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58.悪役令嬢の裏側
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「ファルーシャ、アルフィアとレフェイラの魂は、どうなっているの?」
「それは、順を追って説明します。まずは、アルフィア様の魂が奪われる経緯から……」
「ええ、お願い」
私の言葉に、ファルーシャはゆっくりと頷いてくれた。二人の魂、それは一体どうなっているのだろうか。
「シャザームは、魔法学園に入学するまで、特に目立ったことはしませんでした。リリシア様の魂を手に入れられなかったことで、慎重になったのでしょう。その間、私は彼女に精神を蝕まれていきました。入学前くらいには、彼女の意のままに行動するような状態でした」
ファルーシャは、暗い顔をしていた。他人に自分を乗っ取られる。それは、とても辛いことだっただろう。そんな顔になるのも、当然のことである。
「ある時、シャザームはメルティナさんの噂を聞きつけました。そこで、彼女は決意したのです。メルティナさんを排除しなければならないと……」
「私を排除……」
「そのために、彼女はアルフィア様を扇動することにしました。自ら動くことは危険だと思ったのか、彼女を扇動したのです」
ファルーシャの説明は、メルティナがかつて予測していた通りのものだった。
何者かが、アルフィアを裏で操っていた。それが、シャザームだったのだ。
「シャザームは、巧みな話術でアルフィア様を操りました。恐らく、彼女は操られていることすら、気づいていなかったでしょう。それは、レフェイラも同じですが……」
「入学式の時……私に、メルティナがすごいと言っていたように、二人を扇動したのね……」
「そうですね……多分、あの時もアルフィア様を利用できないかと考えていたのだと思います。もっとも、あなたが変わったことは把握していたはずですから、それ程期待はしていなかったでしょうが……」
彼女が、何故シャザームの言葉に惑わされたかは、なんとなくわかる。シャザームが話術に長けていたのもそうなのだろうが、きっとアルフィアの境遇が理由だ。
両親から虐げられてきた彼女がそういう行動を取りそうだと私は思っている。実際に彼女になって体験して、そう思うようになったのだ。
もっとも、それで彼女の罪が許される訳ではない。その罪は、償う必要があるものだろう。
「ファルーシャ様、少しいいでしょうか?」
「メルティナさん? どうかされましたか?」
「アルフィア様は私を虐げてきました。ただ、彼女が裁かれることになった事件に関して、私は疑問を持っています。彼女一人で、あれだけのことができたのかと……」
「お察しの通り、あの事件にはシャザームが関わっています。らちが明かないと思った彼女は、アルフィア様に自身の魔力を授けて、操ったのです」
「やはり、そういうことでしたか……」
メルティナは、ファルーシャの言葉に納得していた。
アルフィアが最後に起こした事件、それは魔法でメルティナを陥れようとしたという事件である。
それは考えてみれば、おかしいことだった。彼女の魔力を考えると、起こせる事件ではなかったのだ。
その真実は、シャザームの関与である。レフェイラの時もそうだが、彼女が裏で動いていたのだ。
「それは、順を追って説明します。まずは、アルフィア様の魂が奪われる経緯から……」
「ええ、お願い」
私の言葉に、ファルーシャはゆっくりと頷いてくれた。二人の魂、それは一体どうなっているのだろうか。
「シャザームは、魔法学園に入学するまで、特に目立ったことはしませんでした。リリシア様の魂を手に入れられなかったことで、慎重になったのでしょう。その間、私は彼女に精神を蝕まれていきました。入学前くらいには、彼女の意のままに行動するような状態でした」
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「ある時、シャザームはメルティナさんの噂を聞きつけました。そこで、彼女は決意したのです。メルティナさんを排除しなければならないと……」
「私を排除……」
「そのために、彼女はアルフィア様を扇動することにしました。自ら動くことは危険だと思ったのか、彼女を扇動したのです」
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何者かが、アルフィアを裏で操っていた。それが、シャザームだったのだ。
「シャザームは、巧みな話術でアルフィア様を操りました。恐らく、彼女は操られていることすら、気づいていなかったでしょう。それは、レフェイラも同じですが……」
「入学式の時……私に、メルティナがすごいと言っていたように、二人を扇動したのね……」
「そうですね……多分、あの時もアルフィア様を利用できないかと考えていたのだと思います。もっとも、あなたが変わったことは把握していたはずですから、それ程期待はしていなかったでしょうが……」
彼女が、何故シャザームの言葉に惑わされたかは、なんとなくわかる。シャザームが話術に長けていたのもそうなのだろうが、きっとアルフィアの境遇が理由だ。
両親から虐げられてきた彼女がそういう行動を取りそうだと私は思っている。実際に彼女になって体験して、そう思うようになったのだ。
もっとも、それで彼女の罪が許される訳ではない。その罪は、償う必要があるものだろう。
「ファルーシャ様、少しいいでしょうか?」
「メルティナさん? どうかされましたか?」
「アルフィア様は私を虐げてきました。ただ、彼女が裁かれることになった事件に関して、私は疑問を持っています。彼女一人で、あれだけのことができたのかと……」
「お察しの通り、あの事件にはシャザームが関わっています。らちが明かないと思った彼女は、アルフィア様に自身の魔力を授けて、操ったのです」
「やはり、そういうことでしたか……」
メルティナは、ファルーシャの言葉に納得していた。
アルフィアが最後に起こした事件、それは魔法でメルティナを陥れようとしたという事件である。
それは考えてみれば、おかしいことだった。彼女の魔力を考えると、起こせる事件ではなかったのだ。
その真実は、シャザームの関与である。レフェイラの時もそうだが、彼女が裏で動いていたのだ。
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