身分違いの恋に燃えていると婚約破棄したではありませんか。没落したから助けて欲しいなんて言わないでください。

木山楽斗

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12.怪しい雲行き

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 アルガール侯爵の葬儀は、彼が亡くなってから程なくして行われることになった。
 結局、ランドラ様は特にお父様に助けを求めようとしなかった。彼一人で葬儀がきちんと取り仕切れるかは心配だったが、どうやらそこは問題がなかったようだ。

「なんでも、彼の親族が手助けを申し出たらしい」
「……考えてみれば、それは当然のことですよね」
「ああ、あいつなら親族の間でも上手くやっていただろう。少なくとも、未熟な長男を助けようとしてもらえる程には良好な関係だったようだ」

 私もお父様も、アルガール侯爵の葬儀に当然参加することにした。
 いくらランドラ様に婚約破棄されたとしても、お世話になった侯爵の葬儀に参加しないというのは考えられなかった。親友であったお父様も、それは同じだろう。

「おっと……」
「あら?」

 そこで私達は、見知った人達を発見した。
 それは、ラーゼル公爵とバルギード様だ。どうやら、彼らも葬儀に参加するようだ。

「バルギード様、お久し振りですね」
「ええ、あの時以来ですからね」
「でも、少し意外です。バルギード様も、葬儀に参加されるのですね? アルガール侯爵とは、面識がないように感じましたが……」
「まあ、私は父の付き添いのようなものです。落ち込んでいましたから、一人で行かせるのは心配で」
「そうですか。お優しいのですね」
「いえいえ、当然のことをしているまでです」

 私はバルギード様とお父様はラーゼル公爵とそれぞれ挨拶を交わした。
 婚約の話は、保留ということになっている。だから、そのことに触れる者はいない。この場において、私達は知り合いか友人程度の関係であるといえるだろう。

「さて、そんなことよりも少々厄介なことになっているようですよ? もうお聞きになりましたか?」
「え? 厄介なこと? 何か問題でもあったのでしょうか?」
「アルガール侯爵の一人息子ランドラが、今回の葬儀に女性を連れて来たそうです。平民の農家の女性を……」
「なっ……!」

 バルギード様の言葉に、私は驚くことになった。
 平民の農家の女性、それは間違いなく例のルーフィアであるだろう。
 一体、彼は何を考えているのだろうか。いや、自分が婚約する女性を連れて来たということは理解できる。だが、それはいくらなんでも軽率な行動であるだろう。

「なんとなく見せてきましたよ。あなたと彼の間に何があったのかということが……」
「そうですか……まあ、そうですよね」

 この状況から、私がどうして婚約破棄されたかはすぐにわかるはずだ。
 それが周囲の人々にも伝わってしまうのは、かなりまずいといえるだろう。普通に考えて、心証は悪いはずだ。
 それくらいは、わからなかったのだろうか。私は思わず頭を抱えてしまう。
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