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48.一つの可能性
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「……アルフィア様は、この学園に入るまで、魔力の訓練を頑張っていましたか?」
「え? 別に、そんなに頑張ってはいなかったと思うわ……」
「それで、八十だったのですか?」
「ええ」
「まあ、僕みたいに目的がなかったら、そこまで頑張ることはないだろうね」
「ということは……」
メルティナは、ゆっくりと目を瞑った。何かを考えているようだ。
この状況で考えること。それは、恐らく重要なことだろう。
そう思ったため、私とキャロムは待った。メルティナの結論が出るのを。
「前のアルフィア様の魔力は、六十程でした。恐らく、魔力の量というものは魂に結びついているのでしょう。体ではなく、魂に」
「魂に?」
「え? 何を言っているんだい?」
メルティナの言葉に、私は考える。魔力の量というものが、魂に結びついている。その結論は、何を示しているのだろうか。
「今回の事件を、ファルーシャは引き起こせない。彼女では、魔力が足りないから。でも……」
「ええ、魔力が高い魂が、彼女の中にあるのだとしたら……」
「まさか……彼女の中に、もう一つ魂が入っているというの?」
「そうです」
私は、驚いた。メルティナの考えは、にわかには信じられないものだったからだ。
だが、私が違う世界からこの体に入ったように、他の魂が誰かの体に入っていても、それはおかしいことではない。その体に魂があったら入れないとも限らないため、メルティナが言っている通りのことが起こっている可能性はあるだろう。
「ファルーシャ様が自覚しているかしていないかはわかりませんが、その可能性はあると思うのです。そう考えると、色々な事柄が納得できますから」
「色々な事柄?」
「レフェイラ様は、三回魔法を使いました。一つは迷宮魔法、もう一つは魂奪取魔法、そしてもう一つが魂が別の体に乗り移る魔法だったとしたら、今回の事件は筋が通るとは思いませんか?」
「……体育館で、ファルーシャの体を使って、レフェイラに乗り移り、レファイラの体で事件を起こし……」
「魂奪取魔法で、レファイラの体から本人の魂を抜き取り、自分はファルーシャの体に乗り移る。この工程なら、どうですか?」
メルティナの推測は、納得できるものだった。確かに、それなら三回の魔法の謎が解ける。
何者かが、この事件の裏で動いている。それが、魂であった。その正体の掴めなさからしても、なんだかしっくりくる。
「よくわからないけど……まあ、確かにそういう魂があるというなら、違和感はないかもしれないね。でも、もしそんな魂があるというなら、それは一体何者なんだろう? そんなことをする必要がある人物……というか、できる人物なんて、いるんだろうか?」
「ここまでの話は、全て私の推測です。ですから、その魂が何者かという結論も、推測に過ぎません。あまりに突拍子のないことなので、先にそう前置きしておきます」
「一体、どういうことなの?」
「私達は、魂に関する魔法に詳しく、その魂の行方がわかっていない人物を一人知っています」
「……まさか」
「そんな……」
私とキャロムは、メルティナの言葉に驚いた。彼女が誰のことをいっているのか、それを理解したためである。
「え? 別に、そんなに頑張ってはいなかったと思うわ……」
「それで、八十だったのですか?」
「ええ」
「まあ、僕みたいに目的がなかったら、そこまで頑張ることはないだろうね」
「ということは……」
メルティナは、ゆっくりと目を瞑った。何かを考えているようだ。
この状況で考えること。それは、恐らく重要なことだろう。
そう思ったため、私とキャロムは待った。メルティナの結論が出るのを。
「前のアルフィア様の魔力は、六十程でした。恐らく、魔力の量というものは魂に結びついているのでしょう。体ではなく、魂に」
「魂に?」
「え? 何を言っているんだい?」
メルティナの言葉に、私は考える。魔力の量というものが、魂に結びついている。その結論は、何を示しているのだろうか。
「今回の事件を、ファルーシャは引き起こせない。彼女では、魔力が足りないから。でも……」
「ええ、魔力が高い魂が、彼女の中にあるのだとしたら……」
「まさか……彼女の中に、もう一つ魂が入っているというの?」
「そうです」
私は、驚いた。メルティナの考えは、にわかには信じられないものだったからだ。
だが、私が違う世界からこの体に入ったように、他の魂が誰かの体に入っていても、それはおかしいことではない。その体に魂があったら入れないとも限らないため、メルティナが言っている通りのことが起こっている可能性はあるだろう。
「ファルーシャ様が自覚しているかしていないかはわかりませんが、その可能性はあると思うのです。そう考えると、色々な事柄が納得できますから」
「色々な事柄?」
「レフェイラ様は、三回魔法を使いました。一つは迷宮魔法、もう一つは魂奪取魔法、そしてもう一つが魂が別の体に乗り移る魔法だったとしたら、今回の事件は筋が通るとは思いませんか?」
「……体育館で、ファルーシャの体を使って、レフェイラに乗り移り、レファイラの体で事件を起こし……」
「魂奪取魔法で、レファイラの体から本人の魂を抜き取り、自分はファルーシャの体に乗り移る。この工程なら、どうですか?」
メルティナの推測は、納得できるものだった。確かに、それなら三回の魔法の謎が解ける。
何者かが、この事件の裏で動いている。それが、魂であった。その正体の掴めなさからしても、なんだかしっくりくる。
「よくわからないけど……まあ、確かにそういう魂があるというなら、違和感はないかもしれないね。でも、もしそんな魂があるというなら、それは一体何者なんだろう? そんなことをする必要がある人物……というか、できる人物なんて、いるんだろうか?」
「ここまでの話は、全て私の推測です。ですから、その魂が何者かという結論も、推測に過ぎません。あまりに突拍子のないことなので、先にそう前置きしておきます」
「一体、どういうことなの?」
「私達は、魂に関する魔法に詳しく、その魂の行方がわかっていない人物を一人知っています」
「……まさか」
「そんな……」
私とキャロムは、メルティナの言葉に驚いた。彼女が誰のことをいっているのか、それを理解したためである。
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