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5.彼を見つけて
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舞踏会の会場にて、私はクレイド様を探していた。
彼とは以前に挨拶を交わしたことがあるし、その後も何度か顔を合わせる機会があったので、顔はよく覚えている。目に入れば、すぐに声はかけられるだろう。
ただ問題は、クレイド様の方が私のことをわかってくれるかどうかということだ。
ニヴェルグ様は、私を覚えていながら私だと認識することができなかった。そのくらい、私はいつもと違うのだ。それは意識しておかなければならない。
一応私は、婚約破棄されたことによって自分に降りかかっている風評被害などを跳ね除けるために、地味な様相を脱却したつもりだ。だがそれは、まず私が私であると認識されなければ、できないことである。ここは積極的に、自身を主張するべきだろうか。
「……あっ」
そんな風に思っていると、私は見知った男性を発見した。
その男性クレイド様は、周囲を見渡している。ニヴェルグ様が言っていたことが確かなら、彼も私を探しているのだろう。
「……!」
クレイド様の視線が、こちらを向いた。彼は目を丸めている。それは明らかに、私を見てのことだ。
彼は少し怪訝な顔をしながら、こちらに近づいてくる。その表情には、どういう意味があるのだろうか。そもそもクレイド様は、私のことをイルセアだとわかっているのだろうか。
「イルセア嬢……どうしたのですか?」
「え?」
私の傍まで来たクレイド様は、開口一番に質問をしてきた。
彼は幾分か困惑している様子だ。いや、どちらかというと心配しているといえるかもしれない。
私のことは私だと理解しているようなので、それはつまり変化に対するものだろうか。
改めて考えてみると、婚約破棄された私が見た目を大幅に変えるというのは、確かに心配になるようなことなのかもしれない。
ニヴェルグ様の時は、彼がそもそも勘違いをしていたという事実に気を取られて気付かなかった。恐らくニヴェルグ様の方も同じだったのだろう。
「ああいや、申し訳ありません。その……イルセア嬢がいつもと随分と違う様相でしたので」
「驚かれていたのですよね……変ですか?」
「いえ、そのようなことはありません。とても似合っています」
クレイド様は、私に対して称賛の言葉をかけてくれた。
ただ彼からは、やはり心配の感情が伝わってくる。クレイド様は優しい方ということは知っていたが、それ程関わりがない私のことをここまで気にしてくれるのはありがたい。
もしかしたら私をダンスのパートナーに決めたのも、そもそもそういった面が関係しているのだろうか。彼ならば、本来複雑な立場にある私を気に掛けてそう決めたとしてもおかしくはないような気がする。
彼とは以前に挨拶を交わしたことがあるし、その後も何度か顔を合わせる機会があったので、顔はよく覚えている。目に入れば、すぐに声はかけられるだろう。
ただ問題は、クレイド様の方が私のことをわかってくれるかどうかということだ。
ニヴェルグ様は、私を覚えていながら私だと認識することができなかった。そのくらい、私はいつもと違うのだ。それは意識しておかなければならない。
一応私は、婚約破棄されたことによって自分に降りかかっている風評被害などを跳ね除けるために、地味な様相を脱却したつもりだ。だがそれは、まず私が私であると認識されなければ、できないことである。ここは積極的に、自身を主張するべきだろうか。
「……あっ」
そんな風に思っていると、私は見知った男性を発見した。
その男性クレイド様は、周囲を見渡している。ニヴェルグ様が言っていたことが確かなら、彼も私を探しているのだろう。
「……!」
クレイド様の視線が、こちらを向いた。彼は目を丸めている。それは明らかに、私を見てのことだ。
彼は少し怪訝な顔をしながら、こちらに近づいてくる。その表情には、どういう意味があるのだろうか。そもそもクレイド様は、私のことをイルセアだとわかっているのだろうか。
「イルセア嬢……どうしたのですか?」
「え?」
私の傍まで来たクレイド様は、開口一番に質問をしてきた。
彼は幾分か困惑している様子だ。いや、どちらかというと心配しているといえるかもしれない。
私のことは私だと理解しているようなので、それはつまり変化に対するものだろうか。
改めて考えてみると、婚約破棄された私が見た目を大幅に変えるというのは、確かに心配になるようなことなのかもしれない。
ニヴェルグ様の時は、彼がそもそも勘違いをしていたという事実に気を取られて気付かなかった。恐らくニヴェルグ様の方も同じだったのだろう。
「ああいや、申し訳ありません。その……イルセア嬢がいつもと随分と違う様相でしたので」
「驚かれていたのですよね……変ですか?」
「いえ、そのようなことはありません。とても似合っています」
クレイド様は、私に対して称賛の言葉をかけてくれた。
ただ彼からは、やはり心配の感情が伝わってくる。クレイド様は優しい方ということは知っていたが、それ程関わりがない私のことをここまで気にしてくれるのはありがたい。
もしかしたら私をダンスのパートナーに決めたのも、そもそもそういった面が関係しているのだろうか。彼ならば、本来複雑な立場にある私を気に掛けてそう決めたとしてもおかしくはないような気がする。
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