誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。

木山楽斗

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1.燃え盛る町

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 燃え盛る町、逃げ惑う人々。私の目の前には、悲惨な光景が広がっていた。
 ここは、慣れ親しんだ王都である。その王都が今、破壊されているのだ。

「愚かなる人間どもよ。我らはお前達に慈悲など与えん。ただ、破滅させるのみ……」

 私の頭上には、真っ赤な生物がいた。
 その大きな蛇のような見た目をした生物を、私は知っていた。
 あれは、龍だ。伝説上の生き物は、怒りに満ちた表情で、王都を見下ろしている。

「これは……」

 その光景を見ながら、私はゆっくりと考えていた。
 どうしてそんなに余裕なのか。それには理由がある。
 私は、この光景を知っているのだ。そう、これは私が最近何度も夢に見る光景である。

「……はっ!」

 その直後、私は素早く体を起こしていた。
 周囲を見渡すと、そこは自室である。燃え盛る町もなければ、逃げ纏う人々もいない。

「またこの夢……もう何度目なの?」

 私は、汗をびっしょりかいていた。
 あの夢を見るのは、初めてではない。だが、いつまで経っても慣れることはなく、毎回私は恐怖に包まれているのだ。

 あのこの世のものと思えない光景は、一体なんなのだろうか。
 私は、最近疑問に思うようになっていた。
 あの光景は、ただの夢と切り捨ててしまうには、どうも現実的である。まるで、その場にいるかのようなあの臨場感は、普通の夢であるとは思えない。

「でも、あれが夢であるということは変わらない。それだけは、紛れもない事実なんだから……」

 あれが夢であることは、確かな事実だった。
 私はこうして目を覚ましているのだ。その事実が揺らぐことはない。

 だが、私は聞いたことがあった。
 ごく稀に、人は未来を見ることができるのだと。
 それを人々は予知夢というらしい。もしかしたら、あれはこの国の未来の姿であるのではないだろうか。

「そんなことがあり得るの? 第一、龍なんてものは空想の存在でしかないというのに……」

 私は、ゆっくりとベッドの上から立ち上がった。
 そして、窓から外の様子を窺う。

 そこには、いつも通りの青い空と広い王都があった。
 この王都が、炎に包まれる。そんなことがあり得るのだろうか。

「でも、なんだろう……胸騒ぎがする」

 あり得ないと自分に言い聞かせながらも、私はとても嫌な予感に包まれていた。
 もしかしたらそれは、直感のようなものなのかもしれない。
 心のどこかで、私はあの夢が現実になると確信しているのだろうか。

 そんな疑問を抱きつつ、私は朝の準備をすることにした。
 色々と悩みはあるが、自分の役目をこなさなければならないからだ。
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