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 私は、野営地のテントのベッドに寝転がっていた。
 レパイア王国の結界は、なんとか解くことができた。術師達と協力した結果、なんとか一日で終わらせることができたのである。
 だが、とても疲れた。通常二日かかる作業を一日でやるのは、やはり大変だったのである。

「イルアナさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫……ではないかもしれません」
「本当に、お疲れ様です」

 私の傍には、リルガー様がいた。
 彼は、私を心配して傍についてくれているのだ。
 しかし、もうすぐ彼は戦いに行かなければならない。結界が解けたため、もうすぐ進軍が開始されるのだ。

「あなたのおかげで、エルグレンド王国は有利に戦いを進められます。国の代表として、あなたにお礼を言っておきます。ありがとうございます、イルアナさん」
「い、いえ……」

 これで、エルグレンド王国はかなり有利である。
 頼みの綱の結界が崩壊したため、レパイア王国は混乱しているだろう。この隙に攻めはいれば、きっとこの戦いも早く終わってくれるはずだ。

「失礼します」
「入っていいですよ……何かありましたか?」
「それが……」

 そこで、テントの中に兵士が入ってきた。
 その兵士は、リルガー様に何かを報告している。
 まさか、何か問題があったのだろうか。せっかく、結界が解除できたのに、また問題ならかなり困る。

「なるほど……」

 リルガー様の表情で、私は自分の予想があたったことを悟った。
 恐らく、何か問題が起こっているのだ。

「イルアナさん、落ち着いて聞いてください。どうやら、レパイア王国はさらに結界を展開していたようです」
「結界を?」
「ええ、ここからさらに進んだ場所に結界が発見されたようです」
「二重に結界を……いや、もしかしたら、それ以上かもしれませんね……」
「ええ……」

 どうやら、私の仕事はまだ終わっていないようだ。
 レパイア王国は、何重にも結界を張っている可能性がある。その結界は、エルグレンド王国の行く手を阻むはずだ。
 それを、私はなんとかしなければならない。少なくとも、ここで寝ている場合ではないだろう。

「リルガー様、その結界も私が解きます」
「イルアナさん……」
「早く……この戦いを終わらせましょう」
「……ええ、そうですね」

 レパイア王国は、禁忌の魔法まで使っている。これからも、その魔法を行使する可能性は高いだろう。
 禁忌の魔法は、とても危険なものである。早く止めなければ、もっと多くの血が流れるだろう。

 だから、この戦いは早く終わらせるべきだ。
 そう思いながら、私はゆっくりとベッドの上から立ち上がるのだった。
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