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39.王女への共感
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アゼルトお兄様とイルガン殿下、二人が手を組むということは、王位争奪戦における最大勢力の誕生を意味していた。
エンディ殿下という新たな次期国王候補には、様々な意見が飛び交っているそうだ。それなら安心できるとか、彼には務まらないとか、そういったことなどが。
そんな中、ウルティナ姫から発表があった。自分も兄達の判断を支持すると。
「アゼルト兄上は、やはり信用できない人ですね」
「ふっ、ウルティナ、そのように言われるのは兄として悲しい所だな」
「しかし今回の案に関して、敵対するつもりはありません。エンディを三人で支えるというのは、良い形であると思います」
ウルティナ姫は、アゼルトお兄様に対して少し忌々しそうに言葉をかけていた。
納得できない部分が、あるということだろう。その気持ちは、なんとなくわかる。彼女は随分と、騙されていた訳だし。
「ウルティナ姫……よくわかります」
「む……」
「アゼルトお兄様が、少し性格が悪いということが、私もつい最近わかったのです」
「そうか……!」
ウルティナ姫のことが不憫に思えたため、私は共感を示しておくことにした。
アゼルトお兄様のことは慕っているし尊敬しているが、それでも性格が悪いというか、意地が悪い部分があると言わざるを得ない。
私の言葉に、ウルティナ姫は嬉しそうに笑顔を浮かべている。きっと彼女は、本当に今までアゼルトお兄様から意地悪されてきたのだろう。もう一人の兄であるイルガン殿下も、良い人だが問題がない訳でもないので、彼女も色々と大変なのかもしれない。
「揃って失礼なものだな……」
「あ、すみません、アゼルトお兄様……」
「いや、構わない。それよりもお前は、お前の役割というものを果たすべきだ」
「私の役割、ですか……そうですね。そうしないといけませんよね」
アゼルトお兄様の言葉に、私は頷く。実の所私は、ウルティナ姫に励ましの言葉をかけている場合という訳ではない。私にはやるべきことがあるのだ。
そのやるべきことの関係者は、廊下の先の方から歩いてきている。彼は私の友人であるセディルスさんだ。
「アゼルト兄上、どういうことですか? あれは……」
「ウルティナ、これ以上の介入は野暮というものだ」
「野暮……?」
私は、セディルスさんの方に向かっていく。
彼には、伝えなければならないことがあった。それはアゼルトお兄様から課せられた使命であり、同時に私の望みでもある。
「……メルフィナさん、アゼルト殿下やウルティナ姫との話はもう良いのですか?」
「ええ、セディルスさん。そちらはもう大丈夫です」
後ろを見てみると、アゼルトお兄様とウルティナ姫は既にその場を離れようとしていた。恐らく、私のことを気遣ってくれたのだろう。
それをありがたく思いながら、私は深呼吸する。それからセディルスさんの顔を見て、私は決意を固めるのだった。
エンディ殿下という新たな次期国王候補には、様々な意見が飛び交っているそうだ。それなら安心できるとか、彼には務まらないとか、そういったことなどが。
そんな中、ウルティナ姫から発表があった。自分も兄達の判断を支持すると。
「アゼルト兄上は、やはり信用できない人ですね」
「ふっ、ウルティナ、そのように言われるのは兄として悲しい所だな」
「しかし今回の案に関して、敵対するつもりはありません。エンディを三人で支えるというのは、良い形であると思います」
ウルティナ姫は、アゼルトお兄様に対して少し忌々しそうに言葉をかけていた。
納得できない部分が、あるということだろう。その気持ちは、なんとなくわかる。彼女は随分と、騙されていた訳だし。
「ウルティナ姫……よくわかります」
「む……」
「アゼルトお兄様が、少し性格が悪いということが、私もつい最近わかったのです」
「そうか……!」
ウルティナ姫のことが不憫に思えたため、私は共感を示しておくことにした。
アゼルトお兄様のことは慕っているし尊敬しているが、それでも性格が悪いというか、意地が悪い部分があると言わざるを得ない。
私の言葉に、ウルティナ姫は嬉しそうに笑顔を浮かべている。きっと彼女は、本当に今までアゼルトお兄様から意地悪されてきたのだろう。もう一人の兄であるイルガン殿下も、良い人だが問題がない訳でもないので、彼女も色々と大変なのかもしれない。
「揃って失礼なものだな……」
「あ、すみません、アゼルトお兄様……」
「いや、構わない。それよりもお前は、お前の役割というものを果たすべきだ」
「私の役割、ですか……そうですね。そうしないといけませんよね」
アゼルトお兄様の言葉に、私は頷く。実の所私は、ウルティナ姫に励ましの言葉をかけている場合という訳ではない。私にはやるべきことがあるのだ。
そのやるべきことの関係者は、廊下の先の方から歩いてきている。彼は私の友人であるセディルスさんだ。
「アゼルト兄上、どういうことですか? あれは……」
「ウルティナ、これ以上の介入は野暮というものだ」
「野暮……?」
私は、セディルスさんの方に向かっていく。
彼には、伝えなければならないことがあった。それはアゼルトお兄様から課せられた使命であり、同時に私の望みでもある。
「……メルフィナさん、アゼルト殿下やウルティナ姫との話はもう良いのですか?」
「ええ、セディルスさん。そちらはもう大丈夫です」
後ろを見てみると、アゼルトお兄様とウルティナ姫は既にその場を離れようとしていた。恐らく、私のことを気遣ってくれたのだろう。
それをありがたく思いながら、私は深呼吸する。それからセディルスさんの顔を見て、私は決意を固めるのだった。
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