派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

木山楽斗

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93.学ぶ姿勢

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 私とドルキンス、そしてキャロムの三人は、ディゾール様から魔法を教えてもらうことになった。
 という訳で、とある日の放課後、私達は空き教室に集まった。ここは、メルティナやキャロムやディゾール様が魔法の開発に使っていた教室である。

「……さて、魔法の基礎知識については、この学園の授業でわかっているはずだ。故に省きたい所だが……ドルキンス、お前は魔力というものがどういうものなのか、正しく認識しているか?」
「……すまない、兄上」

 ディゾール様の質問に、ドルキンスは正座をして頭を下げた。それは、まったくわからないということを表しているのだろう。
 それに対して、ディゾール様は呆れたようにため息を吐く。ドルキンスも、それには少し気まずそうにしている。

「……俺が勧めた参考書にも、それは書いてあるはずだが、お前はまだ読んでいなかったか?」
「あ、ああ、シズカ嬢に先に読んでもらうことにしたからな」
「……ならば、教科書を読んでおけ。基礎知識を学ぶということにおいては、それでも問題はないだろう」
「あ、確かにそうだな。盲点だったぜ」

 ドルキンスの言葉に、ディゾール様は頭を抱えていた。その顔は、少し疲れているように見える。
 確かに、ドルキンスのこの態度は、場合によっては疲れるかもしれない。いつもは頼もしいとさえ思える能天気さだが、こういう時にそれはプラスには働ないだろう。

「魔力というのは、生命に宿るエネルギーだ。そのエネルギーを何かに変えることで、魔法というものは生まれる。宿っているエネルギーが多ければ多い程、高度な魔法が使えるし、手数も増やすことができる。それは、理解できるか?」
「あ、ああ、なんとなくは……」
「そんな生命エネルギーを増やす方法は、単純だ。魔法を使い、魔力を消費して、休息する。そうすることで、魔力は増えていく。筋肉と同じものだと考えていいだろう」
「筋肉?」
「……」

 ディゾール様の説明に、ドルキンスは?マークを浮かべていた。どうやら、筋肉と同じといわれても、彼には理解できないようだ。
 それに対して、ディゾール様はまたも頭を抱えた。なんというか、彼も大変である。

「……まあ、いい。仕組みの理解は後でもいい。今はとりあえず、魔力を高める訓練を行えばいい」
「そ、そうか……」

 ディゾール様は、少し苦しそうだった。しかし、それでもなんとか現状をまとめてくれた。
 ドルキンスは何も理解していないかもしれないが、学びたいと思う姿勢はある。ディゾール様は、恐らくそれを評価してこれ以上何も言わなかったのだろう。
 ドルキンスも、魔法の知識はこれがゆっくりと学んでいくはずだ。今はとりあえず、魔法の訓練を優先するべきだろう。
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