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19.王からの謝罪

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 正直言って、王都に再び足を踏む入れることはないと思っていた。
 しかしながら、私は今王都にいる。いやそれ所か、王城の中の玉座の間にて、国王様を前にしている。
 国王様と顔を合わせたことが、ないという訳ではない。だが、この国を統べる者と会うことに慣れる訳もなく、私はかなり緊張している。

「元聖女親衛隊アメリアよ、よく来てくれた」
「い、いえ……その、どうして私を?」

 私の隣には、クラウス様もいる。彼がここまで、私を連れて来てくれたのだ。
 彼がそうしてくれたのには、理由がある。今回の呼び出しの理由が、明かされていないからだ。

「ふむ、それには理由がある。ファルティアのことだ」
「ファルティア様の……」

 国王様は、ファルティア様を止めるために動いていると聞いている。しかし、彼が今まで彼女を放っていたのも事実だ。
 そのため彼が、ファルティア様の味方なのか敵なのかははっきりとわかってはいない。それによって、この呼び出しの意味はかなり変わってくるだろう。

「あれがお主に対してした仕打ち、まずはそれを謝罪しよう。娘が不当にお主を解雇して、本当にすまなかった」
「国王様……」

 国王様は、私に対して謝罪の言葉をかけてきた。
 その言葉に、私は少し安心する。どうやら国王様はナーゼルさんが言っていた通り、ファルティアの味方という訳ではなかったらしい。

「……国王様、その辺りの事情について詳しく聞かせてもらえないでしょうか」
「む……」
「アメリアは、今回の件で多大な迷惑を被りました。あなたがどうして聖女ファルティアの横暴を許していたのか、それらの事情を詳しく聞く権利があると思います」
「ああ、もちろん、その事情も説明するとしよう」

 そこでクラウス様は、少し語気を強めながら言葉を発した。
 彼はどこまでも真っ直ぐな人だ。例え相手が国王様であっても、誠意ある対応を望んでいるのだろう。
 そんな彼の存在は、私にとってとても心強い。彼について来てもらって、本当によかったと思う。

「全ての始まりは、先の大戦だったといえるだろう。あの大戦によって、我が国は多大な被害を被った。悪魔と呼ばれる軍勢は人々に恐怖をばら撒き、偉大なる先代の聖女をも奪っていった」
「悪魔との大戦……」

 国王様は、噛みしめるようにゆっくりと言葉を発していた。
 それは彼も、また傷が癒えていないことを表している。
 悪魔との大戦、王国を突如襲ったあの悲劇は、様々な人の人生を狂わせたといえるのかもしれない。
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