身分違いの恋に燃えていると婚約破棄したではありませんか。没落したから助けて欲しいなんて言わないでください。

木山楽斗

文字の大きさ
14 / 46

14.一区切りついて

しおりを挟む
 アルガール侯爵の葬儀から数日が経った後、私はオンラルト侯爵家の屋敷でお父様とお茶をしていた。
 中庭で紅茶を楽しむのは、なんだか随分と久し振りのような気がする。ここ最近は、本当に色々なことがあったので、こんな風に穏やかに話す機会には恵まれなかった。

「なんというか、ようやく一段落といった所か」
「アルガール侯爵の件に関しては、そうだと思います。ですが、まだ私の身の振り方が決まっていません」
「ああ、そうだったな……いや、もちろんそれはわかっている」

 お父様の様子に、私は思わず笑ってしまう。
 親友の葬儀というのは、お父様の中で本当に大切なものだったのだろう。一区切りがついたことで、今では元気をそれなりに取り戻している。
 娘としてそれは安心できることだ。アルガール侯爵が亡くなったからだろうか。最近はなんだか、父の心配をしていることが多い気がする。

「とはいえ、実の所それはあまり心配していない。葬儀で会ってわかったが、彼は噂とは違う人間であるらしい。それに、仲良さそうに話していた所から考えると、お前とも気が合う人だということだろう?」
「気が合う……それは、どうなのでしょうか? まあ確かに、話しやすいような気はしますけど……」
「それが、気が合うということさ」

 バルギード様と私の相性は、多分悪くないのだろう。自分でも話しやすいと思っているし、お父様もこう言っているのだからそれは間違いなさそうだ。
 それなら、婚約を受け入れるべきなのかもしれない。彼はランドラ様とは違って、まともな人であることはもうわかっているので、特に問題はないように思える。

「……参考までに聞かせていただきたいのですが、お父様はどうだったのですか?」
「ふむ? どうとは?」
「お母様とのことです」
「ああ、そういうことか……」

 私の質問に、お父様は苦笑いを浮かべた。
 お母様とのことを話すのは、やはり恥ずかしいのだろうか。
 だがそれは、是非とも聞いてみたいことである。私の知っている限り、二人は良好な関係を築いていたように思えるからだ。

「仲は悪くないと思っている。向こうがどう思っているかはわからないが、少なくとも気が合わないということはないだろう。とはいえ、彼女は奔放な性格だからね。本当なら、一緒に騒げるような人間の方が合っているのではないだろうか」
「そうでしょうか? お母様は隣に立ってくれるよりも、誰かを引っ張っている方が好きなような気がしますけれど……」
「もしもそうならいいが……さて、丁度話も出たことだし、こちらも読んでおこうか」
「あ、はい。そうですね」

 そこでお父様は、懐から二通の手紙を取り出した。
 それらの手紙が届くのは、ここ最近の定番である。遠くで暮らす二人の家族は、ほぼ必ず同じタイミングで手紙を送ってくるのだ。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

婚約破棄させたいですか? いやいや、私は愛されていますので、無理ですね。

百谷シカ
恋愛
私はリュシアン伯爵令嬢ヴィクトリヤ・ブリノヴァ。 半年前にエクトル伯爵令息ウスターシュ・マラチエと婚約した。 のだけど、ちょっと問題が…… 「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」 「おかしいわよね、お母様!」 「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」 「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」 という具合に、めんどくさい家族が。 「本当にすまない、ヴィクトリヤ。君に迷惑はかけないように言うよ」 「よく、言い聞かせてね」 私たちは気が合うし、仲もいいんだけど…… 「ウスターシュを洗脳したわね! 絶対に結婚はさせないわよ!!」 この婚約、どうなっちゃうの?

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った

ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。 昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。 しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。 両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。 「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」 父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。 だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。

【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません

すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」 他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。 今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。 「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」 貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。 王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。 あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!

【完結】愛人の子を育てろと言われた契約結婚の伯爵夫人、幼なじみに溺愛されて成り上がり、夫を追い出します

深山きらら
恋愛
政略結婚でレンフォード伯爵家に嫁いだセシリア。しかし初夜、夫のルパートから「君を愛するつもりはない」と告げられる。さらに義母から残酷な命令が。「愛人ロザリンドの子を、あなたの子として育てなさい」。屈辱に耐える日々の中、偶然再会した幼なじみの商人リオンが、セシリアの才能を信じて事業を支援してくれる。

それは私の仕事ではありません

mios
恋愛
手伝ってほしい?嫌ですけど。自分の仕事ぐらい自分でしてください。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

処理中です...