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49.体育館での決戦
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私とメルティナは、体育館に来ていた。ここで、一人の人物を待っているのだ。
その人物は、ゆっくりと体育館の中に入って来る。ファルーシャ・ラルキネス侯爵令嬢、私達が事件の黒幕と睨んでいる人物だ。
いや、それは正確ではない。なぜなら、私達が犯人と睨んでいる人物は、彼女であって彼女ではない人物だからだ。
「お二人とも、どうされたのですか? 急に、体育館に呼び出すなんて……」
「あなたと少し話がしたいと思ったのです」
「こんな所で、ですか?」
「ええ」
ファルーシャは、少し困惑していた。それは、別におかしな反応ではない。体育館という特別な場所に呼び出されれば、誰だって混乱するだろう。
「ファルーシャ様は、レフェイラ様に随分と慕われていたようですね?」
「レフェイラさんですか? ええ、確かに彼女には慕われていましたね……あんなことになって、本当に残念です」
レフェイラの取り巻きからメルティナが改めて話を伺った所、レフェイラがファルーシャを慕っていたということがわかった。
それも、別におかしなことではないだろう。ファルーシャは、優しく美人だ。誰かに慕われるような存在として、違和感はない。
「彼女が、メルティナに対してしていた扱いを、あなたはご存知でしたか? 噂にはなっているので、あなたの耳にも入ってきているとは思いますが」
「いえ、知りませんでした……まさか、そんなひどいことをしているなんて、思ってもいませんでした。もし知っていたら……」
ファルーシャは、レフェイラの行いに対して悲しそうな顔をした。それが偽りのものであるとはできれば考えたくはない。
メルティナの考えが正しければ、ファルーシャが無実であるという可能性はある。級友に裏があったとは考えたくないため、できればそちらであって欲しいというのが、私の気持ちだ。
「……ファルーシャ様、少しいいですか?」
「え?」
そこで、メルティナはファルーシャに近づいた。すると、妙な反応が返ってくる。
ファルーシャが、後退ったのだ。近づいて来るメルティナを拒絶するようなその反応は、彼女にしては妙である。
「おや、どうかされましたか?」
「い、いえ……」
メルティナの指摘に、ファルーシャは焦るような表情を見せた。
恐らく、ファルーシャは思ったのだろう。メルティナに近づかれると何をされるかわからないと。
どうして、そんな思考をする必要があるのだろうか。クラスメイトに対して、そんな感情を抱くのは、明らかにおかしいことだ。
「どうやら、あなたはここに来る時点で何かがあると思っていたようですね」
「……」
「そろそろ、本当のことを話していただけませんか?」
「ふふっ……」
メルティナの質問に、ファルーシャは笑みを浮かべた。その笑みは、今までの彼女と比べて、歪んだものだった。
その瞬間、私達は理解する。やはり、彼女がこの事件の黒幕だったのだと。
その人物は、ゆっくりと体育館の中に入って来る。ファルーシャ・ラルキネス侯爵令嬢、私達が事件の黒幕と睨んでいる人物だ。
いや、それは正確ではない。なぜなら、私達が犯人と睨んでいる人物は、彼女であって彼女ではない人物だからだ。
「お二人とも、どうされたのですか? 急に、体育館に呼び出すなんて……」
「あなたと少し話がしたいと思ったのです」
「こんな所で、ですか?」
「ええ」
ファルーシャは、少し困惑していた。それは、別におかしな反応ではない。体育館という特別な場所に呼び出されれば、誰だって混乱するだろう。
「ファルーシャ様は、レフェイラ様に随分と慕われていたようですね?」
「レフェイラさんですか? ええ、確かに彼女には慕われていましたね……あんなことになって、本当に残念です」
レフェイラの取り巻きからメルティナが改めて話を伺った所、レフェイラがファルーシャを慕っていたということがわかった。
それも、別におかしなことではないだろう。ファルーシャは、優しく美人だ。誰かに慕われるような存在として、違和感はない。
「彼女が、メルティナに対してしていた扱いを、あなたはご存知でしたか? 噂にはなっているので、あなたの耳にも入ってきているとは思いますが」
「いえ、知りませんでした……まさか、そんなひどいことをしているなんて、思ってもいませんでした。もし知っていたら……」
ファルーシャは、レフェイラの行いに対して悲しそうな顔をした。それが偽りのものであるとはできれば考えたくはない。
メルティナの考えが正しければ、ファルーシャが無実であるという可能性はある。級友に裏があったとは考えたくないため、できればそちらであって欲しいというのが、私の気持ちだ。
「……ファルーシャ様、少しいいですか?」
「え?」
そこで、メルティナはファルーシャに近づいた。すると、妙な反応が返ってくる。
ファルーシャが、後退ったのだ。近づいて来るメルティナを拒絶するようなその反応は、彼女にしては妙である。
「おや、どうかされましたか?」
「い、いえ……」
メルティナの指摘に、ファルーシャは焦るような表情を見せた。
恐らく、ファルーシャは思ったのだろう。メルティナに近づかれると何をされるかわからないと。
どうして、そんな思考をする必要があるのだろうか。クラスメイトに対して、そんな感情を抱くのは、明らかにおかしいことだ。
「どうやら、あなたはここに来る時点で何かがあると思っていたようですね」
「……」
「そろそろ、本当のことを話していただけませんか?」
「ふふっ……」
メルティナの質問に、ファルーシャは笑みを浮かべた。その笑みは、今までの彼女と比べて、歪んだものだった。
その瞬間、私達は理解する。やはり、彼女がこの事件の黒幕だったのだと。
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