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24.丸く収まって
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エリプス伯爵の発案だった領地に聖女を据えるという計画は、ブライト様によって各地に広まっていった。
その聖女の指導に当たるために、聖女ファルティアは退いた。表向きにはそうなっている。
理由付けのおかげもあってか、国民達も希望である聖女が退いたと聞いても、揺らぐこともなかった。全てが上手くいったのである。
「聖女によって、各地の人々は希望を抱いて生きることができている。父上の計画、引いては王子達の計画は順調であるといえるだろう」
「そうですね。少し安心しています。一時はどうなるかと、思っていましたから」
色々とあったが、丸く収まって本当によかった。
私は現在、エリプス伯爵家の領地の聖女として働いている。
大変なことはあるが、やりがいのある仕事だ。マルセリアさんや孤児院の皆も、喜んでくれている。
「アメリアには、感謝している。君のおかげで、エリプス伯爵家は安定しているといえるだろう」
「それは過言ではありませんか。多少の助けにはなっているとは自負していますが……」
「いいえ、領地の安寧は領主の安心だ。父上も、助かっていると言っていたからな」
「そ、そうですか……」
クラウス様やエリプス伯爵は、私のことをいつも高く評価してくれている。
それはありがたいことだ。ただ気が引ける。いくらなんでも、評価が高すぎるのだ。
「それにもうすぐ、君はエリプス伯爵夫人になる。名実ともに、俺を支えてくれる立場になるんだ」
「それは……そうですけれど」
そんな私とクラウス様は、現在婚約を結んでいる。
エリプス伯爵が、それを決めたのだ。希望の象徴である聖女と次期領主が結ばれる。そういう構図を作りたいようだ。
「平民である私が、まさかそんなことになるなんて……」
「聖女というのは、特権階級である訳だからな……そう定められたのは、俺にとっては良かったことだ。そのおかげで、君と結婚することができる」
「クラウス様……」
「初めて会った時から、君のことが異性として気になっていた。俺は君のことを愛している。それは紛れもない事実だ」
私達の婚約は、利害の関係だけで決められたものという訳ではないのかもしれない。
クラウス様の意思、それも関係していたのではないだろうか。私はそう思っている。
「初めて聞いた時は、驚きました。まさか、そんなことを思っていてくださっているなんて」
「まあ、立場上、あまりその気持ちを前に出すことはできなかったからな……」
「でも、お陰で自覚することができました。私もずっと、クラウス様に想いを寄せていたのだと……」
私はクラウス様に会うと、いつも緊張していた。それは彼が、領主の息子であるからだと考えていた。
しかし、そうではなかったのだ。私は彼のことを異性として見ていたこそ、緊張していたのだ。彼の告白によって、私はそれをやっと理解することができたのである。
「まあなんというか、私達はお互いに心のどこかで気付いていたのかもしれませんが……」
「どうなのだろうな。今となっては、よくわからない。だが、それでもいいだろう。今俺達は、幸せなのだからな」
「ええ、そうですね」
私は、クラウス様の言葉にゆっくりと頷いていた。
これからも私達は、エリプス伯爵家の領地の人々のために尽力していく。
それはきっと、幸せな日々になるだろう。クラウス様の笑顔を見て、私はそう思うのだった。
その聖女の指導に当たるために、聖女ファルティアは退いた。表向きにはそうなっている。
理由付けのおかげもあってか、国民達も希望である聖女が退いたと聞いても、揺らぐこともなかった。全てが上手くいったのである。
「聖女によって、各地の人々は希望を抱いて生きることができている。父上の計画、引いては王子達の計画は順調であるといえるだろう」
「そうですね。少し安心しています。一時はどうなるかと、思っていましたから」
色々とあったが、丸く収まって本当によかった。
私は現在、エリプス伯爵家の領地の聖女として働いている。
大変なことはあるが、やりがいのある仕事だ。マルセリアさんや孤児院の皆も、喜んでくれている。
「アメリアには、感謝している。君のおかげで、エリプス伯爵家は安定しているといえるだろう」
「それは過言ではありませんか。多少の助けにはなっているとは自負していますが……」
「いいえ、領地の安寧は領主の安心だ。父上も、助かっていると言っていたからな」
「そ、そうですか……」
クラウス様やエリプス伯爵は、私のことをいつも高く評価してくれている。
それはありがたいことだ。ただ気が引ける。いくらなんでも、評価が高すぎるのだ。
「それにもうすぐ、君はエリプス伯爵夫人になる。名実ともに、俺を支えてくれる立場になるんだ」
「それは……そうですけれど」
そんな私とクラウス様は、現在婚約を結んでいる。
エリプス伯爵が、それを決めたのだ。希望の象徴である聖女と次期領主が結ばれる。そういう構図を作りたいようだ。
「平民である私が、まさかそんなことになるなんて……」
「聖女というのは、特権階級である訳だからな……そう定められたのは、俺にとっては良かったことだ。そのおかげで、君と結婚することができる」
「クラウス様……」
「初めて会った時から、君のことが異性として気になっていた。俺は君のことを愛している。それは紛れもない事実だ」
私達の婚約は、利害の関係だけで決められたものという訳ではないのかもしれない。
クラウス様の意思、それも関係していたのではないだろうか。私はそう思っている。
「初めて聞いた時は、驚きました。まさか、そんなことを思っていてくださっているなんて」
「まあ、立場上、あまりその気持ちを前に出すことはできなかったからな……」
「でも、お陰で自覚することができました。私もずっと、クラウス様に想いを寄せていたのだと……」
私はクラウス様に会うと、いつも緊張していた。それは彼が、領主の息子であるからだと考えていた。
しかし、そうではなかったのだ。私は彼のことを異性として見ていたこそ、緊張していたのだ。彼の告白によって、私はそれをやっと理解することができたのである。
「まあなんというか、私達はお互いに心のどこかで気付いていたのかもしれませんが……」
「どうなのだろうな。今となっては、よくわからない。だが、それでもいいだろう。今俺達は、幸せなのだからな」
「ええ、そうですね」
私は、クラウス様の言葉にゆっくりと頷いていた。
これからも私達は、エリプス伯爵家の領地の人々のために尽力していく。
それはきっと、幸せな日々になるだろう。クラウス様の笑顔を見て、私はそう思うのだった。
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