派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

木山楽斗

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22.膨大な魔力

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「さて、四人揃いましたね……それでは、始めましょうか。誰からいきますか?」
「ああ、それじゃあ、私からでいいですか?」
「ええ、もちろん構いませんよ」

 私は、最初に測定させてもらうことにした。少なくとも、この場にいる約二名の後に測定するのは嫌だったからだ。
 私は、この後に何が起こるのか知っている。そのことから、先に測定した方がいいと思うのだ。
「それでは……」
「なるほど……八十七ですか」
「まあ、そんなものですよね。予想していたくらいの数値です」

 私が手をかけると、測定器は八十七という数字を表示した。それは、特に高い訳でもない普通くらいの数値である。
 私は、とても一般的な魔力しか持っていない。低くはないが高くもない。そんな特に何も言うことがない数値なのである。

「それでは、次は僕で構いませんか?」
「はい、どうぞ」
「ええ、僕もいいですよ」

 私の次は、バルクド様が測定器を手に取った。彼としても、天才と称される二人の後は嫌だったのだろうか。
 いや、バルクド様の性格を考えるとそういう訳ではないかもしれない。単純に隣だったからだとか、そういう可能性の方が高い気がする。

「えっと……百二ですね。結構、高いですね」
「百二ですか。以前よりは、上がっているようですね」

 測定器が示した数値に、バルクド様は嬉しそうにしていた。どうやら、以前測った時よりも魔力が上がっているようである。
 魔力というものは、本人の努力次第で上がるものだ。恐らく、努力が実ったから、喜んでいるのだろう。
 それは、非常に微笑ましいことである。この後のことを考えると、猶更そう思ってしまう。

「さて、次は僕か」
「ええ、どうぞ」

 次に測定器を手に取ったのは、キャロムである。
 彼は、天才だ。その魔力も、一般人とは比べ物にならない程ある。

「さて……」
「えっと……ご、五百六ですか! すごいですね……」
「当然さ。僕は、天才だからね」

 驚くバルクド様の声に、周囲の人々も反応した。当然のことかもしれないが、流石に五百という数値は驚くべきものだったようだ。
 キャロムは、その周囲の様子に誇らしそうにしている。恐らく、彼にとって、その膨大な魔力は誇りなのだろう。

「さて、次はあなただね。さあ、どうぞ」
「……ええ、失礼します」

 そんなキャロムから、メルティナが測定器を受け取った。彼女は、神妙な顔をしている。それは、これから起こることを彼女も知っているからだろう。
 メルティナは、ゆっくりと測定器に手をかける。すると、測定器はそこに驚くべき数値を映し出してく。

「ろ、六千……百、七十……八? そんな馬鹿な……」

 測定機には、六千百七十八という数値が映し出されている。私どころか、キャロムまでも圧倒するその数値は、普通ではない。
 正直、私も少し驚いている。ゲームではこのイベントの時、彼女の魔力は三千程だったはずだからだ。
 ゲーム終盤の彼女は、その倍まで魔力を増幅させていたようである。その成長速度も、凄まじいものであるらしい。

「う、嘘だ……」

 キャロムは、メルティナの数値に茫然としていた。自分より遥かに膨大な魔力を持つ彼女を、信じられないという風な瞳で見つめている。
 もちろん、驚いているのはキャロムだけではない。周囲の生徒達も、皆驚愕している。
 だが、キャロムはその中でも顕著だ。その絶望的ともいえる表情は、他の人とは比べ物にならない程の驚きを表している。
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