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8.貴重な友人
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レシリア様の一件があったことで、私は結局書庫に行きそびれていた。
それについてアゼルトお兄様は、別にいつでも構わないと言ってくれた。という訳で私は、今日もまた別の場所を訪れている。
「まさか、あなたが訪ねて来るとは思っていませんでした」
「すみませんね。お忙しい中、お邪魔してしまって……」
「いえ、別に忙しい訳ではありません。私は騎士見習いに過ぎませんから」
私が来ているのは、騎士の修練場だ。セディルスさんに、レシリア様のことの顛末を伝えに来たのである。
ただ、それは既にアゼルトお兄様の遣いの者が伝えていたらしい。つまり私は、ただ彼の時間を削っただけになったのだ。
「騎士見習いは、充分に忙しいと聞いています。雑用や騎士の任務への同行など、色々とあるのですよね?」
「それは……まあ、そうですね。しかし今は、それ程忙しいという訳ではありません。丁度修練が終わって、休憩時間ですからね」
「そうですか……」
私は修練の終わりを見計らって、ここに来た。一応、その辺りは気遣ったつもりではあるのだ。
ただ私が来訪したことによってか、セディルスさん以外の騎士見習いは辺りからすぐに消えてしまった。それは多分、私と関わり合いたくないからだ。そういう空気を感じた。
「その、セディルスさんは私と関わるのが嫌ではありませんか?」
「……どうしたんですか? 急にそんなことを聞いて」
「いえ、ふと頭を過ったのです。私は複雑な立場ですから」
「それに関しては、なんとも思っていませんよ。私も色々とありますから」
私の質問に対して、セディルスさんは笑みを浮かべていた。
その笑みは、どこか寂しそうに見える。それは彼の言う色々と、関係しているのだろうか。
それについて聞いてもいいのか、私は少し考える。セディルスさんとは、先日出会ったばかりだ。そこまで踏み込んでいい関係性という訳では、ないような気がする。
「……それなら、これからも仲良くしてもらえますか?」
「あなたがそれを望むなら、こちらとしては拒む理由はありません」
「そうですか……」
とりあえず私は、セディルスさんとこれからも友達でいられるかを確認しておいた。
それは結構、重要なことである。この王城において、私と親しくしてくれる人はとても少ないから。
セディルスさんの色々に関しては、もう少し親交を深めてから聞くとしよう。もっと仲良くなれば、もしかしたら彼の方から教えてくれるかもしれないし。
「それでは私はそろそろ、失礼させてもらいます。お邪魔しました」
「いえ、またいつでも声をかけてください」
休憩時間も終わるだろうし、私はその場から立ち去ることにした。
次は書庫に向かう予定である。レシリア様によって随分と後回しになってしまった訳だが、本当に大丈夫なのだろうか。
それについてアゼルトお兄様は、別にいつでも構わないと言ってくれた。という訳で私は、今日もまた別の場所を訪れている。
「まさか、あなたが訪ねて来るとは思っていませんでした」
「すみませんね。お忙しい中、お邪魔してしまって……」
「いえ、別に忙しい訳ではありません。私は騎士見習いに過ぎませんから」
私が来ているのは、騎士の修練場だ。セディルスさんに、レシリア様のことの顛末を伝えに来たのである。
ただ、それは既にアゼルトお兄様の遣いの者が伝えていたらしい。つまり私は、ただ彼の時間を削っただけになったのだ。
「騎士見習いは、充分に忙しいと聞いています。雑用や騎士の任務への同行など、色々とあるのですよね?」
「それは……まあ、そうですね。しかし今は、それ程忙しいという訳ではありません。丁度修練が終わって、休憩時間ですからね」
「そうですか……」
私は修練の終わりを見計らって、ここに来た。一応、その辺りは気遣ったつもりではあるのだ。
ただ私が来訪したことによってか、セディルスさん以外の騎士見習いは辺りからすぐに消えてしまった。それは多分、私と関わり合いたくないからだ。そういう空気を感じた。
「その、セディルスさんは私と関わるのが嫌ではありませんか?」
「……どうしたんですか? 急にそんなことを聞いて」
「いえ、ふと頭を過ったのです。私は複雑な立場ですから」
「それに関しては、なんとも思っていませんよ。私も色々とありますから」
私の質問に対して、セディルスさんは笑みを浮かべていた。
その笑みは、どこか寂しそうに見える。それは彼の言う色々と、関係しているのだろうか。
それについて聞いてもいいのか、私は少し考える。セディルスさんとは、先日出会ったばかりだ。そこまで踏み込んでいい関係性という訳では、ないような気がする。
「……それなら、これからも仲良くしてもらえますか?」
「あなたがそれを望むなら、こちらとしては拒む理由はありません」
「そうですか……」
とりあえず私は、セディルスさんとこれからも友達でいられるかを確認しておいた。
それは結構、重要なことである。この王城において、私と親しくしてくれる人はとても少ないから。
セディルスさんの色々に関しては、もう少し親交を深めてから聞くとしよう。もっと仲良くなれば、もしかしたら彼の方から教えてくれるかもしれないし。
「それでは私はそろそろ、失礼させてもらいます。お邪魔しました」
「いえ、またいつでも声をかけてください」
休憩時間も終わるだろうし、私はその場から立ち去ることにした。
次は書庫に向かう予定である。レシリア様によって随分と後回しになってしまった訳だが、本当に大丈夫なのだろうか。
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