甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。

木山楽斗

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34.父の自白

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「愚かなる娘よ。お前は、ずっと私の邪魔者だった。そんなお前を始末するのはそう難しいことという訳でもなかった。ただお前には利用価値があり、尚且つこちらの邪魔にならない王城という場所に行ったこともあって生かしてやっていたのだ」
「かっ、はっ……」

 お父様の言葉を聞きながら、私は苦しむ演技をする。
 今の所はばれていないはずだが、その演技が白々しくなっていないかどうかは少し心配だ。

「しかしこともあろうかお前は、このエルバラス侯爵家を乗っ取ろうと企てた。過ぎた願いを抱くからこうなるのだぞ? 大人しく私の傀儡になっていれば、こうはならなかったものを……」
「ど、どうして、そのことをっ……」
「ああ、そうか。お前はまだ知らなかったのだな?」

 お父様は、下卑た笑みを浮かべて私の顔を覗き込んできた。
 死が迫っている娘の顔を嘲笑う。お父様がそういう人だということはわかっていたことだ。
 実の娘に対して、ここまでの仕打ちができる人は中々いないだろう。

「お前の婚約者ナルギスは、ずっと私の味方だったのだ。奴はずる賢い奴だ。冷酷な奴の仕打ちは、私以上に残酷だった。お前に甘言を囁き、篭絡するとはな……」
「ナ、ナルギス様が……」
「信じられないという顔だな? それはそうだろう。しかし、くくくっ、おかしくてたまらない。あの男にまんまと騙されていたとはなぁ!」

 口振りからしてお父様は、ナルギスのことを信じ切っているようだ。
 それが私にとっては、少し滑稽だった。彼はどこまでも私の味方であるからだ。そんな今の私と同じ気持ちを、お父様は抱いているということなのだろう。

「あの男は、お前を殺すための準備を快く引き受けてくれたぞ? お前を今苦しめている毒を用意してくれたのもあいつだ。むごい毒だろう。ゆっくりと体から力を奪っていくんだ。人を苦しめて殺す毒……ふふ、いいものを用意してくれたものだ」
「そんな、彼が……」
「ふふ、絶望しろ。その顔が見たかったんだ。それでこそ、お前を殺す計画を立てた甲斐があるというものだ」
「……いいえ、絶望するのはあなたの方です」
「……何?」

 そこで私は、ゆっくりと体を起こした。
 お父様からは既に決定的な言葉が引き出せている。これ以上、私が倒れている必要もない。
 そんな私に対して、お父様はひどく驚いている。彼は、勝利を確信していた。それが一瞬で覆ってのだから、その反応は当然だ。
 そんなお父様を、私はゆっくりと見下ろしていた。こうして見ると、お父様はなんともちっぽけなものだ。
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