王家の血を引く私との婚約破棄を今更後悔しても遅いですよ。

木山楽斗

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15.激昂した末に

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「元はと言えば、全てお前のせいだ……お前なんかがいなければ、ベルガール伯爵家が破滅することなどはなかった!」

 ハウガス様は、全ての責任を私に押し付けようとしてきた。
 だがそれは間違っている。そもそも私がいなくても、ベルガール伯爵家の慢性的な財政難は変わらなかったのだから。
 ただ最早ハウガス様にとって、事実などはどうでも良いということなのだろう。今の彼に、いや元よりハウガス様に正常な判断を期待する方が間違っているのかもしれない。

「お前なんか、不義の子じゃないか。偶々王家の血を引いているからと図に乗って……この僕を馬鹿にするなど許されることではない! 恥を知れ……!」
「……あなたが何を言った所で、事実は――現実は変わりません」
「僕を見下すな!」

 私はハウガス様の言葉に対して、ゆっくりと首を横に振る。
 彼が今やるべきことは、現実を受け入れて前に進むことだけだ。私を糾弾した所で、何かが変わる訳ではない。

「覚えていろよ。お前には必ず報いを受けさせてやる。どんな手を使ってでも、僕はお前を……」
「……それは聞き捨てなりませんね」

 ハウガス様の不穏な呟きに対して反応したのは、私ではなくスヴェルツ様だった。
 彼は私の前に、庇うように立ってくれている。スヴェルツ様の言葉に、ハウガス様は少し怯んでいるようだ。流石の彼も、失言に気付いたということだろう。

「今の発言は、脅迫に類するものだ。ラナーシア嬢は今や王家の一員、その方に向かってそういったことを言ったということがどういうことか、あなたも理解できない訳ではないでしょう」
「いや、今のは……」
「ハウガス伯爵令息、最早誤魔化すことなどはできませんよ。婚約破棄もそうでしたが、あなたは短絡的だ。貴族であるならば、自らの発言に気を付けるべきでしたね」
「ま、待ってくれ……」

 スヴェルツ様がゆっくりと手を上げると、近くに控えていた兵士達が寄ってきた。
 ハウガス様の言葉は、周囲の者達の耳にも入っていただろう。天下の王城において、彼の発言はあまりにも迂闊だったといえる。
 ただそれに関しては、私自身も見落としていたことではあった。王家の一員として認められたことがどれだけ大きなことかを、私は改めて実感していた。

「彼を連れて行ってください。罪状はラナーシア嬢に対する脅迫です」
「はっ!」
「ま、待て。僕は違う……違うんだ!」

 ハウガス様は兵士達に拘束されて、運ばれていった。
 彼は最後まで抵抗していたが、それが聞き入れられることはない。王家への脅迫によって、ハウガス様は牢屋へと連行されることになったのだ。
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