お飾りの聖女様は裏で私達が必死にフォローしていたなんて、まったく気付いていなかったのでしょうね?

木山楽斗

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18.魔法使いの役割

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 聖女に対する評価が変わる可能性を考慮して、私の仕事はしばらくの間、大々的に取り上げられないことになった。
 希望の象徴である聖女とされるのは、様子を見てからということになる。ただ、それまでも活動しないという訳ではない。

「魔除けの結界というものは、使用者の力量によって効果がかなり変わってくるものなんです」
「やはりそういうものなのか」
「ええ、魔物、それに普通の獣も、やはり強さというものがありますからね。結界の精度によって、その判断は変わってきます」

 魔法使いの仕事は、多岐にわたる。様々な分野において、魔法は活躍しているのだ。
 私は、エリプス伯爵家の領地の魔法分野のアドバイザーのような役目を担っている。聖女の親衛隊だったという経験を活かして、色々と指導してもらいたいと言われたのだ。
 それは中々に重要な役目である。責任は重大であるし、きちんと役目を果たさなければならない。

「それから、結界は日頃から調整しなければいけません。効果がなくなってしまいますからね。ですから、できれば一人か二人くらい、それができる人が常駐しているのが望ましいのですが」
「なるほど、話には聞いていたが、中々に難しいものだな……」
「ええ、そうなんです」

 現在私は、クラウス様とともにエリプス伯爵家の領地を回っている。村や町を守る結界を見て回っているのだ。
 魔物や獣から人々を守る結界は、非常に重要なものだ。ただ、それらが満足に機能しているかというと微妙というのが、現状である。

「この村の結界は、どうなんだ?」
「そうですね。かなり効果が薄くなっていると思います」
「この村には結界を調整できるような魔法使いはいないからな……」
「まあ、そうですよね。いる方が珍しいくらいですから」

 結界を扱える魔法使いというのは、そこまで数が多いという訳ではない。
 嘆かわしいことではあるが、結界が十全に機能させられている所は少ないといえるだろう。特に、規模の小さい村などは大変だ。
 それをなんとかできればいいのだが、中々に難しい問題である。この辺りは、私達魔法使いにとっての課題といえるかもしれない。

「そもそも、結界というものを張ったり調整したりする練習が満足にできませんからね。やったことがある人が、指導していくしかありません。とりあえず、この村の魔法使いにも指導してみますが、この辺りも感覚ですから、どうなるかはわかりません」
「そうか。それならよろしく頼む」

 そんな感じで、私は仕事をこなしていた。
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