身分違いの恋に燃えていると婚約破棄したではありませんか。没落したから助けて欲しいなんて言わないでください。

木山楽斗

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11.落ち込む父

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 オンラルト侯爵家に急いで帰って来た私は、すぐにお父様の部屋を訪ねていた。
 当然のことながら、お父様はかなり落ち込んでいる様子だった。知らせを受けてから、それなりの日数は既に経過しているが、未だに立ち直れていないらしい。
 オンラルト侯爵家において、私はお父様の次にアルガール侯爵と付き合いがあった。婚約が決まったことで、結果的に深く関わるようになったのだ。
 だから、お父様と悲しみを分かち合えると思う。もちろん、付き合いの深いお父様の方が悲しみは上なのかもしれないが。

「いずれこの時が来ると思って覚悟はしていたのだが……やはり、実際に知らせを聞くと辛いものだな」
「そうですよね……」

 アルガール侯爵が長くないことはわかっていた。つまり、皆覚悟はできていたのだ。
 だが、それでも悲しみは深かった。人が亡くなるというのは、そういうことなのだろう。きっと理屈ではないのだ。

「結局見舞いに行けなかったのが、心残りだな……無理をしてでも行っておくべきだったと今になって思ってしまう」
「……アルガール侯爵は、お父様がそんなことをしたら怒ると思いますよ?」
「確かにそうかもしれないな……あいつは真面目な男だった」

 私は先日アルガール侯爵と会うことができた。それはきっと、大きな事柄だっただろう。
 お父様が最後に彼と直接会ったのは、もう随分と前のことである。気軽に会える立場ではなかったとはいえ、それはきっと後悔としてお父様の中に残ってしまう。
 私の言葉が、お父様の心に届くかはわからない。しかし、お父様の心が少しでも軽くないように言葉をかけるのが私の役割であるだろう。

「……葬儀は、どうなるのですか?」
「ああ、まあ何もなければ件のランドラが喪主を務めて行われるだろう。流石に、そこはきちんとやると思いたいが、少々心配だな」
「心配?」
「直近の手紙でも、あいつは息子との関係が悪いと嘆いていた。お前の話からも考えると、まずい状況なのかもしれない」
「それは……」

 お父様の懸念は理解できた。確かに、今のランドラ様は何かおかしなことをしかねない。流石に亡くなった父親を慮る気持ちはあると思いたいのだが。

「無論、手助けを求められたら、私も全力で手伝うつもりだ。彼に思う所は色々とあるが、親友の葬儀はいいものにしたい。だが、手助けは求められないような気もする」
「そうですね、今回の件でランドラ様と関係は悪くなったはずですし……まあ、彼がどう思っているかは正直わからないんですけど」
「ふむ、心配が尽きんな……」

 お父様は、ゆっくりとため息を吐いた。
 何事もなく、アルガール侯爵の葬儀が終わって欲しい。私達の望みは、ただそれだけである。
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