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31.もう一つの決着(ファルクス視点)
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アルティリアから二人で話したいと言われたので、僕は彼女を自室に招いた。
自室といっても、最近はこの部屋はあまり使っていない。ファルミルの部屋で過ごすことが多いからだ。
仕事が行き詰まって、どうしても休まなければならない時などには利用するが、ここで寝て起きる生活はもうしていない。
「それで、話というのは何かな?」
「ええ、相談したいことがあるのです」
「ふむ……」
紅茶を出してから、僕は早速アルティリアから話を聞いてみることにした。
彼女は、真剣な顔をしている。そのため、迅速に事情を聞くべきだと感じた。
アルティリアが悩むことといったら、最近はもっぱらファルミルのことだ。
だが、今日は違うような気がする。今日の彼女は、母親の顔をしていないように思えるのだ。
「ファルミルも元気になりましたし、私もそろそろ過去との決着をつけるべきだと思っているのです」
「過去との決着?」
「はい。ファルクス様とは、こうして分かり合うことができました。ですが、私にはもう一人向き合わなければならない人がいるんです」
「なるほど……」
彼女が言っている人物が誰なのか。それは、なんとなくわかっていた。
ただ、その人物のことを口に出すのはなんとなく憚られる。それはきっと、僕もまだその過去との決着をつけられていないからなのだろう。
「謝りたいんです」
「謝る?」
「私は、彼女にひどいことをしました。その謝罪をしておくべきだとそう思っているのです。自己満足かもしれませんが、それでも私は彼女に謝りたいのです」
「そうか……」
アルティリアは、学生時代に一人の女性に対して色々とひどいことを言った。
しかし、僕はそれを責めようとは思わない。あれは、僕の無責任な行動が起こした結果でしかないからだ。
アルティリアからすれば、僕と彼女が親しい関係にあるというのは気に入らないことであっただろう。僕に好意があったかどうかは関係なく、自分の婚約者が女性と親密にしていれば、怒りを覚えるのも無理はない。
「それなら、僕は先に君に謝っておかなければならないだろうな……あの時は、すまなかった。僕の行動は軽率だったとしかいえない」
「ファルクル様のせいではありません。あなたと彼女は、結局の所そういう関係ではなかった訳ですし。いえ、仮にそういう関係だったとしても、少なくともあの時の私が彼女を責めるのは正しくないことだと思っています」
アルティリアの真っ直ぐな瞳に、僕は思わず黙ってしまう。
その顔に見惚れてしまった。なんて美しい顔だろうと、そう思ってしまったのだ。
彼女は、前に進もうとしている。その手助けが僕にできるならなんだってするつもりだ。
かつての友人が、アルティリアのことを受け入れてくれるかはわからない。だが、とにかく連絡してみるとしよう。アルティリアの望みを叶えたい。それが今の僕の素直な気持ちなのだから。
自室といっても、最近はこの部屋はあまり使っていない。ファルミルの部屋で過ごすことが多いからだ。
仕事が行き詰まって、どうしても休まなければならない時などには利用するが、ここで寝て起きる生活はもうしていない。
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「ええ、相談したいことがあるのです」
「ふむ……」
紅茶を出してから、僕は早速アルティリアから話を聞いてみることにした。
彼女は、真剣な顔をしている。そのため、迅速に事情を聞くべきだと感じた。
アルティリアが悩むことといったら、最近はもっぱらファルミルのことだ。
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ただ、その人物のことを口に出すのはなんとなく憚られる。それはきっと、僕もまだその過去との決着をつけられていないからなのだろう。
「謝りたいんです」
「謝る?」
「私は、彼女にひどいことをしました。その謝罪をしておくべきだとそう思っているのです。自己満足かもしれませんが、それでも私は彼女に謝りたいのです」
「そうか……」
アルティリアは、学生時代に一人の女性に対して色々とひどいことを言った。
しかし、僕はそれを責めようとは思わない。あれは、僕の無責任な行動が起こした結果でしかないからだ。
アルティリアからすれば、僕と彼女が親しい関係にあるというのは気に入らないことであっただろう。僕に好意があったかどうかは関係なく、自分の婚約者が女性と親密にしていれば、怒りを覚えるのも無理はない。
「それなら、僕は先に君に謝っておかなければならないだろうな……あの時は、すまなかった。僕の行動は軽率だったとしかいえない」
「ファルクル様のせいではありません。あなたと彼女は、結局の所そういう関係ではなかった訳ですし。いえ、仮にそういう関係だったとしても、少なくともあの時の私が彼女を責めるのは正しくないことだと思っています」
アルティリアの真っ直ぐな瞳に、僕は思わず黙ってしまう。
その顔に見惚れてしまった。なんて美しい顔だろうと、そう思ってしまったのだ。
彼女は、前に進もうとしている。その手助けが僕にできるならなんだってするつもりだ。
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