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94.基礎訓練から
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「さて、それでは魔法の訓練を始める。まずは全員、魔力を放出してもらう」
「魔力を放出する?」
「体に魔力を纏わせて防御するというのは、一般的な魔力の使い方だ。それを応用すると、このようになる」
ディゾール様は、言葉とともに体に魔力を纏った。それは、私達の目にはっきり見える程、大きな魔力だ。
私も、同じように体に魔力を纏ってみる。とりあえず、いつも通りやってみればいいだろう。
「あっ……」
「うん? どうかしたのか? シズカ嬢?」
私は、無事体に魔力を纏うことができた。しかし、よく考えてみれば、それは驚くべきことだったのだ。
私は、向こうの世界で魔法を使うことはできなかった。それなのに、こちらの世界では自然に使えたのである。
それは、思えば不思議なことだ。二つの世界を行き来する際で、何か身体に変化が起こっているのだろうか。
「えっと……なんでもないよ」
「そうか? それなら、いいんだが……」
疑問はあったが、私はそれを言わないことにした。今は、魔法の訓練に集中するべきだと思ったからだ。
これに関しては、後で皆と話し合えばいいだろう。そこまで重要なことではないし、それでいいはずだ。
「さてと……これで、体に纏う魔力を増やせばいいんでしょうか?」
「ああ、まずはそうしてみろ」
「こういう感じか……」
私とドルキンスは、身に纏う魔力の出力を上げた。
すると、額から汗が流れ出てくる。なんだか、少し息苦しい。
「あ、兄上、これは……」
「魔力を身に纏う際に、必要以上の魔力を使うと、それは体から離れていく。留めておくこともできるが、それはとても難しいことだ」
「なるほど……それが、魔力の放出ということなのですね?」
「そういうことだ。魔力を消費することにおいて、これはもっと簡単で効率的だ。まず、そのやり方を覚えておけ」
ディゾール様の言う通り、これは大きく魔力を消費する手法だ。やり方も簡単だし、確かに効率的だといえる。
しかし、これはとても辛い。魔力が体からどんどんと抜けていくこの感覚は、気持ちが悪いし、とても疲れる。できることなら、あまりやりたくはないことだ。
「……魔法の修行で重要なのは、精神力だ。この状態は、苦しいものかもしれないが、それを我慢できるようになれ」
「は、はい……」
「そして、この魔力の放出は次の修行にも繋がる。それは、魔力の精密動作性の向上だ」
「精密動作性?」
そこで、ディゾール様から放たれる魔力が変化していく。無造作に解き放たれていた魔力は、彼の周りで球となったのだ。
「このように、魔力を操作することで自らを守る結界を作れる。この状態なら、無駄な魔力を消費することもない」
「そんなことが……」
「俺のように球を作ることを意識して、魔力を留めてみろ。といっても、最初は難しいだろうがな……」
「うっ……」
ディゾール様に言われて、魔力を操作しようとしてみたが、まったく上手くいかない。
当然のことではあるが、あのように球にするのは難しいことであるようだ。
「お前達は、まずこれを修得しろ」
「は、はい……」
「わ、わかったぜ……」
ディゾール様の言葉に、私とドルキンスはゆっくりと頷いた。
こうして、私達はこの課題に取り組むことになったのである。
「魔力を放出する?」
「体に魔力を纏わせて防御するというのは、一般的な魔力の使い方だ。それを応用すると、このようになる」
ディゾール様は、言葉とともに体に魔力を纏った。それは、私達の目にはっきり見える程、大きな魔力だ。
私も、同じように体に魔力を纏ってみる。とりあえず、いつも通りやってみればいいだろう。
「あっ……」
「うん? どうかしたのか? シズカ嬢?」
私は、無事体に魔力を纏うことができた。しかし、よく考えてみれば、それは驚くべきことだったのだ。
私は、向こうの世界で魔法を使うことはできなかった。それなのに、こちらの世界では自然に使えたのである。
それは、思えば不思議なことだ。二つの世界を行き来する際で、何か身体に変化が起こっているのだろうか。
「えっと……なんでもないよ」
「そうか? それなら、いいんだが……」
疑問はあったが、私はそれを言わないことにした。今は、魔法の訓練に集中するべきだと思ったからだ。
これに関しては、後で皆と話し合えばいいだろう。そこまで重要なことではないし、それでいいはずだ。
「さてと……これで、体に纏う魔力を増やせばいいんでしょうか?」
「ああ、まずはそうしてみろ」
「こういう感じか……」
私とドルキンスは、身に纏う魔力の出力を上げた。
すると、額から汗が流れ出てくる。なんだか、少し息苦しい。
「あ、兄上、これは……」
「魔力を身に纏う際に、必要以上の魔力を使うと、それは体から離れていく。留めておくこともできるが、それはとても難しいことだ」
「なるほど……それが、魔力の放出ということなのですね?」
「そういうことだ。魔力を消費することにおいて、これはもっと簡単で効率的だ。まず、そのやり方を覚えておけ」
ディゾール様の言う通り、これは大きく魔力を消費する手法だ。やり方も簡単だし、確かに効率的だといえる。
しかし、これはとても辛い。魔力が体からどんどんと抜けていくこの感覚は、気持ちが悪いし、とても疲れる。できることなら、あまりやりたくはないことだ。
「……魔法の修行で重要なのは、精神力だ。この状態は、苦しいものかもしれないが、それを我慢できるようになれ」
「は、はい……」
「そして、この魔力の放出は次の修行にも繋がる。それは、魔力の精密動作性の向上だ」
「精密動作性?」
そこで、ディゾール様から放たれる魔力が変化していく。無造作に解き放たれていた魔力は、彼の周りで球となったのだ。
「このように、魔力を操作することで自らを守る結界を作れる。この状態なら、無駄な魔力を消費することもない」
「そんなことが……」
「俺のように球を作ることを意識して、魔力を留めてみろ。といっても、最初は難しいだろうがな……」
「うっ……」
ディゾール様に言われて、魔力を操作しようとしてみたが、まったく上手くいかない。
当然のことではあるが、あのように球にするのは難しいことであるようだ。
「お前達は、まずこれを修得しろ」
「は、はい……」
「わ、わかったぜ……」
ディゾール様の言葉に、私とドルキンスはゆっくりと頷いた。
こうして、私達はこの課題に取り組むことになったのである。
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