91 / 142
彼女の気持ちは(イルフェア視点)
しおりを挟む
私は、自室にルネリアを呼び出していた。彼女から、聞きたいことがあったからである。
「お姉様、ルネリアに聞きたいことって、何なの?」
自室には、ルネリアの他にオルティナがいた。ルネリアを呼び出しに行く時に、偶々廊下で会って、事情を話したら自分も同席したいと言ってきたのである。
別に隠すようなことではないので、私はオルティナも部屋に招いた。結果的に、姉妹勢揃いとなったのだ。
「実は、ルネリアとサガード様のことについて、少し質問したいのよ」
「え?」
「サガード様? 最近、よく家に来ている王子様だよね? その人が、どうかしたの?」
私の言葉に、ルネリアは驚いていた。
その反応で、私は理解する。やはり、彼に何かしらの思いは、あるということだろう。
一方で、オルティナはきょっとんとしている。サガード様の思いに、彼女は気付いていないようだ。
なんというか、もしかしたら私達家族は男とか女とか関係なく、皆鈍いのかもしれない。オルティナの反応に、私はそう思うのだった。
「……ルネリアにとって、サガード様は同年代の仲が良い人よね。実際の所、彼に対してどう思っているか、聞いておきたいの」
「どう思っているか、ですか?」
「ええ……こういうことは、あまり言いたくはないけれど、私達は貴族なの。だから、そういう所はきちんとしておかなければならないわ。という訳で、ルネリアに聞いてみたいの」
私は、ルネリアにそのように切り出した。
彼女は、その質問に対して黙ってしまう。その微妙な表情は、まだあまりよくわかっていないといった所だろうか。
エルーズの話を聞いて、早めに動いた方がいいと思ったが、もしかしたら失敗だったかもしれない。
ルネリアが、自分の気持ちを自覚していない可能性もある。手を打つなら早い方がいいと思っていたが、私の方の気持ちが先走り過ぎていたかもしれない。
「あの……せっかくですから、お姉様に聞いてみたいんですけど、お姉様はキルクス様のことが好きですか?」
「……え?」
そこで、ルネリアから質問が飛んできた。
それが思ってもいなかった質問であったため、私は思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
「私……サガードのことをどう思っているか、自分でもよくわからないんです。だから、お姉様に聞いてみたいんです。もしもお姉様がキルクス様のことが好きなら、それはどういう感情なのかということを……」
「え、えっと……」
ルネリアは、恐る恐るという感じで私にそう説明してきた。
その説明で、私は理解する。彼女が、どういう意図であるかということを。
要するに、彼女は好意というものがどういうものかを知りたいのだろう。自分の今抱いている思いが好意なのかどうかわからないため、それを確かめたいのだ。
そんなことを聞く時点で、それはもう好意を抱いているということなのではないだろうか。そう思いながらも、私はルネリアの質問にどう答えるべきかを考えるのだった。
「お姉様、ルネリアに聞きたいことって、何なの?」
自室には、ルネリアの他にオルティナがいた。ルネリアを呼び出しに行く時に、偶々廊下で会って、事情を話したら自分も同席したいと言ってきたのである。
別に隠すようなことではないので、私はオルティナも部屋に招いた。結果的に、姉妹勢揃いとなったのだ。
「実は、ルネリアとサガード様のことについて、少し質問したいのよ」
「え?」
「サガード様? 最近、よく家に来ている王子様だよね? その人が、どうかしたの?」
私の言葉に、ルネリアは驚いていた。
その反応で、私は理解する。やはり、彼に何かしらの思いは、あるということだろう。
一方で、オルティナはきょっとんとしている。サガード様の思いに、彼女は気付いていないようだ。
なんというか、もしかしたら私達家族は男とか女とか関係なく、皆鈍いのかもしれない。オルティナの反応に、私はそう思うのだった。
「……ルネリアにとって、サガード様は同年代の仲が良い人よね。実際の所、彼に対してどう思っているか、聞いておきたいの」
「どう思っているか、ですか?」
「ええ……こういうことは、あまり言いたくはないけれど、私達は貴族なの。だから、そういう所はきちんとしておかなければならないわ。という訳で、ルネリアに聞いてみたいの」
私は、ルネリアにそのように切り出した。
彼女は、その質問に対して黙ってしまう。その微妙な表情は、まだあまりよくわかっていないといった所だろうか。
エルーズの話を聞いて、早めに動いた方がいいと思ったが、もしかしたら失敗だったかもしれない。
ルネリアが、自分の気持ちを自覚していない可能性もある。手を打つなら早い方がいいと思っていたが、私の方の気持ちが先走り過ぎていたかもしれない。
「あの……せっかくですから、お姉様に聞いてみたいんですけど、お姉様はキルクス様のことが好きですか?」
「……え?」
そこで、ルネリアから質問が飛んできた。
それが思ってもいなかった質問であったため、私は思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
「私……サガードのことをどう思っているか、自分でもよくわからないんです。だから、お姉様に聞いてみたいんです。もしもお姉様がキルクス様のことが好きなら、それはどういう感情なのかということを……」
「え、えっと……」
ルネリアは、恐る恐るという感じで私にそう説明してきた。
その説明で、私は理解する。彼女が、どういう意図であるかということを。
要するに、彼女は好意というものがどういうものかを知りたいのだろう。自分の今抱いている思いが好意なのかどうかわからないため、それを確かめたいのだ。
そんなことを聞く時点で、それはもう好意を抱いているということなのではないだろうか。そう思いながらも、私はルネリアの質問にどう答えるべきかを考えるのだった。
241
あなたにおすすめの小説
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
聖女の座を追われた私は田舎で畑を耕すつもりが、辺境伯様に「君は畑担当ね」と強引に任命されました
さくら
恋愛
王都で“聖女”として人々を癒やし続けてきたリーネ。だが「加護が弱まった」と政争の口実にされ、無慈悲に追放されてしまう。行き場を失った彼女が選んだのは、幼い頃からの夢――のんびり畑を耕す暮らしだった。
ところが辺境の村にたどり着いた途端、無骨で豪胆な領主・辺境伯に「君は畑担当だ」と強引に任命されてしまう。荒れ果てた土地、困窮する領民たち、そして王都から伸びる陰謀の影。追放されたはずの聖女は、鍬を握り、祈りを土に注ぐことで再び人々に希望を芽吹かせていく。
「畑担当の聖女さま」と呼ばれながら笑顔を取り戻していくリーネ。そして彼女を真っ直ぐに支える辺境伯との距離も、少しずつ近づいて……?
畑から始まるスローライフと、不器用な辺境伯との恋。追放された聖女が見つけた本当の居場所は、王都の玉座ではなく、土と緑と温かな人々に囲まれた辺境の畑だった――。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました
Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。
そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。
それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。
必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが…
正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる