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4.のしかかる重圧
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「えっと、それで何の話をしていましたかね……ああ、そうだ。あなた達人間とオオカミの一族の話でしたね」
「そうですね……」
ウェルド様の言葉を受けて、エルファナ様は少し気丈に振る舞っているようだった。
私はとりあえず、その言葉に耳を傾ける。オオカミの一族については、知っておかなければならない。そのためにも、エルファナ様の話は重要だ。
「ルナテシア嬢、あなたとウェルドを結婚させる……それは、私達の世界では番と言われるものになることですが」
「番……ですか」
「ええ、それには特別な意味があります。それはルナテシア嬢のような聡明な方には言うまでもないことかもしれませんが……」
「いえ、大まかにはわかりますが、詳しく教えていただきたいと思っています」
私とウェルド様との婚約は、まず間違いなく人間とオオカミの一族の間での和平関係を強固にするためだろう。
それは本当に、考えるまでもないことだ。誰だってわかることであるため、エルファナ様もそれを述べたのだろう。
ただオオカミの一族のことを知らない私では、想像に限界がある。その辺りについては、もう少し深堀しておきたい所だ。
「……あなたにはまず、オオカミの一族の人間への不信を取り払う役目を担ってもらいたいと思っています」
「人間への不信……やはりそういったものがあるのですね。仕方ないことだとは思いますが」
「結局の所、それは人間を知らないが故のものです。付き合いがある者は既にわかっています。人間もオオカミの一族も変わらないことを……それを皆にもわかってもらうためにも、ルナテシア嬢には協力してもらいたいのです」
「私にどこまでできるのかわかりませんが……」
エルファナ様の話を聞いて、私は自らの方に掛かる重責に少し怯えることになった。
一つの一族の不振を取り払う。それはなんとも、難しいことだ。私はその責務を果たすことができるのだろうか。
「クゥウン……」
「……え?」
気圧されていた私は、足の辺りに温もりを感じて少し驚いた。
ウェルド様が、私を鼻でつついていたのだ。不安を感じている私を、慰めてくれているということだろうか。
「あ、ありがとうございます……」
「クゥン……」
「わっ……」
私がお礼を述べると、ウェルド様は私の隣に飛び乗ってきた。
咄嗟に私は、その体に手を添える。揺れる馬車の中で、危ないと思ったからだ。
ただそれは、私の杞憂だったのかもしれない。ウェルド様は、特に微動だにすることなく、私のことを見つめている。
「そうですね……」
ウェルド様の言葉を受けて、エルファナ様は少し気丈に振る舞っているようだった。
私はとりあえず、その言葉に耳を傾ける。オオカミの一族については、知っておかなければならない。そのためにも、エルファナ様の話は重要だ。
「ルナテシア嬢、あなたとウェルドを結婚させる……それは、私達の世界では番と言われるものになることですが」
「番……ですか」
「ええ、それには特別な意味があります。それはルナテシア嬢のような聡明な方には言うまでもないことかもしれませんが……」
「いえ、大まかにはわかりますが、詳しく教えていただきたいと思っています」
私とウェルド様との婚約は、まず間違いなく人間とオオカミの一族の間での和平関係を強固にするためだろう。
それは本当に、考えるまでもないことだ。誰だってわかることであるため、エルファナ様もそれを述べたのだろう。
ただオオカミの一族のことを知らない私では、想像に限界がある。その辺りについては、もう少し深堀しておきたい所だ。
「……あなたにはまず、オオカミの一族の人間への不信を取り払う役目を担ってもらいたいと思っています」
「人間への不信……やはりそういったものがあるのですね。仕方ないことだとは思いますが」
「結局の所、それは人間を知らないが故のものです。付き合いがある者は既にわかっています。人間もオオカミの一族も変わらないことを……それを皆にもわかってもらうためにも、ルナテシア嬢には協力してもらいたいのです」
「私にどこまでできるのかわかりませんが……」
エルファナ様の話を聞いて、私は自らの方に掛かる重責に少し怯えることになった。
一つの一族の不振を取り払う。それはなんとも、難しいことだ。私はその責務を果たすことができるのだろうか。
「クゥウン……」
「……え?」
気圧されていた私は、足の辺りに温もりを感じて少し驚いた。
ウェルド様が、私を鼻でつついていたのだ。不安を感じている私を、慰めてくれているということだろうか。
「あ、ありがとうございます……」
「クゥン……」
「わっ……」
私がお礼を述べると、ウェルド様は私の隣に飛び乗ってきた。
咄嗟に私は、その体に手を添える。揺れる馬車の中で、危ないと思ったからだ。
ただそれは、私の杞憂だったのかもしれない。ウェルド様は、特に微動だにすることなく、私のことを見つめている。
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