14 / 24
14.天の助け
『今まで育ててやった恩も忘れて――お前など、もうこのリヴェルト伯爵家に必要ない! ここから出て行け!』
激昂するお父様によって、私はリヴェルト伯爵家の屋敷から追い出されることになった。
私はすぐに追い出されてしまった。あるのはこの身一つだ。正直な所、困ってしまう。流石の私も、一文無しで放り出されるのはきつい。
とはいえ、なんとかできないという訳でもないだろう。頼れる人がいないという訳でもないのだから、そちらをあたってみることにしよう。
「おや、こんにちは」
「え? ああ、こんにちは」
屋敷の外にある門から出た私は、一人の男性から声をかけられた。
それに私は驚いた。反射的に挨拶はしたが、話しかけられるなんて思ってもいなかったからである。
ただ、声をかけてきた人の格好を見て気付いた。それは郵便の配達員の格好だ。
「家の方ですか? お手紙を持ってきたのですが……」
「あ、えっと、実の所経った今追い出されてしまって」
「何かご事情がおありのようですね」
私が特に何も考えずに事情を話したら、配達員は背筋を伸ばした。
リヴェルト伯爵家とそんなに関係もないため、彼になら話してもいいかと楽観的に言葉を発したのだが、間違いだっただろうか。かなり重く受け止められているような気がする。
「……うん?」
背筋を伸ばしたことによって、私は配達員の帽子に隠れて見えなかった顔を見た。
その顔には、見覚えがある。しかしながら、私は混乱していた。その人物が、配達員をしている訳がないからだ。
ただ、ここまで顔がそっくりな人はそういないだろう。故に私は、とりあえず名前を呼んでみることにした。それで返って来る反応から判断しようと思ったのだ。
「マレイド様?」
「ええ、僕です」
私の言葉に、配達員ははっきりと答えてくれた。
それで彼が、ミルドレッド男爵家のマレイド様だということがわかった。
しかし、彼が郵便配達員の格好をしている意味がわからない。私は思わず首を傾げる。するとマレイド様は笑顔を返してきた。
「実はミルドレッド男爵家も色々と情報を仕入れていましてね。ベレイン伯爵家がリヴェルト伯爵家との婚約を破棄したと聞きました。それでもしかしたら、何か起こっているのではないかと思い、知人に頼んでこうしてあなたの様子を見に来たのです」
「そうだったのですか……ありがとうございます。それは、とても助かります」
マレイド様の言葉に、私は驚きながらも感謝した。
ここに彼が来てくれたことは、天の助けとさえ言いたくなるようなことだ。これからどうするべきかと悩んでいたが、それが解決するかもしれない。
激昂するお父様によって、私はリヴェルト伯爵家の屋敷から追い出されることになった。
私はすぐに追い出されてしまった。あるのはこの身一つだ。正直な所、困ってしまう。流石の私も、一文無しで放り出されるのはきつい。
とはいえ、なんとかできないという訳でもないだろう。頼れる人がいないという訳でもないのだから、そちらをあたってみることにしよう。
「おや、こんにちは」
「え? ああ、こんにちは」
屋敷の外にある門から出た私は、一人の男性から声をかけられた。
それに私は驚いた。反射的に挨拶はしたが、話しかけられるなんて思ってもいなかったからである。
ただ、声をかけてきた人の格好を見て気付いた。それは郵便の配達員の格好だ。
「家の方ですか? お手紙を持ってきたのですが……」
「あ、えっと、実の所経った今追い出されてしまって」
「何かご事情がおありのようですね」
私が特に何も考えずに事情を話したら、配達員は背筋を伸ばした。
リヴェルト伯爵家とそんなに関係もないため、彼になら話してもいいかと楽観的に言葉を発したのだが、間違いだっただろうか。かなり重く受け止められているような気がする。
「……うん?」
背筋を伸ばしたことによって、私は配達員の帽子に隠れて見えなかった顔を見た。
その顔には、見覚えがある。しかしながら、私は混乱していた。その人物が、配達員をしている訳がないからだ。
ただ、ここまで顔がそっくりな人はそういないだろう。故に私は、とりあえず名前を呼んでみることにした。それで返って来る反応から判断しようと思ったのだ。
「マレイド様?」
「ええ、僕です」
私の言葉に、配達員ははっきりと答えてくれた。
それで彼が、ミルドレッド男爵家のマレイド様だということがわかった。
しかし、彼が郵便配達員の格好をしている意味がわからない。私は思わず首を傾げる。するとマレイド様は笑顔を返してきた。
「実はミルドレッド男爵家も色々と情報を仕入れていましてね。ベレイン伯爵家がリヴェルト伯爵家との婚約を破棄したと聞きました。それでもしかしたら、何か起こっているのではないかと思い、知人に頼んでこうしてあなたの様子を見に来たのです」
「そうだったのですか……ありがとうございます。それは、とても助かります」
マレイド様の言葉に、私は驚きながらも感謝した。
ここに彼が来てくれたことは、天の助けとさえ言いたくなるようなことだ。これからどうするべきかと悩んでいたが、それが解決するかもしれない。
あなたにおすすめの小説
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ
ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。
スピーナ子爵家の次女。
どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。
ウィオラはいつも『じゃない方』
認められない、
選ばれない…
そんなウィオラは――
中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。
よろしくお願いします。
心を病んでいるという嘘をつかれ追放された私、調香の才能で見返したら調香が社交界追放されました
er
恋愛
心を病んだと濡れ衣を着せられ、夫アンドレに離縁されたセリーヌ。愛人と結婚したかった夫の陰謀だったが、誰も信じてくれない。失意の中、亡き母から受け継いだ調香の才能に目覚めた彼女は、東の別邸で香水作りに没頭する。やがて「春風の工房」として王都で評判になり、冷酷な北方公爵マグナスの目に留まる。マグナスの支援で宮廷調香師に推薦された矢先、元夫が妨害工作を仕掛けてきたのだが?
【完結】私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜
恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」
不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。
結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、
「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。
元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。
独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場!
無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。
記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける!
※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる
物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?
志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」
第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。
「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」
「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」
「そうですわ、お姉様」
王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。
「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」
私だけが知っている妹の秘密。
それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。
【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね
との
恋愛
離婚したいのですか? 喜んでお受けします。
でも、本当に大丈夫なんでしょうか?
伯爵様・・自滅の道を行ってません?
まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。
収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。
(父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる)
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
32話、完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
婚約者は妹の御下がりでした?~妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡~
tartan321
恋愛
私よりも美しく、そして、貴族社会の華ともいえる妹のローズが、私に紹介してくれた婚約者は、田舎貴族の伯爵、ロンメルだった。
正直言って、公爵家の令嬢である私マリアが田舎貴族と婚約するのは、問題があると思ったが、ロンメルは素朴でいい人間だった。
ところが、このロンメル、単なる田舎貴族ではなくて……。