おしどり夫婦を演じていたら、いつの間にか本当に溺愛されていました。

木山楽斗

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4.嫁いで来てから

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「一年……奥様がこちらに来られてから、もうそんなに経つんですね?」
「ええ……というか、それを言うならあなたも同じくらいでしょう? 私より少し前に、こちらに雇われたのだから」
「そうですね。まさか、奥様のお世話係に任命されるなんて、思っていませんでしたが……」

 私は、メイドのサラティナに着替えを手伝ってもらっていた。
 このメイドとは、私がこちらの屋敷に来てからの付き合いだ。彼女とは不思議と気が合ったため、今はこうして身の周りのお世話を担当してもらっている。

「まあ、あなた以外の使用人は、いわばアルフェルグ様の息がかかっているもの。そこまで気にすることではないとは思うけれど、なんとなく嫌だったのよ」
「だからといって、新人の私をよくこんな重要な役目なんて……」
「でも、あなたをお客様の担当とかにするよりはいいでしょう? そちらに粗相があったら困るもの。私だったら、笑って許してあげられるけれど」

 サラティナというメイドは、そこまで優秀なメイドという訳でもない。
 時々失敗はするし、どこか慌ただしい所がある。若さという面を差し置いても、そそっかしい性格だ。
 しかし素直で真面目なメイドであるため、私は彼女のことが嫌いではない。だからこそ、屋敷にやって来た時からずっとお世話してもらっている。

「笑って許してもらっていない時もありますが、寛大なラフィティア様には感謝しています」
「それはまあ、怒る時は怒るわよ。それもあなたのためであるし……でも、一年であなたも結構成長したものね」
「そう言ってもらえるのは、嬉しいです。まあ一年もあれば、少しは成長しますかね」

 ちなみに、サラティナ以外の使用人とも別に険悪な関係にある訳ではない。
 懸念していたような距離感もなかったし、良い人達ばかりだ。故にここでの暮らしは、案外楽しいと思っている。

「一年間で、奥様と旦那様の関係も、変化したのですかね?」
「……それについては、あまり変化していないわね。今も割り切った関係よ。元々、そういう契約だもの」
「契約って、口約束でしかないのに……」

 当然のことながら、使用人達も私とアルフェルグ様の関係は知っている。
 それに対する反応は様々だ。サラティナのように仲良くなって欲しいという人もいるし、どうでもいいと思っている人もいる。

 そんな様々な考えを聞く度に、私は考えていた。アルフェルグ様との関係、それを一体どうしていくのがいいのかを。
 しかし答えは、いつも同じ場所に落ち着く。結局の所、現状を維持するしかない。彼の気持ちが固まっている以上、そう判断するしかないのだ。
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