22 / 132
22.膨大な魔力
しおりを挟む
「さて、四人揃いましたね……それでは、始めましょうか。誰からいきますか?」
「ああ、それじゃあ、私からでいいですか?」
「ええ、もちろん構いませんよ」
私は、最初に測定させてもらうことにした。少なくとも、この場にいる約二名の後に測定するのは嫌だったからだ。
私は、この後に何が起こるのか知っている。そのことから、先に測定した方がいいと思うのだ。
「それでは……」
「なるほど……八十七ですか」
「まあ、そんなものですよね。予想していたくらいの数値です」
私が手をかけると、測定器は八十七という数字を表示した。それは、特に高い訳でもない普通くらいの数値である。
私は、とても一般的な魔力しか持っていない。低くはないが高くもない。そんな特に何も言うことがない数値なのである。
「それでは、次は僕で構いませんか?」
「はい、どうぞ」
「ええ、僕もいいですよ」
私の次は、バルクド様が測定器を手に取った。彼としても、天才と称される二人の後は嫌だったのだろうか。
いや、バルクド様の性格を考えるとそういう訳ではないかもしれない。単純に隣だったからだとか、そういう可能性の方が高い気がする。
「えっと……百二ですね。結構、高いですね」
「百二ですか。以前よりは、上がっているようですね」
測定器が示した数値に、バルクド様は嬉しそうにしていた。どうやら、以前測った時よりも魔力が上がっているようである。
魔力というものは、本人の努力次第で上がるものだ。恐らく、努力が実ったから、喜んでいるのだろう。
それは、非常に微笑ましいことである。この後のことを考えると、猶更そう思ってしまう。
「さて、次は僕か」
「ええ、どうぞ」
次に測定器を手に取ったのは、キャロムである。
彼は、天才だ。その魔力も、一般人とは比べ物にならない程ある。
「さて……」
「えっと……ご、五百六ですか! すごいですね……」
「当然さ。僕は、天才だからね」
驚くバルクド様の声に、周囲の人々も反応した。当然のことかもしれないが、流石に五百という数値は驚くべきものだったようだ。
キャロムは、その周囲の様子に誇らしそうにしている。恐らく、彼にとって、その膨大な魔力は誇りなのだろう。
「さて、次はあなただね。さあ、どうぞ」
「……ええ、失礼します」
そんなキャロムから、メルティナが測定器を受け取った。彼女は、神妙な顔をしている。それは、これから起こることを彼女も知っているからだろう。
メルティナは、ゆっくりと測定器に手をかける。すると、測定器はそこに驚くべき数値を映し出してく。
「ろ、六千……百、七十……八? そんな馬鹿な……」
測定機には、六千百七十八という数値が映し出されている。私どころか、キャロムまでも圧倒するその数値は、普通ではない。
正直、私も少し驚いている。ゲームではこのイベントの時、彼女の魔力は三千程だったはずだからだ。
ゲーム終盤の彼女は、その倍まで魔力を増幅させていたようである。その成長速度も、凄まじいものであるらしい。
「う、嘘だ……」
キャロムは、メルティナの数値に茫然としていた。自分より遥かに膨大な魔力を持つ彼女を、信じられないという風な瞳で見つめている。
もちろん、驚いているのはキャロムだけではない。周囲の生徒達も、皆驚愕している。
だが、キャロムはその中でも顕著だ。その絶望的ともいえる表情は、他の人とは比べ物にならない程の驚きを表している。
「ああ、それじゃあ、私からでいいですか?」
「ええ、もちろん構いませんよ」
私は、最初に測定させてもらうことにした。少なくとも、この場にいる約二名の後に測定するのは嫌だったからだ。
私は、この後に何が起こるのか知っている。そのことから、先に測定した方がいいと思うのだ。
「それでは……」
「なるほど……八十七ですか」
「まあ、そんなものですよね。予想していたくらいの数値です」
私が手をかけると、測定器は八十七という数字を表示した。それは、特に高い訳でもない普通くらいの数値である。
私は、とても一般的な魔力しか持っていない。低くはないが高くもない。そんな特に何も言うことがない数値なのである。
「それでは、次は僕で構いませんか?」
「はい、どうぞ」
「ええ、僕もいいですよ」
私の次は、バルクド様が測定器を手に取った。彼としても、天才と称される二人の後は嫌だったのだろうか。
いや、バルクド様の性格を考えるとそういう訳ではないかもしれない。単純に隣だったからだとか、そういう可能性の方が高い気がする。
「えっと……百二ですね。結構、高いですね」
「百二ですか。以前よりは、上がっているようですね」
測定器が示した数値に、バルクド様は嬉しそうにしていた。どうやら、以前測った時よりも魔力が上がっているようである。
魔力というものは、本人の努力次第で上がるものだ。恐らく、努力が実ったから、喜んでいるのだろう。
それは、非常に微笑ましいことである。この後のことを考えると、猶更そう思ってしまう。
「さて、次は僕か」
「ええ、どうぞ」
次に測定器を手に取ったのは、キャロムである。
彼は、天才だ。その魔力も、一般人とは比べ物にならない程ある。
「さて……」
「えっと……ご、五百六ですか! すごいですね……」
「当然さ。僕は、天才だからね」
驚くバルクド様の声に、周囲の人々も反応した。当然のことかもしれないが、流石に五百という数値は驚くべきものだったようだ。
キャロムは、その周囲の様子に誇らしそうにしている。恐らく、彼にとって、その膨大な魔力は誇りなのだろう。
「さて、次はあなただね。さあ、どうぞ」
「……ええ、失礼します」
そんなキャロムから、メルティナが測定器を受け取った。彼女は、神妙な顔をしている。それは、これから起こることを彼女も知っているからだろう。
メルティナは、ゆっくりと測定器に手をかける。すると、測定器はそこに驚くべき数値を映し出してく。
「ろ、六千……百、七十……八? そんな馬鹿な……」
測定機には、六千百七十八という数値が映し出されている。私どころか、キャロムまでも圧倒するその数値は、普通ではない。
正直、私も少し驚いている。ゲームではこのイベントの時、彼女の魔力は三千程だったはずだからだ。
ゲーム終盤の彼女は、その倍まで魔力を増幅させていたようである。その成長速度も、凄まじいものであるらしい。
「う、嘘だ……」
キャロムは、メルティナの数値に茫然としていた。自分より遥かに膨大な魔力を持つ彼女を、信じられないという風な瞳で見つめている。
もちろん、驚いているのはキャロムだけではない。周囲の生徒達も、皆驚愕している。
だが、キャロムはその中でも顕著だ。その絶望的ともいえる表情は、他の人とは比べ物にならない程の驚きを表している。
20
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる