7 / 15
7
しおりを挟む
私とロウィードは、馬車でドルビン様が出てくるのを待っていた。
時間的に、もうすぐ彼とその浮気相手である子爵令嬢のエンリアが出てくるはずなのだ。
「あっ……」
(あれは……)
「ええ、出て来たみたいね……」
私が聞いていた通り、エンリアという子爵令嬢はドルビン様を見送るために外に出てきた。彼女のことは、あまりよく知らない。ドルビン様の話では、とても穏やかで優しい女性であるようだ。
正直、私は彼女のことはどうでもいいと思っている。ドルビン様と浮気しているという点を考慮すると、むしろ感謝してもいいくらいかもしれない。
彼女がドルビン様と浮気しているおかげで、私は最小限のリスクで婚約破棄を成立させられる。それは、とてもありがたいことだ。
「なっ……」
(抱き合っている……これは)
「……どうやら、彼が浮気をしているという話は本当のようね」
「ああ……なんといったらいいか……」
(裏切られた事実を突きつけられるんだから、カルミアは辛いよな……)
浮気の決定的な瞬間を見て、ロウィードは気まずそうにしていた。
私が悲しんでいると考えているようだ。もちろん、私はまったく悲しんでなどいない。むしろ、嬉しく思っているくらいだ。
「気にしないで……」
「くうっ……」
(ドルビン……絶対に、許せねえ!)
しかし、普通に考えると婚約者が浮気していると知ったら、悲しむものだろう。だから、そういう演技をしておくことにした。
そんな私を見て、ロウィードは怒ってくれている。本当に、彼は優しい人間だ。
「大丈夫だから、今はやるべきことをしましょう。ドルビン様の前に出て行って……婚約破棄を告げさせてもらうわ」
「婚約破棄か……」
(婚約破棄か……当然だけど、大事になってきたな……)
私の言葉に、ロウィードはかなり動揺していた。
この状況になって、改めてことの大きさを実感したのだろう。
そもそも、彼にとってはまだ浮気は確定していたことではなかった。それも関係して、かなり緊張しているのかもしれない。
一方、私はかなり気楽だった。事前に知っていたし、それで計画を立てたので、上手くいきそうで安心しているのだ。
という訳で、私達はまったく反対の気持ちなのである。
「それじゃあ、とりあえず行くとするか……」
(気まずいな……だが、行くしかないな)
「ええ……」
一応、笑う訳にはいかないので、重苦しい空気は保っておく。
だが、私の内心は割とわくわくである。これで、やっとあのドルビン様から解放されるのだ。その高揚感は、中々気持ちがいいものである。
時間的に、もうすぐ彼とその浮気相手である子爵令嬢のエンリアが出てくるはずなのだ。
「あっ……」
(あれは……)
「ええ、出て来たみたいね……」
私が聞いていた通り、エンリアという子爵令嬢はドルビン様を見送るために外に出てきた。彼女のことは、あまりよく知らない。ドルビン様の話では、とても穏やかで優しい女性であるようだ。
正直、私は彼女のことはどうでもいいと思っている。ドルビン様と浮気しているという点を考慮すると、むしろ感謝してもいいくらいかもしれない。
彼女がドルビン様と浮気しているおかげで、私は最小限のリスクで婚約破棄を成立させられる。それは、とてもありがたいことだ。
「なっ……」
(抱き合っている……これは)
「……どうやら、彼が浮気をしているという話は本当のようね」
「ああ……なんといったらいいか……」
(裏切られた事実を突きつけられるんだから、カルミアは辛いよな……)
浮気の決定的な瞬間を見て、ロウィードは気まずそうにしていた。
私が悲しんでいると考えているようだ。もちろん、私はまったく悲しんでなどいない。むしろ、嬉しく思っているくらいだ。
「気にしないで……」
「くうっ……」
(ドルビン……絶対に、許せねえ!)
しかし、普通に考えると婚約者が浮気していると知ったら、悲しむものだろう。だから、そういう演技をしておくことにした。
そんな私を見て、ロウィードは怒ってくれている。本当に、彼は優しい人間だ。
「大丈夫だから、今はやるべきことをしましょう。ドルビン様の前に出て行って……婚約破棄を告げさせてもらうわ」
「婚約破棄か……」
(婚約破棄か……当然だけど、大事になってきたな……)
私の言葉に、ロウィードはかなり動揺していた。
この状況になって、改めてことの大きさを実感したのだろう。
そもそも、彼にとってはまだ浮気は確定していたことではなかった。それも関係して、かなり緊張しているのかもしれない。
一方、私はかなり気楽だった。事前に知っていたし、それで計画を立てたので、上手くいきそうで安心しているのだ。
という訳で、私達はまったく反対の気持ちなのである。
「それじゃあ、とりあえず行くとするか……」
(気まずいな……だが、行くしかないな)
「ええ……」
一応、笑う訳にはいかないので、重苦しい空気は保っておく。
だが、私の内心は割とわくわくである。これで、やっとあのドルビン様から解放されるのだ。その高揚感は、中々気持ちがいいものである。
184
あなたにおすすめの小説
婚約なんてするんじゃなかったが口癖の貴方なんて要りませんわ
神々廻
恋愛
「天使様...?」
初対面の時の婚約者様からは『天使様』などと言われた事もあった
「なんでお前はそんなに可愛げが無いんだろうな。昔のお前は可愛かったのに。そんなに細いから肉付きが悪く、頬も薄い。まぁ、お前が太ったらそれこそ醜すぎるがな。あーあ、婚約なんて結ぶんじゃなかった」
そうですか、なら婚約破棄しましょう。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
幼馴染に夢中の夫を捨てた貴婦人は、王太子に熱愛される
Narian
恋愛
アイリスの夫ロイは、新婚の頃から金髪の愛らしい幼馴染・フローラに夢中で、妻には見向きもしなかった。
夫からは蔑ろにされ、夫の両親からは罵られ、フローラからは見下される日々。そしてアイリスは、ついに決意する。
「それほど幼馴染が大切なら、どうぞご自由に。私は出て行って差し上げます」
これは、虐げられた主人公が、過去を断ち切り幸せを掴む物語。
※19話完結。
毎日夜9時ごろに投稿予定です。朝に投稿することも。お気に入り登録していただけたら嬉しいです♪
【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私、今から婚約破棄されるらしいですよ!卒業式で噂の的です
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、アンジュ・シャーロック伯爵令嬢には婚約者がいます。女好きでだらしがない男です。婚約破棄したいと父に言っても許してもらえません。そんなある日の卒業式、学園に向かうとヒソヒソと人の顔を見て笑う人が大勢います。えっ、私婚約破棄されるのっ!?やったぁ!!待ってました!!
婚約破棄から幸せになる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる