誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。

木山楽斗

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5.夜空に輝く

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 結局いくら調べても、結論は出なかった。
 それは、当然のことなのかもしれない。
 私の夢が本当なのかどうかを証明する。普通に考えて、それはとても難しいことだ。

「そもそも、あれが本当に起こるなんて、あり得ないのかな……」

 私は、ゆっくりとそんなことを呟いていた。
 あの夢が実際に起こる。それは、私の杞憂でしかないのかもしれない。

 同じ夢を見過ぎたせいで、私は変に不安になっているだけなのだろうか。
 だが、そもそも同じ夢を見るということ自体が珍しいような気もする。あり得ないことではないが、あそこまで繰り返し見るものなのだろうか。

 様々な疑問を抱きながら、私は王城の廊下を歩いていた。
 仕事が終わってから図書室に来ていたため、外はもう暗くなっている。

「今夜も、またあの夢を見るのかな……」

 そんな暗闇を見ながら、私は今夜のことを考えていた。
 あの夢を見る。そのことに、私は少し恐怖を覚えていた。
 そういえば、あの夢を見るようになってから、あまり熟睡はできていないような気がする。そのこともあって、私はこの問題にどうにかして結論を出したかったのかもしれない。

「……うん?」

 そこで、私はあることに気がついた。
 暗闇の中に光り輝く星の中に、見慣れないものがある。
 その星は、真っ赤に光り輝いていた。それは、明らかに普通の星とは違う輝きだ。

「あれは一体……」

 私は、ゆっくりと王城の中庭に出て行った。
 異様な輝きを放つその星を、私はじっくりと見る。

 魔力を集中させることによって、私の視界は望遠鏡のように変化していく。
 これで、あの真っ赤な星を間近で見られるのだ。

「何、これ……?」

 私は、自らの視界に映るものに驚いていた。
 そこに見えるものは、星ではない。明らかに生物なのである。

 その生物とは、巨大な蛇のような生物だ。
 真っ赤な鱗に包まれたその見た目は、正しく私が夢で見た龍である。

「あれが龍なの……本当にいたんだ」

 私は、思わずそんな素直な感想を口にしていた。
 だが、直後に気づく。そんな呑気なことを言っている場合ではないということに。

「まずい……あの夢が現実になる……」

 龍という存在が実在するということは、あの夢が現実になる可能性があるということだ。
 それは、非常にまずいことである。このままでは、エルドー王国が火の海に包まれてしまう。

「というか、あの龍……近づいている?」

 そこで、私はその事実に気がついた。
 龍は、体を丸めて目を瞑っているが、ゆっくりと移動しているのだ。
 その事実に、私は益々震える。このままでは、本当に王国が滅亡してしまうかもしれない。
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