甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。

木山楽斗

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33.予想通りの動き

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「……それで、話とはなんでしょうか?」
「ふむ、まあ座れ」

 大方予想していた通り、お父様はすぐに動いてきた。
 お父様は、ナルギスとの話が終わった私をすぐに呼び出したのである。
 お父様の態度は、奇妙な程に柔らかい。邪魔な娘を亡き者にできるという喜びから、機嫌がいいということなのだろう。

「例の事件の際、お前も偶然王城にいたらしいな?」
「ええ、友人……第一王女のイムティア様とは懇意にさせてもらっていますから」
「王女との繋がりか。ふん、お前は王族に気に入られるのが上手いらしいな。第一王子はその限りではなかったらしいが」

 私と話しながら、お父様は紅茶を口に運んだ。
 それは何の変哲もない動作だ。しかしながら事情を知っている私は、それが誘いにしか思えない。

「どうやら第一王子は失脚するらしい。それによって、メレティアの婚約も見直されるかもしれん」
「アラヴェド様とメレティアは、仲が悪くなかったように記憶していますが……」
「もちろん、その辺りはメレティアの意思を尊重するつもりだ。しかしあの子は、今心の傷を癒している所だ」
「そのようですね」

 お父様の言葉に答えてから、私は紅茶を口に運ぶ。
 ナルギスの手筈によって、それが安全であることはわかっている。
 しかしそれでも怖かった。もしも何か一歩間違っていれば、私はそれを飲んだ瞬間に終わってしまうことになる。

「ふっ……」

 私がカップに口をつけた瞬間、お父様が笑っているのが見えた。
 そんな風に笑ったら、バレバレである。そう思いながら、私は紅茶を口に入れた。
 その味は、いつもとまったく変わらない。やはりこれは、普通の紅茶であるようだ。

「……これは?」
「ふふ、ふははっはははっ!」

 とりあえず私は、何が起こっているという演技を始めた。
 私はお父様から自白を引き出す必要がある。そのためにも、彼には私の最期を嘲笑ってもらわなければならないのだ。

「……お父様、一体、何をっ……」
「ふん、間抜けが! この私が、お前をただお茶に誘ったとでも思っていたのか!」
「う、ぐっ……」

 予想通り、お父様は嬉々として言葉を放ち始めた。
 信頼していた通りの反応に、思わず笑ってしまいそうになる。だが、ここは我慢しなければならない。
 お父様はこれから、調子に乗って色々なことを話してくれるだろう。私をより絶望させるために、全てを打ち明けてくれるはずだ。
 その言葉は全て、騎士団の者達が聞くことになる。それによって、お父様は失脚することになるのだ。
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