わがままな妹の方が可愛いと婚約破棄したではありませんか。今更、復縁したいなど言わないでください。

木山楽斗

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 私は、イルファー様の元から、家に帰って来ていた。
 あれから、色々と話して、私達の婚約に関する方針は大方決まった。まだ正式には成立していないが、近い内に決まるだろう。

「……お姉様」
「あっ……」

 帰ってきた私を迎えてくれたのは、うるさい妹だった。
 彼女は、少し落ち込んでいるように見える。私とイルファー様の婚約することは、既に屋敷に伝えられているはずだ。それを聞いて、レルミアはこうなっているのだろう。

「どういうことですか? どうして、お姉様がイルファー様と……」
「色々とあったのよ」
「王子なんて……それじゃあ、私はなんのために……」

 せっかく、私の婚約者を奪った妹は、私が王子と婚約することに納得できていないようだ。
 そういえば、彼女は何かと私に対して上に立とうとする。そんな彼女にとって、王族の婚約者を得たという事実は、かなり嫌なものなのかもしれない。
 もしかして、グランダ様のことをこの妹は好きではないのだろうか。彼のことを愛しているなら、私が王子と婚約したからといって、こんな態度になるはずがない。

 そう考えると、グランダ様は少し哀れである。最も、そんな妹を信じて、私との婚約を破棄したのだから、自業自得だと思ってしまうが。

「私は、認めません……お父様とお母様に言って、その婚約を取り消させてもらいます」
「それは、不可能よ」
「そんなことはありません。二人は、私の言うことなら……」
「なんでも聞くと思っているの? でも、それは間違いよ」

 妹は、私の婚約を阻止しようとしてきた。
 しかし、それは無理な話である。

 お父様とお母様は、レルミアにとても甘い。彼女の言うことなら、大抵聞くだろう。
 だが、今回の婚約をやめて欲しいと言っても、それは聞き届けられない。いくら妹の頼みとはいえ、二人もそこは譲らないだろう。

「王族との婚約は、とても大きなもの。それを断ることなどとんでもないことだし、それを断るとどうなると思う?」
「それは……」

 王子との婚約は、とても有意義なものである。それを断れば、様々な利益を得られなくなってしまう。
 それに、それを断るということは、家の立場を悪くすることだ。王家に対して、婚約を断る無礼者と思われてしまうだろう。

 そんなことをすれば、このフォルフィス家は大きな損失を受ける。妹の頼みと天秤にかけても、そんなことになることは避けたいはずだ。
 もちろん、後でご機嫌取りはするとは思うが、この婚約を阻止することはできないだろう。王族との婚約とはそれ程大きなものなのだ。
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