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第20話 私の選択は

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 私は、自室に戻って来ていた。
 一度、考えをまとめたいと思ったからだ。

 まず、私は自分の夫になるメルスード家の当主を決める。
 それは間違いない。私は、選択しなければならないのだ。
 選択肢は、三つ。イルルド、ウルーグ、エルディンの中から一人を選ぶ。

「うーん……」

 当主としての素質、それを私はずっと考えていた。
 だが、三人とも三者三様にその素質を持っている気がする。
 誰を選んでも、このメルスード家はいい方向に導かれていくだろう。それは、間違いないはずである。

「まあ、一応、好みの方も考えてみようかしら?」

 そこで、私は自分の好みを考えてみることにした。
 それを考えることも、必要なことであるはずだ。これから一生をともにする人なのだから、そこも大事な部分だろう。

「まあ、でも、三人ともいいわよね……」

 しかし、それを考える必要はなかった。
 私は、三人とも大好きだからだ。誰とでも、一生一緒にいられるだろう。よって、そちらも決定的な要因になりそうにない。

「本当に、難しい選択ね……どうするのが、正解なのかしら? いや、そうではないわね。正解とか、そういうものはなくて……これは、私の考えでしかないのよね」

 どうするべきか、答えは中々出なかった。
 お父様が、当主は彼にと決めてくれたら、こんなにも悩むことはなかっただろう。
 でも、それで決まっていたら、私はただ流されていただけだった。こちらの方が、私という人間にとってはいいことなのだろう。

「流されて、失敗したものね……」

 なぜならば、私は流されて失敗したからだ。
 あの失敗をしたのだから、自分で選択することは素晴らしいことだと思った方がいい。
 現に、私は一度、弟達の妻になってもいいという選択をした。その先の選択を、もう一度するだけなのだ。

「はあ、疲れたわね……少し、休憩しようかしら」

 たくさん考えている内に、私は疲れてしまっていた。
 という訳で、一度ベッドで横になる。

「ふわぁ……」

 疲れているため、すぐに眠気が襲ってきた。
 これは、一度仮眠した方がいいだろう。そう思って、私はゆっくりと目を瞑る。



◇◇◇



 私は、ゆっくりと目を覚ました。
 どれくらい眠っていたのだろうか。日の光から考えると、それ程長い時間眠っていた訳ではないような気がする。

「……まさか、あんな夢を見るなんてね。でも、これが答えなのよね」

 私は、夢を見ていた。
 その夢の内容から、私はある結論を出していた。婚約者の問題に対する結論を、今見た夢から導き出したのだ。
 無意識の内に思い浮かんだ光景。それは、きっと私が真に望んでいることだろう。
 そう思って、私はゆっくりとベッドから立ち上がる。答えが出たので、行動することにしたのだ。
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