堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。

木山楽斗

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29.動いた事態

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「ルバディオ様、何かあったのですか?」
「クレメリアさん、それが大変なことになっていまして……」

 私が戸を開けると、焦ったような顔をしたルバディオ様がいた。
 その隣には、ウルギア様もいる。こちらも険しい表情だ。
 この二人がこんな顔をしているということは、何か事態が動いたということである。一体、何が起こったというのだろうか。

「何があったのですか?」
「兄上達から連絡がありました。アズガルト兄上とラナルナ嬢を拘束したと……」
「拘束した?」

 ルバディオ様の言葉に、私は少し驚いた。
 元凶の二人が拘束された。それはいい知らせである。ただ、あまりにも呆気ない知らせであるため、少し思考が追いつかない。
 しかし、考えてみればそれは何もおかしくないことである。お祖母様は度々言っていた。二人は勝手に破滅すると。

「詳細はわからないんですが、どうやらあの二人をなんとかすることができたようです」
「大師匠が言っていたことが、正しかったということでしょうか?」
「まあ、そういうことだろうね。しかし、アタシが思っていたよりもかなり早かった。どうやらラナルナは相当、力を使ったようだね……」

 ウルギア様の言葉に、お祖母様は眉をひそめていた。
 これは、彼女にとっても予想外のことであったようだ。

「何はともあれ、これでお二人の助力は必要なくなりました。どうしましょうか? ドナテロ王国に変えられますか?」
「いや、アタシ達も王都まで行かせてもらうよ。その二人の様子を見ておきたいからね。それにできれば、妖術に関する資料は抹消しておきたい。ラナルナという小娘が、どこで知ったかは知らないが、まあ尋問すればわかるだろう」
「そ、そうですか……」

 ラナルナ嬢を止めることが、私とお祖母様がアルフェンド王国の王都に向かっていた理由だ。そのラナルナ嬢が拘束された今、私達が王都に向かう理由の一つが消失した。
 しかしそれでも、万が一ということもあるし、王都に向かうべきだろう。お祖母様の言う通り、二度とこういうことが起きないように努める必要もある。
 結局私達は、王都に向かうべきだろう。二国のこれからのためにも、可能性は潰しておかなければならない。

「ウルギア殿は、どうされますか?」
「僕も同行させていただきますよ。このまま、二国間の和平について話し合いたいですしね」
「それはこちらとしても、ありがたい限りです」
「ふん、それじゃあ旅の行程は特に変わりなし、ということだね。明日に備えて、アタシは休ませてもらうよ」

 お祖母様は、それだけ言ってベッドの方へと歩き始めた。これ以上、話をするつもりはないようである。
 確かに、これ以上何か実りがある議論が交わせる訳ではない。これからも旅は続いていくのだし、しっかりと休んでおく必要があるだろう。

「大師匠もああ言っていますし、僕達も休むとしましょうか。クレメリアさん、おやすみなさい」
「あ、おやすみなさい、ウルギア様、それにルバディオ様も……」
「ええ、夜分遅くに申し訳ありませんでした」

 こうして私達は、それぞれ休息に務めるのだった。
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