6 / 22
6.動揺する妹
しおりを挟む
「ど、どういうことですか? お姉様、一体何を……」
「……そんなに動揺しなくてもいいじゃない」
私からの知らせに、エレシアは見るからに動揺していた。
そこまで驚かられるとは思っていなかったため、私も少し面食らってしまっている。
「簡単なことよ。私は既に、ファルドラ伯爵家にとって邪魔な存在になっているもの。身の振り方を考えた結果、出て行く方がいいと思ったのよ」
「いや、そんな……」
エレシアがここまで動揺しているのは、一体どういうことなのだろうか。私にはそれがよくわからなかった。
エレシアとしては、私を追い出すつもりなどはなかったのだろうか。彼女にとって、私が出て行くことはむしろいいことだと思うのだが。
「まあ、あなたの方はこれからも大変だとは思うけれど、精々頑張ることね」
「た、大変なのはお姉様の方でしょう? この屋敷から出て行くということは、ファルドラ伯爵家の庇護下から飛び出すということ……お姉様は一人で生きてけるのですか?」
「その点に関しては、お父様と話をつけているわ。これからの私の生活を、しばらく支援してもらえることになっているの」
伯爵家から出て行くと言った時、お父様はひどく驚いた様子だった。
必死に私を引き止めていたし、できれば出て行って欲しくないという気持ちは伝わってきたが、私はなんとか説得したのである。
その際に私が少し支援して欲しいと伝えると、お父様は快く了承してくれた。娘を思う父親の気持ちを利用するのは少々心苦しかったが、私のこれからのためにそれは仕方ないことだと割り切っている。
「わ、私がそのようなことを許すとでも?」
「あら。あなたにそれを止める力があると思っているの。少なくとも今のあなたには、ファルドラ伯爵家を動かす力なんてないと思うのだけれど」
「そ、それは……」
私がこの選択を取ったのは、エレシアの影響力が大きくなる前に逃げておきたいからだ。
彼女がファルドラ伯爵家を牛耳ってからでは遅い。そうなると、私はもっとひどい扱いを受ける。だから私は、一早くこの家から逃げたかったのだ。
「でも、それでも、お姉様はこの家から出て行くことになるのですよ? 私が勝者であることは揺るぎません」
「まあ、そうかもしれないわね」
「なっ……あなたは、いつもどうしてそんな」
「勝者であるなら、もっと勝ち誇ってもいいと思うわよ? まあ、私にとってはどうでもいいことであるけれど」
自分でも勝者と口にしているというのに、エレシアはとても悔しそうだった。
私は、苦しいなりにも最善の手を選んでいるつもりだ。だから別に、悔しさなどは湧いてこない。
その差というものは、思えば不思議なものだった。まあ、これで彼女が悔しがってくれるというなら、もうけということにしておこう。
「……そんなに動揺しなくてもいいじゃない」
私からの知らせに、エレシアは見るからに動揺していた。
そこまで驚かられるとは思っていなかったため、私も少し面食らってしまっている。
「簡単なことよ。私は既に、ファルドラ伯爵家にとって邪魔な存在になっているもの。身の振り方を考えた結果、出て行く方がいいと思ったのよ」
「いや、そんな……」
エレシアがここまで動揺しているのは、一体どういうことなのだろうか。私にはそれがよくわからなかった。
エレシアとしては、私を追い出すつもりなどはなかったのだろうか。彼女にとって、私が出て行くことはむしろいいことだと思うのだが。
「まあ、あなたの方はこれからも大変だとは思うけれど、精々頑張ることね」
「た、大変なのはお姉様の方でしょう? この屋敷から出て行くということは、ファルドラ伯爵家の庇護下から飛び出すということ……お姉様は一人で生きてけるのですか?」
「その点に関しては、お父様と話をつけているわ。これからの私の生活を、しばらく支援してもらえることになっているの」
伯爵家から出て行くと言った時、お父様はひどく驚いた様子だった。
必死に私を引き止めていたし、できれば出て行って欲しくないという気持ちは伝わってきたが、私はなんとか説得したのである。
その際に私が少し支援して欲しいと伝えると、お父様は快く了承してくれた。娘を思う父親の気持ちを利用するのは少々心苦しかったが、私のこれからのためにそれは仕方ないことだと割り切っている。
「わ、私がそのようなことを許すとでも?」
「あら。あなたにそれを止める力があると思っているの。少なくとも今のあなたには、ファルドラ伯爵家を動かす力なんてないと思うのだけれど」
「そ、それは……」
私がこの選択を取ったのは、エレシアの影響力が大きくなる前に逃げておきたいからだ。
彼女がファルドラ伯爵家を牛耳ってからでは遅い。そうなると、私はもっとひどい扱いを受ける。だから私は、一早くこの家から逃げたかったのだ。
「でも、それでも、お姉様はこの家から出て行くことになるのですよ? 私が勝者であることは揺るぎません」
「まあ、そうかもしれないわね」
「なっ……あなたは、いつもどうしてそんな」
「勝者であるなら、もっと勝ち誇ってもいいと思うわよ? まあ、私にとってはどうでもいいことであるけれど」
自分でも勝者と口にしているというのに、エレシアはとても悔しそうだった。
私は、苦しいなりにも最善の手を選んでいるつもりだ。だから別に、悔しさなどは湧いてこない。
その差というものは、思えば不思議なものだった。まあ、これで彼女が悔しがってくれるというなら、もうけということにしておこう。
104
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
完結 王子は貞操観念の無い妹君を溺愛してます
音爽(ネソウ)
恋愛
妹至上主義のシスコン王子、周囲に諌言されるが耳をを貸さない。
調子に乗る王女は王子に婚約者リリジュアについて大嘘を吹き込む。ほんの悪戯のつもりが王子は信じ込み婚約を破棄すると宣言する。
裏切ったおぼえがないと令嬢は反論した。しかし、その嘘を真実にしようと言い出す者が現れて「私と婚約してバカ王子を捨てないか?」
なんとその人物は隣国のフリードベル・インパジオ王太子だった。毒親にも見放されていたリリジュアはその提案に喜ぶ。だが王太子は我儘王女の想い人だった為に王女は激怒する。
後悔した王女は再び兄の婚約者へ戻すために画策するが肝心の兄テスタシモンが受け入れない。
婚約者は妹の御下がりでした?~妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡~
tartan321
恋愛
私よりも美しく、そして、貴族社会の華ともいえる妹のローズが、私に紹介してくれた婚約者は、田舎貴族の伯爵、ロンメルだった。
正直言って、公爵家の令嬢である私マリアが田舎貴族と婚約するのは、問題があると思ったが、ロンメルは素朴でいい人間だった。
ところが、このロンメル、単なる田舎貴族ではなくて……。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
婚約者を奪われた私は、他国で新しい生活を送ります
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルクルは、エドガー王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
聖女を好きにったようで、婚約破棄の理由を全て私のせいにしてきた。
聖女と王子が考えた嘘の言い分を家族は信じ、私に勘当を言い渡す。
平民になった私だけど、問題なく他国で新しい生活を送ることができていた。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる