ルナーラ様のことを聞いてきた。
 明らかに身なりがいい彼女を私の友人として紹介するのは、無理があっただろうか。ただ、ガルストさんは何かを察してくれたのか、それ以上の追及はやめてくれた。それはこちらとしては、ありがたいことである。

「ルナーラ様、どうしますか? 村長の家に行ってみますか?」
「ええ、そうですね。そうしていただけると助かります」

 私からの質問に、ルナーラ様はゆっくりと頷いた。
 彼女は、石化した魔法使い達に何かを期待している。それが何なのかは、私にはわからない。
 ただそれはきっと、彼女がこれから王位を継ぐにあたって必要なことなのだろう。それなら私は、それを叶えるだけだ。

「それなら私について来てください。村長の家を訪ねますから。といっても、そんなに遠くはありませんね……あそこです」
「なるほど、それなら飛んでいく必要もありませんか」
「ええ、行きましょう」

 私はルナーラ様とラベルグ様を連れて、村長の家へと向かうことにした。
 そこでルナーラ様が何をしようとしているかは多分わかるだろう。
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