婚約破棄された私は、妹の代わりに獣人の国に嫁ぐことになりました。

木山楽斗

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 私は、レオード様と子供の話をしていた。
 人間と獣人でも、子供はできる。その言葉を聞いて、私は安心していた。

「ふむ……」
「あれ? どうかしましたか?」

 ただ、レオード様は少し複雑な表情をしていた。
 色々と話してから、少しため息をついたのだ。
 そのため息は、とても気になるものだった。まさか、何か問題でもあるのだろうか。

「あ、いえ、すみません。獣人のことについて、色々と考えていて……」
「獣人のこと?」
「ええ、人間と獣人は、子供は作れます。ただ、種族が違う獣人間に子供ができないという問題があるのです」
「え? そうなのですか?」

 そこで、レオード様は驚くべきことを言ってきた。
 種族が違う獣人との間に子供ができない。それは、大きな問題なのではないだろうか。

「例えば、獅子の獣人は、虎の獣人との間に子供が生まれることは確認されています。ただ、兎の獣人との間に子供が生まれるという事例は確認されていません。そのように、獣人間でも子供ができる組み合わせがあるようなのです」
「それは、もしかして、動物の性質を受け継いでいることが影響しているのでしょうか?」
「そうかもしれません。しかし、国としての体制ができて、他の種族と結ばれるという事例もあります。そういう者達に子供ができないというのは、少し悲しいことかもしれません」
「そうですね……」

 考えてみれば、種族が違う獣人の間に子供ができないのは当然のことなのかもしれない。
 動物というものは、その性質が大きく違えば子供が作れない。獣人という括りであっても、根本的な種族が違うため、それが叶わないのだろう。
 それは、少し悲しいことである。個人の考えにもよるが、子供が欲しいと思っても作れないというのは、喜ばしいことではないだろう。

「恐らく、人間と獣人の間に子供ができるのは、獣人というものが人間としての性質を持っているからなのだと思います」
「半分は動物、半分は人間。だから、人間とは子供が作れるということでしょうか?」
「ええ、逆に半分の動物の血が子供を作れない原因。そのように考えられます。だから、私は人間の王国と繋がることに、その部分でも期待しているのです」
「え?」
「これは過程に過ぎませんが、人間と獣人の間の子供は人間としての血が強くなるはずです。そのようになれば、他の種族との間にも子を宿せるようになる。そうなるのではないかと期待しているのです」
「なるほど……」

 レオード様の理論は、納得できるものだった。
 人間と獣人の子供は、人間の性質が強くなるはずだ。全て人間と半分人間が交わるのだから、そのはずだろう。
 そうなると、その子供は人間に近づく。それが繰り返されていけば、いずれは他の種族との間に子供が作れるようになるかもしれない。
 だが、それには大きな問題がある。そのようなことをしていけば、いずれ獣人の血は消えていくのではないだろうか。

「それは……」
「ええ、もしかしたら、獣人という種族は長くないのかもしれません。いずれ、人間の血と混じり合って、消えていく可能性はあるでしょう」
「それで……いいのでしょうか?」
「私は、それでいいと思っています。国という体制を作ったからには、そうあるべきです。結ばれて、子供を宿せる。そうなる方が、いいのだと思います」

 レオード様は、少し遠い目をしていた。
 もしかしたら訪れるかもしれない未来に、思いを馳せているのだろう。
 彼は、本当に立派な人だ。未来を見据えるその瞳は、それを表している。
 そんな彼の婚約者になった私は、とても幸福だ。そう思いながら、私は彼の目を見ているのだった。
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